伊藤隆介さんによる現実と虚構の融合「天神洋画劇場」

福岡・天神イムズ内にあるギャラリー三菱地所アルティアムにて、6月4日(土)〜7月3日(日)の期間、伊藤隆介さんによる個展、『天神洋画劇場 伊藤隆介の「フィルム・スタディーズ」』が開催されています。

それぞれの視点で楽しむ

北海道教育大学の教授として美術教育を行う傍ら、映像メディア表現教育の研究をされている伊藤さんは、映像作品やビデオ・インスタレーションを手がけ、数々の個展やグループ展を国内だけでなくタイや韓国でも開催するなど、国際的な活動もされています。今回は九州初の個展となり、12点の作品が展示されます。

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天神洋画劇場は、映像インスタレーションという、映像と造形を組み合わせた手法を使い、その2つを同時に見ることで、モノの新しい見え方に気づくことができます。1人1人の視点で楽しむことができる個展です。

造形に“セット感”を残し、「作りものですよ」という部分をあえて見せ、さらにリアルタイムで投影することで、映画の裏側、現実さを強調してます。

作品の原点

展示作品は、70年代、80年代に繰り返し放送された人気パニック映画を元に製作されています。
これは、「わざわざ自分から恐怖体験をしにいく人間の心理に興味がある」という伊藤さんの心境からなり、パニック映画から連想させられる、現実味のある虚構や、虚構のような現実を表現しています。

カメラの動き、模型の精巧さ、ちょっとしたライティングなど、どの視点からもこだわる伊藤さんの作品は、すべて違う表現方法でできており、何度見ても不思議が尽きず、技術だけではない才能を体験することができます。

本展新作のためのスケッチ 2016年

本展新作のためのスケッチ 2016年

同じカメラでも動きを付けたり、向きを変えるだけで「こんなにも見え方が変わるのか」と、とても関心しました。

今回の展示作品以外にも、映画の裏側を暴いたような面白い映像をYouTubeなどで見ることができます。

TSUTAYAラインナップ

展示期間中、コラボレーションをしている「TSUTAYA BOOK STORE TENJIN」では、天神洋画劇場でモチーフにされた映画など、年代物のパニック映画が伊藤さんのコメントと共にラインナップされています。

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コメントには映画の感想だけでなく、「火事シーンのメイキング編が面白く、僕もやってみよう!と段ボール紙でビルを作っては庭で燃やすような小学生だった…」など、映画公開当時のあるあるネタや体験談を少し添えていることで、何十点もある作品全部にとてもそそられました。対象商品をレンタルすると、天神洋画劇場の招待券をもらうことができます。(※無くなり次第終了)
ラインナップされた懐かしい映画を鑑賞して、天神洋画劇場に行くと、同じ作品もまた違う見え方があるのでしょうね。

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