売れるパッケージデザインの色の法則とは?4大販売色やタブー色も解説
商品に使用するパッケージの色について意識したことはあるでしょうか。色彩は人の心理に大きく影響するため、使用するパッケージの色が売上を左右することもあります。
では、消費者の購買意欲を高めるにはどのような色を使用したらよいのでしょうか。この記事では、売れるパッケージデザインの色の法則と4大販売色、タブー色を事例を交えながらご紹介します。
パッケージデザインの色の法則
人は日常生活を送るうえで、あらゆる色を視覚から感じとり、心や身体に影響を与えています。なかでもパッケージデザインは、商品を購入してもらうきっかけとなる重要な要素です。使用する色や色の配置によって、消費者に対して商品イメージを明確に伝える役割を担っています。
自社のターゲット層に最適なデザインを選択すれば、商品をより魅力的に伝えることができ、売上アップにつながるでしょう。ここでは、パッケージデザインの色がもたらす購買意欲への影響や、タブーといわれる色をご紹介します。
色彩心理がもたらす購買意欲への影響
色によって人の心理状態に影響をおよぼす色彩心理は、営業戦略によく活用されています。会社のコンセプトに合わせた色を選ぶことで、ターゲットとする顧客層に訴求する効果が得られるためです。ブランドイメージを確立させ、同業他社商品と差別化する役割も果たします。
商品自体の色を変えることは難しいものの、パッケージであればある程度自由に変更ができるでしょう。まず目につくパッケージは、消費者にどのような商品なのかを具体的にイメージさせ、工夫次第で購買行動へ促すこともできます。
また食品の場合は、色によって食材を引き立て、美味しそうに見せることが可能です。スーパーなどで、赤いネットに入ったみかんが売られているのを見たことがある方も多いと思いますが、これは色の同化現象を利用したパッケージ方法です。オレンジ色のみかんを赤い色のネットに入れると色の同化が起こり、より甘く美味しそうに見えるという現象が起こります。
パッケージはこのような現象も加味しながら、色彩心理の効果によって消費者の購買意欲が高まる色を選ぶことがポイントです。
タブーな色とは
パッケージデザインの色にはタブー色も存在し、商品によっては使用してはならない色として認識する必要があります。一番わかりやすい例が食品におけるパッケージデザインで、寒色系は食欲を減退させる作用があるためタブーとされています。
しかし、寒色系に分類される青色は、後にご紹介する4大販売色の1つとされ世界的に好まれている色です。したがって、タブーとされる色は商品のジャンルによって異なり、ジャンルによっては商品の魅力を増すことにもなると覚えておきましょう。
パッケージデザインの4大販売色とは
さまざまな色がある中で、「4大販売色」と呼ばれる色があります。ここでは、パッケージデザインの4大販売色をそれぞれご紹介します。
赤色
情熱や強さ、興奮といった要素がイメージされやすく、エネルギーや食欲増進、温かみを感じるなどの効果があり、温かい食べ物やカイロなどのパッケージデザインによく使われます。また、気分を高揚させる働きから購買意欲を高める心理効果があるうえ、慶事によく使われることからお祝い事のイメージもあります。ただし、危険や攻撃的なイメージを与えることもあるため、扱い方には注意が必要です。
青色
海や空を連想させることから冷たさや清潔さを感じさせ、年代や性別問わず世界的に好まれている色です。また、気分を落ち着かせる心理的効果があり、鎮静作用や睡眠を促す効果もあります。清潔感をイメージさせることから、洗剤のパッケージデザインとして活用されることが多く、他にも発熱時冷却シートやスポーツ飲料などの清涼感をイメージする商品のパッケージによく使われています。
黒色
重厚感や高級感を覚える色で、隣接する色を際立たせる効果があります。ただし、黒から闇や恐怖といったイメージを持つ人もいることに加えてインパクトが強いため、良くも悪くも相手に強さや畏怖を感じさせるということを念頭に置いておきましょう。具体的な商品としては、ブラックコーヒーなど商品自体が黒色のアイテムのパッケージデザインとしてよく使われています。
白色
世界的に神聖な色として認識されており、純粋や無垢といったイメージがされやすく、すべての光を反射しているため、明るさや解放感を与える色です。清潔さも感じさせる色でもあるものの、他の色を一切含まない純白に関しては、冷たさや孤独といったイメージを想起させ、緊張感を与える場合もあります。主に、牛乳やヨーグルトなどの乳製品やトイレ回りの商品、サプリメントなどのパッケージデザインに多く使われています。
ターゲット別にみるパッケージデザインの色の違い
食べ物や趣味嗜好が人それぞれ異なるように、色の好みも多種多様です。したがって、あくまでも自社のターゲットに向けて、購買行動へ促すような色を選ばなくてはなりません。ここでは、ターゲット別にみるパッケージデザインの色の違いをご紹介します。
年齢
男女によって色の好みが分かれますが、同性であっても年齢によって色の好みが変化します。20代の女性の場合、ピンクなどのパステルカラーを好む傾向にありますが、40代や50代になると、シックで落ち着きのある色を好む人が多くなります。
この観点から、自社のターゲットの年代を明確化し、性別・年代をある程度限定して好まれる色を調査する必要があるでしょう。ただし、自社のターゲットが幅広い年齢層の場合や性別を問わない場合には、さまざまな年代から好まれる色合いを選ばなくてはなりません。
地域
同年代であっても、住んでいる地域によって色の好みが異なることも覚えておきましょう。ヨーロッパではオレンジ色が非常に人気で、収穫や実りと関連している色であるため多くの方が好む傾向にあります。これに対し、アメリカやカナダは黄色系統が人気で、アジア諸国では白が人気となっています。
また、ピンクなどのパステルカラーを好む日本の20代女性と比べて、中国の20代女性は土や植物など自然を想起する「アースカラー」を好むといわれています。また同じ地域で暮らしていたとしても、育ってきた個々の環境によって好む色が分かれることも理解しておきましょう。
社会性
一般的に、パッケージデザインの色は商品の特徴を連想して選ばれます。例えば日本では、温かいものや辛いものは赤色を、これに対して冷たいものは青色を連想するといった具合に、イメージされやすい色が定着しています。
他にも、白物家電と黒物家電もイメージが定着している商品です。白物家電は、冷蔵庫や洗濯機など生活するうえで必要となる商品のため、清潔感のある白で統一されます。対して、黒物家電はテレビやパソコンなどの情報に関連する商品で、黒を使用するケースが多いようです。しかし、白物・黒物だからといってすべてが統一されているわけではないので、自社のターゲットに刺さる色のパッケージデザインを選ぶようにしましょう。
パッケージ変更の事例
ハーゲンダッツ
ハーゲンダッツは定期的にパッケージをリニューアルしており、1984年に日本に上陸してから今日まで合計8回のリニューアルをおこなっています。現在の2019年に変更になったパッケージからは、それまでの高級感のあるシックな印象に華やかさと親しみやすさが加わり、より幅広い世代に手にとってもらいやすいデザインになっています。現在のパッケージデザインが歴代の中で一番人気を得ています。
鼻セレブ
王子ネピアは2023年10月に鼻セレブのパッケージをリニューアルしました。これまでの真っ白で清潔感や高貴な印象を与えるパッケージに黒やグレーの色味を加えることで、視認性を高めつつ高級感をプラスしています。
まとめ
今回の記事では、パッケージデザインの色の法則や4大販売色、タブー色についてご紹介しました。パッケージデザインは消費者に商品を購買してもらうきっかけの第一歩で、選んだ色によってさまざまな色彩心理を与えます。消費者の購買意欲を高めるためには、ひと目で商品イメージを連想できるパッケージデザインにしなければなりません。
しかし、性別や年齢、居住している地域、社会性などの観点から好まれる色は異なります。また、数多くある色の中でも特に使用される4大販売色がある一方で、商品のジャンルによってタブーとされる色があることも理解しておきましょう。
ブランコでは、単なるデザイン制作だけではなく、デザイン思考をベースとしてプロジェクトの分析から戦略立案、プロトタイプによる検証を踏まえた制作を行うことでプロジェクトを成功へと導きます。パッケージデザインに関するご相談がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
また、ブランディングについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
ブランディングについて | ブランコ株式会社