ナショナリティとブランディング
ナショナリティの評価
「君は日本人なの?喜んで乗せるよ!」アメリカのUberドライバーに言われたその言葉で、初めて日本人というナショナリティがブランドとなっていることを実感しました。
生まれた時からすでに日本人。日本人として日本で生活してきて、自分が日本人であることがどういうことなのか意識したこともなかった25年間。26歳でアメリカに移住した私は、何気ないドライバーの言葉で初めて日本人であることに気付かされた気がしました。日本の技術や製品が「ジャパンクオリティ」として評価されていたことは知ってはいたけれど、日本人自体もまたナショナリティだけで評価されているとは思っていませんでした。
ナショナリティのブランド化
ドライバーに、私がただ日本人というだけでなんで喜ぶのか聞くと、「今まで乗せてきたお客さんで、車の中で飲んだり食べたりせず、静かに穏やかに乗っているお客はだいたい日本人だったよ。彼らを乗せている時が一番安心して運転できるんだ。」
その当時はUberやLiftといったライドシェアサービスがまだ始まったばかり。一般のドライバーが自身の車に客を乗せるため、マナーという点で乗客とのトラブルもよくありました。
日本人というだけで乗客として喜ばれたのはこの1回だけではなく、アメリカ在住の間は多々あり、特になにもせず、ただ乗っているだけの私のUberアカウントでのドライバーからの評価はいつも満点。これは私自身が評価されているのではなく、日本人というナショナリティがブランドとして評価されている結果でした。
日本人ブランドを押し出すブランディング
タクシーでの日本人ブランドを実感した私は、できるかぎり日本人というナショナリティを利用して、自分自身をブランディングしていくようになります。(決して悪いことには利用していません!)
例えば引っ越し。アメリカでは早いもの勝ち!というのはほとんどなく、大家さんが問い合わせをしてきた人たちの中から最適な入居者を決めるというシステムなので、銀行口座の残高証明証以外にも万全の準備が必要です。そんな中、役に立ったのがやはり日本人ブランド。
自分が日本人であるのを明確にするのはもちろん、内見の際には自身でスリッパを準備し、中に入る時にはしっかりと靴を揃え、家の中を案内してくれるのは大家さんなので、最後にはちょっとわざとらしいかもしれませんが手土産を渡し・・・結果その場で即契約となり、3階建ての綺麗な家に引っ越すことが出来ました。
まずは自身が日本人ブランドを持っていることをしっかりと認識すること。そしてそれを適切な場所、適切な形でターゲットに見せていくブランディングは、しっかり私のアメリカ生活に効果をもたらしてくれました。
SNSに見るナショナリティとブランディング
ナショナリティを活かしたブランディングはSNSでもよく見られます。
アメリカ人というブランドの中に見られるのはやはり「自由」という考え方。これは「freedom」の方の自由ではなく、自由の女神でも用いられている言葉「Liberty」の方です。奴隷ではなく、一人一人が人格を持ち、尊重されるということです。
この考え方が根付いたアメリカ人というブランドはやはりパワーがあり、そのパワーを活かした彼らのブランディング・発信力は、フェミニズムやジェンダーなどの社会的運動において大きな影響をもたらしているのが見えます。近年また話題になっていた#Metoo 運動など、多くがアメリカから始まっています。
日常に隠れたブランディング
ブランディングは、そのものの価値をしっかりと理解し、ターゲットに対して適した形で最大限に発信し、ターゲットとしっかりとエンゲージする道を拓いていきます。プロダクトやサービスだけではなく、私達自身においてもしっかりと影響や効果をもたらしてくれる方法です。
このナショナリティに関しても、ふと立ち止まって見てみると、自分のアイデンティティにもつながるようなちょっとした価値を実感できるブランディングを体験できた、いい発見だったと思います。
日常の中の何気ないものをブランドとして捉えてみると、もう少しブランディングが身近なものに感じられ、それを通して日常も豊かなものに感じられるのではないでしょうか。
私達は、さまざまな視点からブランドの価値を見いだし、ユーザー目線を大切にし効果を最大限に発揮するブランディングを提案いたします。どんな些細な相談からでもお問い合わせをお待ちしております。
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