謎に包まれたアーティスト、バンクシーが手掛けるアートホテルがイスラエルに誕生!
2017年3月11日(土)より、謎のストリートアーティスト・Banksy(バンクシー)の手掛けるアートホテル「THE WALLED OFF HOTEL」が予約受け付けを開始します。
正体不明のストリートアーティスト
バンクシーとは、イギリス・ロンドンを拠点に世界中で活動をしているストリートアーティスト。
名前も年齢も明かしておらず、社会を風刺したグラフィティアートやストリートアートを世界各地でゲリラ的に描き、作品を通してさまざまな問題提起をしています。
過去には、大英美術館やMoMAといった美術館での作品の無断展示や、夢の国ならぬ“憂うつの国”という廃墟のようなアミューズメントパーク「Dismaland」を、50人以上のアーティストとともに開催。5週間という期間限定でありながらも、世界中で話題となり多くの人を動員しました。
ニューヨークで1日1作品つくると宣言して実行したバンクシーの1ヶ月間を追ったドキュメンタリー「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」や、謎に包まれたバンクシーの制作風景を唯一みることのできる、彼自身が監督を務めた「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」など、彼にまつわる映画もあります。
“壁”を感じるホテル
イスラエルとパレスチナ自治区の境目に設置されている、全長700kmにも及ぶ分離壁――通称“アパルトヘイト・ウォール”と呼ばれる壁のすぐ目の前に、そのホテルはあります。
ほとんどの部屋が、イスラエル軍の監視塔から見える範囲内にあり、部屋の窓からは落書きだらけの“壁”を臨むことができます。
バンクシーをはじめ、パレスチナのSami Musa、カナダのDominique Petrinが客室をカスタム。専用バスルーム、無線LAN、冷蔵庫、金庫、エアコンなど通常のホテルの設備ももちろん備えています。
プランジバス、図書館、オリジナルアートワーク、ホームシネマ、屋上庭園という豪華な設備のスイートルームや、イスラエル軍の兵舎の余剰物でつくられた、1泊30ドルで泊まれる部屋もあります。
イギリス植民地時代の“前哨基地”をテーマにしたピアノバーでは、催涙ガスの煙を吸い込んだ彫刻や、荒らされた油絵などバンクシーのコレクションを見ることができます。
パレスチナ人アーティストの作品を集めたギャラリーや、この地域の歴史にまつわるモノや物語、証言が展示された博物館も併設。博物館、ギャラリー、ピアノバーは宿泊客以外にも開かれています。
アートの力
THE WALL OFF HOTELがオープンすることで、世界中から注目を集め、“パレスチナ問題”に改めて人々の関心を向けることができます。世界中から観光客が訪れれば、イスラエルの現状を多くの人に知ってもらうことができます。
ただいたずらに問題提起をするだけではなく、平和を願うような作品も多く描いているバンクシー。アートの力を強く感じる、この大きなプロジェクトは、とても彼らしいアプローチといえるのではないでしょうか。
英国がパレスチナに進出してから、2017年で100年を迎えます。THE WALL OFF HOTELも100年以上続くホテルを目指しているとのことですが、パレスチナ問題が解決し平和が訪れたら、このホテルの役目も終わるのかもしれませんね。
THE WALLED OFF HOTEL
182 Caritas Street, Bethlehem, Palestine
2017.3.11(土)18:00より予約受付開始