ブルーボトルコーヒーから読み解く、ファンを増やすブランド体験の構築

ブランド体験とは、顧客があるブランドとの接点を通じて感じ、経験するすべての要素を指します。例えば、肌身離さず持ち歩いているスマートフォンや、毎朝立ち寄るコンビニなども、ブランドによってそれぞれ異なる体験を提供しています。その中でも、ブルーボトルコーヒーは、上質なブランド体験を通じて多くのファンを魅了しているといえます。

ブルーボトルコーヒーは単なるコーヒーブランドではなく、ゲストがブランドに共感し、ファンになる体験づくりを徹底して行っています。本記事では、ブルーボトルコーヒーを軸に、ファンを増やすブランド体験の構築についてお話ししたいと思います。

ブルーボトルコーヒーとは?

私たちブルーボトルコーヒーは、2002年に創業者のジェームス・フリーマンによって、アメリカ・サンフランシスコで誕生しました。元クラリネット奏者というキャリアを持ち、練習のかたわら自宅の倉庫でコーヒー焙煎をはじめたジェームスは、世界中の豆に想いを馳せながら焙煎を追求するうちにコーヒーに魅了されていきました。
引用元:ブルーボトルコーヒーとは – BLUE BOTTLE COFFEE

ブルーボトルコーヒーは、2015年に東京の清澄白河に1号店をオープンさせたのち、関東圏や関西圏を中心に店舗を展開しています。

ブルーボトルコーヒーに熱烈なファンが多い理由

ブルーボトルコーヒーが多くのファンを獲得している理由は、その独自性とアイデンティティ、高品質な商品、スタッフのホスピタリティ、そして一貫性のあるブランド体験からきているものだと考えます。

ファンの口コミからの拡散も多く、口コミを通じて広がるその魅力は、美味しさだけでなく、スタッフのホスピタリティや心地よい店内の雰囲気にもあります。

ブルーボトルコーヒーが届ける「最高のコーヒー体験」

今回は、ブルーボトルコーヒーが提供する体験がどのようにブランディングの成功に結びついているのか、ブランド体験の構築という視点から見ていきたいと思います。

ブルーボトルコーヒーが一貫性のあるブランド体験を提供し、ファンを獲得している大きな理由として、社員への理念や行動指針の浸透だといえるでしょう。入社前の研修プログラムでは、ブルーボトルコーヒーのストーリー・カルチャー・ホスピタリティ・コーヒーに関する知識をじっくりと学ぶ機会があり、これはアルバイトから正社員まで全てのメンバーにその機会が設けられています。

ブルーボトルコーヒーにはマニュアルがありませんが、ゲスト一人ひとりに合わせたサービスを自分で考えて提供するという、パーソナライズされたホスピタリティに対する高い意識を浸透させることで、ゲストとのより密なコミュニケーションが生まれ、より良いブランド体験が生まれています。

例えば、ゲストの好みや気分に合わせて一緒にメニューを選んだり、商品のこだわりやストーリーなどを共有したり、ゲスト一人ひとりに合わせたコミュニケーションが印象的です。このように、画一的なマニュアルがなくとも、スタッフが同じ思いでゲストに向き合う土台づくりが、高い顧客ロイヤルティの構築に寄与していると考えます。

ファンをつくる鍵となるのは一貫性のあるブランド体験

ブルーボトルコーヒーは独自のストーリーとブランド哲学を持っており、一貫したブランド体験と深く結びついています。

“おいしいコーヒーをより多くの人に届ける”というミッションに向け、デリシャスネス、ホスピタリティ、サステナビリティの3つの企業理念を掲げ、これを忠実に、一貫性を持って実行しています。

デリシャスネスとは美味しさの概念で、ブルーボトルコーヒーが最も重要視している要素です。コーヒーは生豆の状態から、選定、焙煎、品質管理、抽出に到るまで、すべてのフェーズにおいて徹底した管理を行うことで常にベストな状態を保ち、高品質で一貫した味わいを提供しています。

そして、スタッフのゲストへ一人ひとりに合わせた丁寧な対応や店内での振る舞いなど、ホスピタリティにも高い意識をもって体験を提供しています。「パーソナライズされたホスピタリティ」への意識を各スタッフにしっかりと浸透させることが、“おいしいコーヒーをより多くの人に届ける”というミッション達成に繋がっているといえるでしょう。

サステナビリティの観点では、ブルーボトルコーヒーは自社で直接取引した生産者からの豆の使用やエコカップの推奨など、持続可能性と品質に対する積極的な取り組みを行っています。

また、「コーヒーチェリーフィズ」というドリンクは、コーヒーチェリーという果実を活用したシロップが使われています。この種がコーヒー豆となるため、通常は果肉部分はほとんどが使われずに捨てられてしまいますが、ブルーボトルコーヒーでは、そのまわりの果肉や皮の部分をシロップとしてアップサイクルすることで無駄なく活用しています。

これらの企業理念に対する一貫性のある行動が信頼を生み、高いブランドロイヤルティを築いています。

BLUE BOTTLE COFFEE TRUCK PROJECTから生み出す新たなブランド体験

ブルーボトルコーヒーでは、2023年3月からBLUE BOTTLE COFFEE TRUCK PROJECTという新しい取り組みが始まりました。これは、キッチンカーのようなトラックで全国各地を巡ることで、”会いにきてもらう”から”会いにいく”というゲストとの新たな接点を生み出しました。

ブルーボトルコーヒーでは、コーヒーを取り巻く体験に重きを置いており、「最高のコーヒー体験」という提供価値の最大化のために、あらゆる体験が設計されています。

例えば、店舗の内装はインテリアを含め、店舗ごとに全て異なるデザインが特徴的ですが、よりベストな状態でコーヒーを楽しめるよう、地域の環境やコミュニティに溶け込むようにつくられています。

BLUE BOTTLE COFFEE TRUCK IN FUKUOKAでは、大濠公園や警固神社など、都会にいながらも自然や歴史などが感じられる場所に出店されています。このように、アウトドア環境における「最高のコーヒー体験」の提供のために、出店場所の選定にもこだわりが感じられます。

ブルーボトルコーヒーは、単にコーヒーを提供するだけでなく、顧客が感じる体験全体にフォーカスし、”会いに行く”という新たなタッチポイントから新たなブランド体験を生み出すことで、ファンを増やしつづけています。

ファンをつくるブランド体験とブランディングの結びつき

ファンをつくるブランド体験とブランディングは密接に結びついています。一貫性を持ったブランド体験を提供することで、顧客はブランドへの共感を生み、高いブランドロイヤルティを確立していきます。ブルーボトルコーヒーのように、デリシャスネス、ホスピタリティ、サステナビリティという企業理念に対し、一貫性を持って実践することで多くのファンを獲得することができます。

このように、ブランディングは一貫性を持ったブランドメッセージを体験として顧客に伝えることが、ファンづくりの成功の鍵となっています。そのためには、ブルーボトルコーヒーのように、顧客と直接接点を持つスタッフへの考えの浸透が非常に重要であるといえます。

ブルーボトルコーヒーの例からも分かる通り、よりよいブランド体験は、ブランドのイメージ強化につながり、ブランディングの成功に繋がっていくといえるでしょう。

まとめ

今回、ブランディングをより身近に感じていただけるようなブルーボトルコーヒーのブランド体験についてお話させていただきました。日常生活において、ブランド体験は私たちが接するあらゆる瞬間に影響を与えています。

私たちは、ユーザー目線を大切に顧客のブランド体験から設計し、ブランドを育て、成功に導くブランディングを提案いたします。具体的に固まっていないけれど相談してみたいという段階からでも、お話を聞かせていただき、お取り組み方についてご一緒に考えさせていただきます。どうぞお気軽にお問い合わせをお待ちしております。

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