プラハに芸術文化を齎らした芸術愛好家 ルドルフ2世の驚異の世界展

福岡市博物館にて、2017年11月3日(金)〜12月24日(日)開催の「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」。
神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世が愛好した芸術家たちの作品が展示され、今しか見ることのできない九州初上陸の貴重な作品も数多く登場します。

神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世

ハンス・フォン・アーヘン作のコピー 《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》1600年前後、油彩・ キャンヴァス、スコークロステル城、スウェーデンSkoklosterCastle, Sweden

ハンス・フォン・アーヘン作のコピー
《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》1600年前後、油彩・
キャンヴァス、スコークロステル城、スウェーデンSkoklosterCastle, Sweden

ハスプブルク家に長男として生まれ、1576年ローマ帝国皇帝に即位したルドルフ2世。国を代表する指導者でありながら、政治能力には欠けていたようで、弟のマティアスにハンガリー王位を譲ったという実話も存在するほど。

しかし、その一方で教養に富んでいたことから、ルドルフ2世は芸術と学問の「偉大なる庇護者」と言われています。ルドルフ2世の芸術や学問に対する姿勢により、帝国チェコの首都 プラハには芸術家が多く集まり、文化的な繁栄を遂げました。

コレクション作品の魅力

本展には、ルドルフ2世が魅せられた芸術家たちの作品が集結します。

世界各地から芸術品や最先端の科学機器、新たに発見された植物や動物などが集められたルドルフ2世の部屋は、「驚異の部屋」と称されるほど。その一大コレクションの空間が、本展を通して福岡市博物館に形成されました。

ジュゼッペ・アルチンボルド 《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》1591年、油彩・板、 スコークロステル城、スウェーデンSkoklosterCastle, Sweden

ジュゼッペ・アルチンボルド
《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》1591年、油彩・板、
スコークロステル城、スウェーデンSkoklosterCastle, Sweden

本展の公式メインビジュアルにも使用されている野菜や果物をモチーフにした絵は、イタリアの画家 ジュゼッペ・アルチンボルドにより描かれたルドルフ2世です。野菜や果物で立体的に作り出すのではなく、人物を描くという斬新な発想に興味をそそられます。

九州初上陸のこの作品は、TVCMにも登場し、動画の終盤には野菜や果物が組み合わされできていく絵の様子を表現した、面白く、興味深いシーンも見られますよ。

アメリカ現代美術作家 フィリップ・ハースさんと、ルドルフ2世の驚異の世界展のコラボレーション作品も見どころの1つです。アルチンボルドの絵画を立体作品として再現し、同時に立体と平面の両視点で楽しむことができます。

《アストロラーベ》1600-50年、真鍮、スコークロステル城、スウェーデン SkoklosterCastle, Sweden

《アストロラーベ》1600-50年、真鍮、スコークロステル城、スウェーデン
SkoklosterCastle, Sweden

こちらのアストロラーベは、星の高度方位を計算することができる、古代使われた天体観測用の機器です。天文学や占星学に関心が高かったルドルフ2世は、星の観測とともにアストロラーベのシンプルな構造と見た目の美しさにも魅了されたのでしょうか。

当時の最先端技術、繊細かつ装飾的な作品、ルドルフ2世の生きた時代、あらゆるものが詰まった作品の数々。会場で実際に芸術の歩みを感じてみては。

貴重なイベント

展示会初日の11月3日(金)に、本展ヨーロッパ側監修者で、リール美術館(フランス)の館長を勤められていたアラン・タピエさんが来日し、ルドルフ2世のもと、花開いた芸術についての講演会が開催されます。

11月22日(水)には、福岡会場公式アンバサダーに就任した、コメディアンで、アーティストの片桐 仁さんによる「独善的博物館の楽しみ方・アートの魔力」をテーマにした講演会が行われます。

ほかにも福岡市科学館と協力したプラネタリウムや、フラワーライブパフォーマンス、弦楽アンサンブルコンサートなどのイベントが開催されます。イベントには事前申込が必要な場合もございますので、公式サイトをご確認ください。

ヨーリス・フーフナーヘル 《人生の短さの寓意》(二連画、部分)1591年、水彩・ヴェラム、 リール美術館Photo ⓒRMN -cliché StéphaneMaréchalle

ヨーリス・フーフナーヘル
《人生の短さの寓意》(二連画、部分)1591年、水彩・ヴェラム、
リール美術館Photo ⓒRMN -cliché StéphaneMaréchalle

ルドルフ2世の周りで活躍した芸術家たち、その芸術家たちに魅了され、新たな芸術作品や文化を交えながら現代の芸術家へと続く文化には圧倒されます。「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」で、芸術文化の原点に触れてみてはいかがでしょうか。

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