本屋の枠に収まらない「solid & liquid」で本との出会いを楽しむ
本・雑貨・カフェの3つの業種からなる、新しいリーディングスタイルを提案する「solid & liquid」というお店が、昨年11月福岡の天神イムズ4FにOPENしました。
本との出会いをつくる
「本屋さんなのに?」と疑問が浮かびますが、ここではベストセラーの本はほとんどなく、他の書店であまりピックアップされていないような、どこにあるのか見つけにくいような本をメインに取り揃えています。
元々の母体は「本と読者の豊かな出会いをつくる」をキャッチコピーに、本屋さんへ本の卸をしている取次会社、株式会社大阪屋。solid & liquidはその子会社である「リーディングスタイル株式会社」が展開する新規事業としてはじまりました。
solid & liquidを直訳すると「固体と液体」。固体は“本”、液体は“コーヒー”を、また、“堅い意志”と“柔軟な発想”をあらわしています。
本をメインに、ゆったりと本を楽しめるカフェスペース、そして本にまつわる雑貨も扱う、本との出会いをつくるさまざまな仕掛けが随所に散りばめられた、ユニークなお店です。
さまざまな切り口の“仕掛け”
いくつも用意されている仕掛けのひとつは、「BIRTHDAY BUNKO」。
誕生日と著者名がピックアップされたブックカバーで、著者の誕生日別に366日分の本が並び、自分と同じ誕生日の著者の本を探すことが出来ます。
本を薬に見立て、症状別におすすめの本を紹介している「Bibliotherapy」では、「絶体絶命で大ピンチ」「失恋」「たいくつ」「最近泣いていない」「上司とウマが合わない」など、さまざまな症状に対する90の処方箋が揃っています。
第1弾が好評だったため、第2弾として9月1日から処方箋の内容が一新。以前は70だった処方箋数が、今回は90にボリュームアップしています。以前に覗かれた方も、また新たな本との出会いがあるかもしれません。
併設されたカフェスペースでは、1オーダーすれば購入前の本を3冊まで持ち込めるほか、“本でお腹を満たそう”というキャッチコピーで「Book burger」なるメニューも。
ハンバーガーに見立てて包装された本を、小説の中に登場するメニューと、その登場シーンの文章を頼りに選ぶという、“食べ物”という視点から本と出会うことができます。
毎月メニューが変わり、今月はシナモンロール、コンソメスープ、ミートパイがそれぞれ登場する3種類の小説の中から、好きなものを選べます。
普段本を読まない人も、本が好きな人も
いくつもの仕掛けに共通しているのは、本の情報をあえて部分的にしか開示していないこと。
そうすることで、普段本に親しんでいる人はいつもと違う視点で本を選べ、本をどう選んだらいいかわからない人には、余計な情報をシャットアウトすることで直感的に選ぶ手助けをしています。
店長さんのイチ押しは旅行の棚。
「ここはうちの存在意義ともいえるほど、魅力が凝縮した棚です。ただ地域別のガイドブックを並べるだけでなく、その地域を舞台とした文芸本を一緒に並べることで、旅行の際に実際に目にした景色と物語の中の情景を重ねあわせたり、登場人物に思いを馳せたりと、旅行の面でも読書の面でも深い楽しみ方ができるのではないかと考えています。」
旅行の棚に限らず、登山関連の本の隣にはリュックが、料理本の近くにはキッチン雑貨が一緒に置かれているなど、本やそれを手に取るお客様への心遣いが、お店の至るところに込められています。
カフェメニューも個性的
女性一人でも入りやすい、明るく開放的な雰囲気のカフェでは、ドリンクだけでなくサンドイッチやカレーといった食事も楽しめます。
一番人気のメニューは、「ニッポン」という名前のサンドウィッチ。厚みのあるふわふわのだし巻き卵に海苔と刻んだガリが入っているという、どこを見ても個性が尖った1品です。
コーヒーはこだわりのサードウェーブコーヒー。とても個性的な味なので好みはわかれると思いますが、酸味が強く深みがある、個人的にはとても好みなコーヒーでした。
読書ってクリエイティブ!
読書は活字から情緒や情景を想像する(もしくは創造する)、とてもクリエイティブな行為だと思います。本はページを開くだけでいつでもどこでも、自分と全く違う人の経験を疑似体験できるという、不思議なツールです。
カフェを訪れた際、雑貨を買いに訪れた際、なにか解決したい悩みがあるときなど、solid & liquidで本との素敵な出会いをされてみてはいかがでしょうか。
solid & liquid
本との素敵な出会いを提供する新しいタイプの本屋