エンジニア出身のヨガ講師が仕掛ける「YOLO Conference」
人生100年時代と言われる現代、美容健康のために運動をしたり食事に気を使ったりして対策をしている方も多いのではないでしょうか。
現在では“健康の社会格差”も問題になりはじめているといわれるなか、美容健康について正しい知識を学べるのはもちろん、男性も女性も、あらゆる年齢でも、国籍も関係なく、知れる機会を平等にしたいという想いで立ち上げられた「YOLO Conference」についてヨクト株式会社 河野さんにお話を伺いました。
自身の体験が起業のきっかけに
──河野さんは20年以上エンジニアとしてシステム開発を手掛けてこられたそうですが、「YOLO Conference」は美容健康のためのイベントですよね、ヨガ講師でもいらっしゃるということですが、元々美容健康に興味をお持ちだったのでしょうか?
いえ、元々は全くといっていいほど興味はなかったです。美容に関してはつい最近までありませんでした。
僕は20年ほどこのIT業界に身を置かせていただいていて、20代中盤の頃は、某大手メーカーで全盛期だったガラケーを作っていたりもしました。今もだと思いますが、当時のガラケーというのはリリースサイクルが短く、リリース間近になると朝方に帰る毎日というのが当たり前でした。日が変わり午前3時、4時ぐらいまで開発して帰って、次の日は通常通り8時には会社に出る。そんな繰り返しでした。
──食事や入浴なども考えると睡眠時間が短くかなりハードな毎日を送っていらっしゃったのですね。
ただ、そういう状況だと、やはり人がダメになっていくんです。身体的な不調が先に来てるんだけど、本人は当然気が付きません。そのまま無理を続け、最後は精神的なところまでやられていきます。いつも通りに午前3時、4時ぐらいまで開発して帰って次の日出てくると、チラホラと居なくなる人が出てくるんです。「ドクターストップです。もう出社できません」と電話がかかってくるんです。朝に、ほぼ日常的に。
でも、人は慣れてくるんですよね。当初、びっくりしていた僕も最後には「またか」ぐらいしか思わなくなっていました。
けど、午前3時、4時ぐらいに会社から出て、帰り道の真っ暗な空を見ながら、こういうの嫌だなーと漠然と思ってました。残業代で稼げても本当に健康に良くないとしみじみ感じていて。
その後、別の会社に移ってもバリバリと仕事してたのですが、30歳前後で普通にしてても体調が良くないのが続いていました。そんなときに仲の良かった人がヨガをやっていることを知り、僕も始めてみることにしました。
──そのご友人がきっかけでヨガを始められたのですね。バリバリ仕事をしながらヨガを続けるコツのようなものがあればぜひ教えて下さい。
始めてすぐに身体の不調が良くなったので、すっかりはまってしまったのですが、やっていくうちにヨガ哲学というものを知り、心にも良いと感じました。10年経った今も続けて元気に仕事ができています。
ヨガの講師になったのも、仕事のしすぎでついつい不健康になってしまう人が多い中で一人でも多く健康な人が増えたらと思ってです。起業したのも、そのスケールを大きくするためです。
幸せには、健康は必須条件だと思ってます。世の中に健康な人がひとりでも増えていけるよう願っています。
──ご自身の経験から、それを多くの方に広める為の活動を進められるようになったのですね。
素朴な疑問から企画、そして実行へ
美容に関して興味を持ったのは本当に最近で、僕らより上の世代の男性たちはどうやら朝起きて顔を洗わない人がいるらしい、という話を聞いて大きくショックを受けたのがきっかけです。
最近の若い子たちは化粧水を使うのが当たり前だそうで、すると世代間的に、顔を洗わない世代(50代〜)、顔を洗う世代(30代〜)、化粧水を使う世代(〜20代)というのが漠然と面白いと感じたんですよね。同じ男性でも世代でこうも違うのかと。
化粧水を使ってみようとしたんですが、いつ使うの?何を使えば良いの?毎日必要なの?と。種類も男性向けのものもいっぱいあるんです。化粧水、スキンローション、乳液?もうパニックです。どういう基準で選ぶのかわからない。女性に聞いても明確な回答はないんですよね。
だから、美容については、今はまだ詳しくもなく使ってもなくて興味津々なところです。同じように疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、そういった美容健康に関する知識を共有しあうコンファレンスを企画することにしました。
YOLOは英語の “You Only Live Once:あなたの人生は一度きり” の略です。たった一度きりの人生。自分で自分らしく美と健康に末永くいられるように。もっと、美しく、健康に、生きていけるように気軽に参加して、知識や経験を広く誰とでも共有できるそんなコンファレンスを目指しています。
──イベントではなく、コンファレンスというところがポイントなのではないかと思うのですが、講師と参加者が一緒になって議論するようなイメージでしょうか?
はい。そうですね。そうなれるようにしていきたいと思ってます。上でも答えましたが、美容に関してはまったく知らないのです。また、健康についてもヨガの考え方以外は基本的に何も知りません。だから、知りたい。知って、試すなり、納得して選択したいと思ったんですよね。
今回のコンファレンスも「これが正しい」「これをすべきだ」みたいなものはあまりしたくなくて、美容にしても、ヨガにしても用意したものをまずは受けて、学んで、自分で体験してみる。そこから自分に合えば続けていってくれたら良いし、他のもので健康を目指していただければと思ってます。単なる一つの手段です、と。
なので、コンファレンスというスタイルで講師と参加者が一緒に作り上げていくイメージでイベントをしたいと思ってます。参加者自身が自分にとっての「美しさとは?」「健康とは?」をまずは問い、考え、選択できるようなものにしたいなという思いです。
(実は “ヨロコンで!” と言いたかったというのは内緒です笑)
──ヨロコンで!笑。これまでにも音楽イベントやスポーツイベントなど様々なイベントを主催・運営してこられたそうですが、イベントの主催・運営で印象的なエピソードはありますか。
他の人たちに比べても別に大したことはやってないですし、一緒にやってくれた人たちが偉大すぎたことによる部分が大きいので、僕なんかが偉そうに言うのは本当にむず痒いのですが……2011年から2015年まで約5年間やったFuture Syncというイベントがあります。
当時、東京でやってるような勉強会に負けまいと、福岡にある主要な勉強会を同じ日に同時にやってみたら面白いことにならない?というのが最初の思いでした。
手前味噌かもしれませんが、他の素晴らしい主催の方々やスタッフさんたちのおかげで、最終的には「知識のごった煮」の元にデザインや建築、各分野の尖った人たちをお呼びし、お話しいただくことができ、当時としても珍しい素晴らしいイベントになりました。
このイベントのことを今でもたまに「あのイベントのおかげで今がある」と言ってくれる人もいらっしゃったりして、嬉しい限りです。
何かしらやりたいことがあるのなら、人に言い続けてみる。
すると、人に言うことで、いい加減動き出さないといけない時がくる。
そして続けているうちに物事が大きく動いてきて、当初やりたいと思っていたことが実現されていく。
ベタですが、学んだことのひとつかもしれません。
──賛同してくれるメンバーを巻き込みながら一緒に育てていくところが継続の秘訣なのでしょうね。今回のイベントもどう発展していくのか楽しみです。ありがとうございました。