天下人が愛した美術品とともに激動の100年を見つめ直す「新・桃山展」

太宰府天満宮横 九州国立博物館にて開催されている「新・桃山展 大航海時代の日本美術」。

東京、京都、愛知、兵庫など、全国から日本の誇る桃山時代の国宝や重要文化財が集結。10月14日(土)から11月26日(日)まで展示されています。

大航海時代

鉄砲伝来から鎖国まで(1543〜1639年)のおよそ1世紀の間に繰り広げられた、アジアやヨーロッパとの交流の歴史を紹介する本展。織田 信長や豊臣 秀吉など、安土桃山時代の天下人たちが愛した巨匠の傑作、はなやかな美術品が登場します。

引用元:九州国立博物館 公式サイト

引用元:九州国立博物館 公式サイト

安土桃山時代は、日本人が初めて“地球が丸い”と知った時代。いまでは当たり前のことですが、400年以上ほどさかのぼるとまるで別世界のようですね。

当時の「国を代表する使節団をつくり海外に派遣」という方法で行われる海外との交流は、年単位の行事です。安土桃山時代の天正遣欧使節(てんしょうけんおうしせつ)と、慶長遣欧使節(けいちょうけんおうしせつ)の7〜8年という大航海を経て日本に伝わった貴重な作品を、航海路とともに探るのも楽しく、新たな発見があるかもしれません。

国宝・重要文化財

本展に登場する美術品は、およそ400年もの時を超えていまもなお大切に保管されているものばかりです。当時の状態を極限に保ち、長い年月を超えてきたとは感じさせないほど。

重要文化財 聖フランシスコ・ザビエル像 神戸市立博物館蔵

重要文化財 聖フランシスコ・ザビエル像 神戸市立博物館蔵

誰もが目にしたことのある重要文化財である聖フランシスコ・ザビエル像は、南蛮美術コレクター 池長 孟さんにより、1951年神戸市に譲渡され、現在 神戸市立博物館に収蔵されています。実物が日本に存在することに驚きですが、元々はコレクターの所有物だったということにも驚きを隠せません。

桃山時代を代表する絵師 狩野 永徳が描いた「唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)」(展示期間:10月14日〜11月12日)も12年ぶりに展示されます。曽祖父から代々芸術性の高い血を受け継ぐ狩野 永徳は、安土城や大阪城の障壁画を手がけた日本史に名をのこす芸術家です。

宮内庁が管理する「唐獅子図屏風」は、幅4.5m、高さ2.2mの屏風の中に2頭の獅子が迫力満載に描かれた作品です。

国宝 檜図屏風 狩野永徳筆 東京国立博物館蔵 ※展示期間:11月14日~26日

国宝 檜図屏風 狩野永徳筆 東京国立博物館蔵 ※展示期間:11月14日~26日

11月14日(火)より展示の国宝「檜図屏風(ひのきずびょうぶ)」。こちらも狩野 永徳が描いた作品です。まっすぐ伸びる印象の強い檜ですが、屏風にはしなやかに伸びる枝と、その枝を支える幹の力強さが描かれています。

当時の黄金が残り、写真ではおさまることのない迫力を間近で感じてみては。

国宝 松林図屏風 長谷川等伯筆 東京国立博物館蔵 ※展示期間:11月14日~26日

国宝 松林図屏風 長谷川等伯筆 東京国立博物館蔵 ※展示期間:11月14日~26日

ほかにも日本初公開や重要文化財、国宝など、たくさんの美術品が集結しています。

激動の100年を見つめ直す

重要文化財 花鳥蒔絵螺鈿聖龕 九州国立博物館蔵

重要文化財 花鳥蒔絵螺鈿聖龕 九州国立博物館蔵

観音開きの扉をつけた黄金に輝く祭祀具「花鳥蒔絵螺鈿聖龕(かちょうまきえらでんせいがん)」とともに、九州国立博物館エントランスホールには、秀吉がつくらせたと言われる“黄金の茶室”の復元品が展示されています。客をもてなす“茶室”という空間までも美にこだわる姿勢から、秀吉の人柄までうかがえますね。

音声ガイドには、俳優の草刈 正雄さんが起用されています。TVドラマ「真田丸」や「風雲児たち」など、数々の時代劇に出演される草刈さんによるガイドで、日本文化に新たな文化を吹き込んだ激動の100年を、2017年から見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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