共通点から見つけるユーザー体験のヒント
こんにちは、デザイナーの中島です。私がデザインの世界に足を踏み入れてから、早くも3年が経ち、学びの日々を送っています。実は私がデザインの道に進んだきっかけは、ダンスとの深い関わりからでした。
デザイナーになる前、主にモダンダンスや、振付師のアシスタントとして活動しており、舞台現場や練習場で踊る日々を過ごしていました。デザイナーとして、撮影現場に同行させていただいたとき、舞台に立った経験や撮影現場に参加していた経験が少しでも活かせるんだ!と、共通点を見つけられて嬉しくなったのを覚えています。
ダンスもデザインも、見る人、使う人、つくったその先にあるユーザーへ届けるための試行錯誤があるからこそ、ユーザーに寄り添ったアイディアが生まれて、喜んでもらえる。そのためには、どういった過程を通る必要があるのか、ダンスの経験を交えながらお話できればと思います。
ダンスとデザインの共通点
デザインでもダンスでも世界観が定まっていないと、何を表現しているのかは、ユーザーになかなか伝わりません。コンセプトづくりからはじまり、言葉からアイディアを広げていくという工程は、どちらにも共通していると思います。
ダンスでは、題材にしたい感情、社会問題や歴史、未来、自然などさまざまな幅広いキーワードからテーマを絞り、テーマに沿った動きのモチーフづくりをします。たとえば、「薔薇」をテーマにダンスで伝えるとしたら、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?
私はざっくりと「赤」「棘」「愛」「情熱」などのイメージがあり、さらに花言葉では「沈黙」や「秘密」などがあるようで、キーワードを集めてみるとなんとなく動きのイメージができてきます。このイメージを動きへ変換していくように考えていくと、見ている人にイメージが伝わりやすくなります。たとえば、薔薇に囲まれてハッピーな気持ちを表現するような動きや、美しさもありながら刺々しさもある、見た目の特徴や秘められた意味を活かしたモチーフを取り入れるなどです。
デザインでもダンスと同じく、言葉からアイディアを広げていきます。コンセプトやキーワードをもとに色や形などさまざまな要素を検討し、世界観をつくりあげていきます。
視覚的な要素である形や色が、ユーザーに伝えたいイメージとしてしっかりと表現されていると、ユーザーの記憶につながり、見る人、使う人に一貫したイメージが伝わります。制作側の意図しているイメージと、ユーザーが感じ取るイメージが一致することで、「良さ」や「使いやすさ」をより実感してもらいやすくなります。
ユーザーの感覚に寄り添うには
ユーザーの感覚に寄り添うには、作成の過程で試行錯誤を行いブラッシュアップしていくことが大切です。
ダンスでも、一通り作品をつくってから練習を重ね、構成や振り付けの見直しをしていきます。その中でもストーリー性は重要で、構成の場面の移り変わりが起承転結として成り立っていると、見ている人に感情的に伝わっていきます。
また、その場所の空間によっても伝達力は変わってきます。練習場で作品をはじめから最後まで通して踊ってみるのと、実際に舞台に立って踊ってみるのとでは、音の響き方や照明の当たり方、空間の奥行きや高さのなどで、振り付けや構成が小さく見えてしまったりなど作品の空気感がまったく違って感じられます。実際に観客席から見て、立ち位置の確認などかなり念入りにしていくのですが、この作業はまさにユーザー視点に立つことだと思います。
デザインでは、例えばWebサイト上でボタンは押しやすいか、目線誘導はしっかりできているかなど、第三者に客観的に見てもらい、ユーザー視点の意見を取り入れることが重要になっていきます。
デザインのコンセプトやメッセージ性がブレないように、必要最小限の要素で表現してシンプルさを追求していったり、ユーザーが迷わないように操作しやすい構成や視線に応じたデザインを試行錯誤することで、ユーザー視点に沿ったデザインを生み出すことができます。
ユーザーに届けるために
デザインもダンスも「つくる」「見てもらう」「感じてもらう(使ってもらう)」の3つのサイクルがあるからこそ、共通している部分が多いのだと気が付きました。ユーザー視点への気付きや、体験につながることは身近なところにあり、体験を活かしてユーザーに寄り添ったクリエイティヴにつなげていきたいものですね。
私たちのようなブランディングファームでも、見る人、使う人が感じとる体験をもとに、Webサイトの改修やリブランディングなど、お客さまと一緒に改善していくことを大切にしています。
ユーザー目線を大切にした、ブランド調査から戦略立案、制作、実証まで、一気通貫でブランディングを行う私たちにぜひお気軽にご相談ください。