仮説思考と網羅思考とは?
みなさまは仕事をしている中で、こんなことはありませんか。
・新しいアイディアを出したいけれど浮かばない
・売上が伸び悩んでいるが理由が分からない
・集客したいのに思うように人が来ない
・人手が足りないけれど求人をかけても応募がない
・そもそもどこが問題点なのか分からない
難しい問題にぶつかって「どうすればいいのだろう」と考えたことは、誰でもあるのではないでしょうか。ですが、やみくもに行動していてはいつまでも答えにたどり着けません。こんなときに役立つのが仮説思考と網羅思考です。今回は仕事の質やスピードを上げたい方々のために、仮説思考と網羅思考をご紹介します。
仮説思考とは
仮説思考とは、今持っている限られた情報から「おそらくこうだろう」という仮説を立て、検証をしていく思考法のことです。客観的な事実だけを見るので、考えるべきこと、調べるべきことを大幅に絞り込んで、効率よく問題を解決することができます。もし当初の仮説が外れていてもすぐに修正することができるので、また新しい仮説を立てて検証することで、よりよい答えに近付けます。
例えば、あなたがECサイトを運営していて「売上が減っている」という問題を抱えていたとします。一般的に買う人が多いほど売上も増えるので、まずは「売上が減ったのは、買う人が減ったからではないか」という仮説を立てることができます。
「買う人が本当に減っているのか」を調べてみて、実際に人数が減っていると分かれば、次は「なぜ買う人が減ったのか」について仮説を立てることができます。「サイトを訪問する人が減ったから」「競合ブランドに顧客を取られているから」などいくつか要因は考えられますので、可能性の高そうな要因を選んで、それを証明できるようなデータを調べればよいのです。
もし「買う人が本当に減っているのか」を調べてみて、買っている人数自体は減っていないことが分かったとします。そうなれば仮説を修正し、「売上が減ったのは、購入単価が下がったからではないか」という新たな仮説を立ててみます。調べてみて実際に購入単価が下がっていれば、「その場しのぎで値下げしすぎているから」「商品のクオリティが低いから」などさまざまな要因が考えられますので、またその中から可能性の高そうな要因を仮説として、それが正しいのか調べて検証すればよいのです。
問題を解決しようとするとき、「何から考えればよいか分からなくなった」「重要でないことに時間を使ってしまった」「あれこれ考えているうちに論点がずれてしまった」ということがしばしば起こりがちです。そんなときに仮説思考を用いると、膨大な情報に振り回されず、問題点を早く見極められます。
網羅思考とは
網羅思考とは仮説思考の反対で、できるだけ多くの情報を集めてから、分析して答えを出す思考法のことです。多くの情報を集めるため、視点の偏りやバイアスをなくし、客観的に考えることができます。また、集めた情報が多ければ多いほど、全体を把握して効果的な戦略を立てたり、新たな視点やアイデアに気付いたりすることができます。
例えば、あるスーパーでトマト、きゅうり、なすの売上が好調だとします。これらの野菜に共通するのは「夏野菜である」という点です。つまり、
・トマトがよく売れている
・きゅうりがよく売れている
・なすがよく売れている
これら3点の情報から
・このスーパーでは夏野菜がよく売れる
・夏野菜を多く仕入れれば、このスーパーの売上が増える可能性がある
という結論が導き出せます。
さらに情報を集めて「オクラも売れている」というデータも得られたとすると、「このスーパーでは夏野菜がよく売れる」という結論の確実性はより高くなります。ここまでの情報ですと「このスーパーでは夏野菜がよく売れる」という結論は正しいかのように思えます。ですが、もし「とうもろこしは売れていない」というデータが追加で得られたとしましょう。すると、「夏野菜だから売れるわけではない」「夏野菜を仕入れたからといって、このスーパーの売上が必ず増加するとは限らない」と分かります。
この例の場合、どんな野菜が売れていて、どんな野菜が売れていないか、集めた情報が多くなるほど結論に近付いていきます。情報を集め始めるとキリがありませんが、主観的にでも「これだけ考えればよいだろう」というところまで出し切って、それを網羅して結論を出すのが、網羅思考のポイントになります。
仮説思考と網羅思考はどちらが優れているのか?
ビジネスにおいては一般的に「仮説思考の方が優れている」とされることが多く、実際「仮説思考 網羅思考 違い」などのワードで検索をすると、仮説思考を勧める記事や書籍がたくさんヒットします。ですが、仮説思考、網羅思考のどちらにもメリットがあり、状況によって使い分けるべき大切なスキルではないかと私たちは考えています。
仮説思考のメリット
先にもお伝えしたように、仮説思考は早く問題解決を行いたいときに役立ちます。仮説から考え、そこから逆算して「仮説の証明に必要な情報は何か」を考えることで、本当に必要な情報のみに集中し、答えに早くたどり着けるためです。スピーディーな決断を求められる場面で網羅思考を用いてしまうと、
・情報を集めるのに時間がかかり、その間に問題が変化してしまう
・情報を集めているうちに他社に出し抜かれ、利益を逃してしまう
などの問題が起こります。情報があふれ、環境の変化が激しい今、スピーディーに問題解決を行える仮説思考は必須の思考法ではないでしょうか。
ここで、私たちが仮説思考で問題を解決した事例をご紹介します。私たちはオフィシャルサイトと、オウンドメディアであるSwingsの改善を続けています。ボタンの文言変更によるクリック率向上や、ランディングページのトップでのセクション入れ替えによる導線設計など、ABテストによる仮説検証を行いました。その結果、問い合わせ数を約400%増加させることができました。
A/Bテストとは、バナーや広告文、Webサイトなどで「おそらくここが成果に影響しているだろう」という部分を仮定して、その部分だけを変更したAパターン、Bパターンをつくり、ランダムにユーザーに表示して成果を比べるテストです。
広告やWebサイトの成果には、時期や集客施策の状況などのさまざまな要因が影響します。ですが、A/Bテストは両パターンを同時に試せるので、同じ条件で正しい評価を行えます。このように、限られた情報からまず仮説を立て、検証と修正をスピーディーに繰り返していったことが、この事例における成功のカギです。
網羅思考のメリット
網羅思考のメリットは大きく分けて2つあります。
1.思わぬ方向から根拠を切り崩されないこと
網羅思考はできるだけ多くの情報を集めてから答えを出すので、必要な裏付けが最初から全て揃っています。ですので、例えば誰かに対して主張をする際や、クライアントにプレゼンをする際などに、想定外の点を指摘されて話をひっくり返され、あたふたするということがなくなります。
2.漏れや重複がなくなること
網羅思考を用いると情報全体を見るため、漏れや重複に気付きやすくなり、偏りなく整理することができます。例えば、商品を誰にアプローチして売るのか決めるための調査をしていて、職業で分類したとします。
学生/主婦/アルバイト/会社員
何がおかしいかお気付きでしょうか。この分類には、自営業の人が含まれていないという漏れがあります。さらには、学生でアルバイトをしている人もいますし、主婦で会社員の人もいるので重複もあります。正しい分析をするためには、情報を網羅的に見て整理することがカギになります。
まとめ
私たちは仮説思考、網羅思考のどちらも取り入れた戦略立案と検証を行っており、デザインだけでなくブランディングにも強みを持っています。事業を成功させるためには、企業やブランドの特徴、競合する企業・製品との違いをあらゆる方面から深掘りして、差別化しなければなりません。誰のためにどんなものをつくるのかを、私たちならではの視点で分析し、クリエイティブに落とし込んでいます。私たちと一緒に、事業の成功を目指してみませんか。新規事業やプロジェクトの立ち上げから制作、運用のご相談を受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。