FacebookのUIはどのように変化している?ユーザー離れを起こさないUIの変更方法とは
大手WebサービスのFacebookは、2004年にリリースされてからUIが何度も変更されています。WebサービスのUI変更は、一歩間違えるとユーザー離れを引き起こすリスクがあるにもかかわらず、Facebookは多くのユーザーから長期的な人気を獲得しています。
では、ユーザーからの人気を維持したままUI変更を実施するには、どのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか。この記事では、ユーザー離れを起こさずに効果的にUIを変更する方法について、Facebookを一例に挙げて解説します。
UI変更の目的と効果
UI変更では、新機能追加に伴うデザイン変更や、既存機能の利便性向上における読み込み速度調整など、様々なアップデートが行われます。ユーザーにとって使いやすいサービスを提供することにより、コンバージョン率やリピート率の改善を目指します。
UI変更によって成果をだすには、ターゲット層に応じたUIを設計・構築することが大切です。適したコンセプトのUIを設計し適切に変更すれば、ユーザーエクスペリエンスの向上が見込めます。しかし、ユーザーの需要と異なるUI変更を行えば、自社サービスに対する評判の低下や既存ユーザーの減少を招く恐れがあります。そのため、実際にUI変更を検討する際には、アンケートや運用記録などからデータを集計し、事前に慎重に検討することが重要です。
なお、新機能の追加やデザインを大幅に変更するといったアップデート内容を、自社サイトやアプリストアで公開・宣伝することで、さらなるユーザーの獲得につなげられる場合もあります。
FacebookのUIはどう変わった?
冒頭でも触れたとおり、Facebookは継続的にUI変更を実施しているWebサービスの一つです。これまで主要な機能から細かい要素まで、多くのアップデートが実施されてきました。
ここでは、Facebookが近年実施したUI変更内容を具体的に紹介します。また、大手WebサービスのUI変更に対するコンセプトを把握する参考として、大手SNSサービスの「mixi」が実施したUI変更内容も併せてご紹介します。
FacebookのUIの具体的な変更内容
Facebookでは、UIの切り替え時に準備期間を設け、UI変更を段階的に実施しています。
近年では、2020年5月にPC版Facebookにて以下のようなアップデートが行われました。
- ダークモードへの切り替え機能追加
- ロード時間の高速化
- ニュースフィード幅の拡張
- 文字サイズの拡大
2020年8月までは変更前のUIデザインに切り替えられましたが、2020年9月からは全ユーザーに対して新しいUIが適用されています。
また、2021年1月にはFacebookページに対する「いいね」機能の削除、専用ニュースフィードの追加、新しいQ&Aフォーマットの追加などが実施されました。アップデート前に行われた「いいね」はフォロー欄に統合されており、ニュースフィードに表示されるサイトは変動していません。
そのほか、ページの所有者または管理者がフォロワーと直接交流を図れる場として、専用ニュースフィードやQ&Aが追加されました。
mixiのUI変更の場合
Facebookとは対照的に、UIを大幅に変更させたWebサイトの代表が「mixi」です。
mixiは、2004年にリリースされたWebサービスで、2011年5月から10月にかけて、スマートフォン版・モバイル版・PC版の大幅なUI変更を実施しました。
具体的には、写真や音声などリアルタイム性が高い情報と、mixiの特徴である日記を初めとした文量が多い情報をバランスよく表示することをコンセプトとして、UI変更を実施しています。
例えば、モバイル版では、当時新しく実装された「mixiボイス」や「mixiチェック」への投稿ボタンをホーム画面上部へ移動し、リアルタイム性が高い情報をホーム画面上部へ表示させました。また、ホーム画面のカラーリング変更といったデザインの変更も行われています。
これらの大幅な変更には、当時のSNSの流れも関連しています。UI変更を行った当時は、動画投稿やハッシュタグといったリアルタイム性が高い機能を持ったSNSが普及しており、トレンドの変化にmixiが対応を進めたという背景があるようです。
UIの変更方法と特徴
UI変更を実施する際には、現時点でのデザインやユーザーの要望などを考慮して変更内容を決定していきます。ここでは、UI変更を徐々に進める場合と、大幅な変更を実施する場合のメリット・デメリットについてそれぞれご紹介します。
UIを徐々に変更させる場合
アプリやWebサービスのUI変更を実施する際は、小規模なアップデートを繰り返して徐々にUI変更を行うパターンが一般的です。制作コストを抑えやすく、既存ユーザーのニーズやフィードバックを確認しながらアップデートを進められるほか、ユーザーも急な変化に戸惑わずに対応できるため、ユーザー離れを起こしにくくなります。
一方で、「新機能に合わせた変更が行いづらい」「新規ユーザーへのアピール効果が薄い」といったデメリットも存在します。そのため、機能の追加や変更などを行う際には、ユーザーが新しいUIを利用する機会を設けたり、段階的に切り替えを進めたりするといった対策を講じると良いでしょう。
UIを大幅に変更させる場合
上述したとおり、ユーザー離れを防止するためには、徐々にUIを変更させるのがおすすめです。しかし、状況によっては大幅に変更させるべきという場合もあります。
まずは、「既存ユーザーがほとんどいない場合」です。UIの改良はユーザー拡大の手段として有効なので、こういった目的で大規模なアップデートが行われる場合があります。
もう一つは、「全体のユーザーエクスペリエンスが複雑になりすぎている場合」です。「メニューやダイアログボックスが複雑で、項目を見つけづらい」「機能がまとまりすぎていて乱雑」などの点が見受けられる場合、思い切って大幅なUI変更を行った方が良いでしょう。
ただし、大幅なUI変更は、既存ユーザーからクレームを受けるリスクが高くなります。現在のUIに使い慣れているユーザーであるほど、操作感が全く異なるUI変更に対して否定的になる傾向があるためです。「明確なコンセプトを持たない」あるいは「開発者にとって目新しいデザインを作りたい」といった理由でUI変更を実施した場合、サービスに対する評価やリピート率などが低下する恐れがあるでしょう。
実際に、大手企業が運営するWebサービスでも、大幅なUI変更によって既存ユーザーからクレームが集中したケースがあります。UI変更によってユーザビリティが明確に向上している場合でも、操作方法などの変更によってクレームが発生する場合があることを覚えておきましょう。
なぜなら、ユーザーは、ユーザビリティを明確に向上している場合でも、「慣れ」というユーザビリティを失うほうが損失が大きいと感じてしまうからです。WebサービスのUI変更を実施する際には、「既存ユーザーに対する影響」「アップデートを行う目的」を考慮してからアップデートを検討することが肝要です。
まとめ
UI変更によるユーザー離れを防ぐには、基本的な操作方法を維持しながら、徐々に変更を行う手法がよく用いられます。変更箇所が多くなる場合、旧UIと新UIを選択できる準備期間を設けることも大切です。
また、大規模な変更はユーザー離れを起こしやすいという面がある一方で、システムの根本的な改修や、新規ユーザーの集客などを目的とする場合には大きなメリットを受けやすいという特徴があります。それぞれの特徴を理解して、適切なUI変更を行いましょう。
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