社員の声がブランドになる ― バックオフィスから始める共感づくり ―
企業ブランディングというと、一般的にはロゴマークや広告、メディア戦略といった外に向けた取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、私が大切にしているのは、「ブランドは、企業の内側からにじみ出るもの」という考え方です。日々の働き方や価値観、社員同士のやり取り。そういった目に見えない部分こそが、企業の「らしさ」をつくり出し、それがやがて社外にも伝わり、共感を生んでいきます。
私は、入社して8年目になるブランコのバックオフィス担当で、育児と両立しながら働いています。総務だけでなく、人事、労務、法務、経理といった幅広い業務を通じて、組織の根幹を支える仕事に携わってきました。
そんな立場だからこそ、制度や仕組みづくりを通して社員の声に耳を傾け、その声を企業文化の土台に変えていくことの大切さを、日々実感しています。
社員の声が制度を育て、制度が文化になる
バックオフィスが取り組んでいるのは、華やかな広告活動でも、一方的な制度の設計でもありません。日々のちいさな声に耳をかたむけ、それを仕組みに変え、現場に根付かせていくという、地道な積み重ねです。
たとえば、「この申請、もっと簡単にできないか」「こうすれば、もっと働きやすいのでは」といった声をもとに、ルールや手順を見直したことも何度もあります。それは一見すると些細な改善に思えるかもしれませんが、働きやすさに直結し、最終的には企業文化そのものをかたちづくることになります。
そうした声を継続的にすくい上げるために、ブランコでは毎月、社員向けのアンケートを実施しています。内容は、「働きがい」「成長の実感」「心理的な安心感」「信頼関係」など、全24項目にわたります。
このアンケートは、制度の改善だけでなく、社員一人ひとりのコンディションを可視化し、必要なサポートにつなげるための大切な手段でもあります。変化に気づき、声を拾い、手を差し伸べる。その繰り返しが、安心して働ける環境を生み出します。
制度は上から与えるだけではなかなか機能しません。社員の声を反映し、「自分たちでつくった仕組み」として受け入れられてはじめて、文化として定着していくのです。
小さな違和感こそ、ブランドづくりのヒントになる
制度や仕組みは、一度つくって終わりではありません。むしろ、実際に運用を始めてから見えてくる「なんとなくしっくりこない」「ちょっと気になる」といった違和感こそが、改善のチャンスです。
たとえば、「このルール、だれも守っていないけれど、理由があるのでは」「ちょっと手間が多すぎるのでは」という現場の声。それを例外として見過ごすのではなく、制度の見直しポイントととらえることが、文化の進化につながります。
私は、社員がそうした声を安心して出せるような空気づくりを、日々意識しています。正しさよりも、実感を大切にすること。それが「自分たちのブランドを、自分たちでつくっている」という意識につながっていくのです。
社員の納得と安心が、外にも伝わっていく
内側の声がきちんと反映された組織は、自然と信頼感や安心感にあふれたものになります。
こうした取り組みは、採用活動やお客さまとの関係づくりにも良い影響を与えていると感じています。実際に、面接の場では「働き方や価値観に共感した」という声がふえていますし、お客さまから「チームの雰囲気がいいですね」と言っていただくこともあります。
ブランドは、つくり込むものではなく、日々のふるまいの積み重ねからにじみ出るものなのだと、私たちは日々実感しています。
バックオフィスは、共感を生み出す起点になれる
たとえ表舞台に立つことがなくても、バックオフィスは企業の背骨であり、文化の土台を支える存在です。制度設計、ルールの運用、人事やコミュニケーションの仕組みづくり。どれもが、社員の「こうありたい」を実現するための手段です。
私は「仕組みをつくる人」ではなく、「共感を生み出すきっかけをつくる人」でありたいと考えています。社員が「こんなこと言っていいのかな」と思うようなことも、安心して口にできる。そうした土壌をつくることこそが、企業の「らしさ」を育て、ブランドの根っこになると信じています。
ブランドは、内側からにじみ出る
ブランドとは、「どう見せるか」ではなく、「どうふるまっているか」の結果として、自然に表れるものです。そして、そのふるまいは、社員の日常であり、制度であり、組織の文化です。だからこそ、まず社員の声を丁寧に聞くことからはじめます。
声を拾いあげ、仕組みに変え、文化として根付かせていく。その連続が企業の「らしさ」をかたちづくり、やがて外の人々にも伝わっていくと信じています。バックオフィスは、共感をつくる起点になれる。これからも、その役割を果たしていきたいと考えています。
「制度」や「文化」は、一人ではつくれません。私たちは、社員の声を起点に“らしさ”を育てるブランドづくりを続けています。もし、あなたの組織でもブランドづくりに関心があれば、ぜひ一度お話ししませんか。ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。