日本の企業から学ぶ、長く愛されるブランドづくり
「創業100年以上の企業」ときくと、どこか遠い存在に感じるかもしれません。ですが実は、日本にはそんな企業が世界一多く存在しています。老舗の和菓子店から、大手メーカーまで、なぜこれほどまで長く続いているのでしょうか。
そこには、ブランドのつくり方や人との関わり方など、今の時代にこそ見直したいヒントがたくさん詰まっています。この記事では、日本の企業に注目し、“長く愛されるブランド”の共通点を探っていきます。
データが示す、日本の“長寿企業”の多さ
日本には創業100年以上の企業が3万社以上存在し、これは世界中の100年以上の企業のうち約4割にあたります。さらに、200年以上続く企業となると、その65%が日本企業です。
この圧倒的な数字から見えてくるのは、日本の企業が目先の利益よりも、長く信頼されることを大切にしてきたということです。
なぜ、日本の企業は長く愛されるのか
日本の企業が“長寿”でいられる背景には、日本ならではの文化や価値観が大きく関係しています。ここでは、その理由をいくつかの観点から紐解いていきます。
家族経営による継承と一貫性
昔からある日本の企業の多くは、家族で経営をスタートし、そこから世代を超えて事業が受け継がれています。経営者が代替わりするたびに方針が変わるのではなく、家族の中で共有された価値観や使命があることで、経営にも一貫性をもたらします。また、家業としての誇りが、長期的な視点での意思決定や、企業の継続性を支える要素となっています。
信用を大切にする文化
日本のビジネス文化において、「信頼」は最も大切な資産といっても過言ではありません。長年にわたって、丁寧な仕事や誠実な対応を重ねることで顧客との信頼関係を築き、その信頼が企業を支えてきました。品質に対する厳しい目をもつ日本の消費者にとっても、「信頼できるブランド」であることは、選ばれる理由のひとつになっています。
地域との深い関わり
長く続いている企業の多くは、地域社会とのつながりを大切にしてきました。地元の素材を活かした商品づくりや、地域行事への協力などを通して、地域とともに成長してきた企業も少なくありません。こうした地域密着型の姿勢は、地元の人々からの継続的な支持を生みだし、ブランドに対する強い共感や愛着につながっています。
人材を大切にする終身雇用のしくみ
日本の企業の特徴として、終身雇用制度に象徴されるような長期的な人材育成の文化があります。従業員が長期間にわたって同じ企業で働くことで、その企業特有のスキルやノウハウを深く理解し、企業の内部から成長を支えることができます。また、企業への深い理解を持った従業員が増えることは、ブランドの一貫性にも寄与しています。
慎重で堅実な経営姿勢
急速な拡大やハイリスクを避け、着実な成長を重視するのも、日本の企業に見られる傾向です。堅実な資本政策やリスク管理体制により、経済の波や不測の事態にも柔軟に対応できる基盤が築かれています。たとえば、トヨタ自動車はリーマンショック時にも大規模な人員整理を避け、長期的な視点での経営判断を貫いたことで、企業としての信頼をさらに高めました。
これらの要因が組み合わさることで、日本には長く続く企業が多く生まれているのです。
次の100年を見据えたブランドづくりへ
長く愛される日本企業の姿勢には、ブランドを育てるうえでの示唆が数多く詰まっています。信頼を丁寧に積み重ね、地域や社会とのつながりを大切にし、時代の変化に応じて柔軟に進化していくこと。どれも、一朝一夕にはできないことですが、それこそが“長く愛されるブランド”になるために必要なことなのだと思います。
これからブランドを立ち上げたい方も、すでに運営されている方も、ぜひ一度、日本の長寿企業のあり方をヒントにしてみてはいかがでしょうか。
ブランドの本質を見つめ直すことは、長く愛される存在になるための第一歩です。ブランコでは、企業やサービスの“らしさ”を見出し、それを軸にしたブランディングをサポートしています。ブランディングに関するご質問やご相談などございましたら、お気軽にご相談ください。