なぜ日本で「ブランディング」が広く認知されるようになってきたのか

皆さんは「ブランディング」という言葉をご存知でしょうか。言葉の説明はむずかしくとも、一度は耳にしたことがあるという方が多いと思います。ではなぜ、ブランディングという言葉がここまで広く認知されるようになったのでしょうか。今回はその背景と今後の動向について紹介します。

 

ブランディングの認知度の変化

近年、SNSやメディアでも当たり前のようにブランディングという言葉が使用されているのを見かけます。ブランコでもブランディングのご依頼が年々増加しているのを実感していました。

実際にGoogleトレンドで日本国内のブランディングのトピックについて調べてみたところ、過去10年間で人気度が上昇し続けていることがわかります。


※Googleトレンドから算出した日本とアメリカの「ブランディング」トピックの動向_期間:2013/04〜2023/03

元々日本より認知度が高かったのもありそうですが、アメリカ合衆国のグラフはほとんど横ばいに推移しており、特に日本でブランディングの認知度や需要が高まってきていると考えられそうです。

 

日本におけるブランディング浸透の背景

では、なぜ日本でブランディングの認知度が拡大し続けているのでしょうか。それには、消費者側と企業側の双方の意識の変化が影響していると考えられます。

消費者の意識の変化
現代の日本において一定の生活水準を満たす環境を整えることはむずかしくありません。当たり前のように消費者のニーズを満たしてくれる商品やサービスで溢れています。

そのため消費者は、購買の際に品質だけでなく、企業のブランドとしての付加価値やストーリーに共感できるかどうかも基準のひとつとして考えるようになりました。消費者自身もブランディングに対する意識が高くなっているので、単に商品やサービスを購入するだけでなく、自分自身のアイデンティティやライフスタイルを表現するために共感できるブランドを選択するようになっています。

企業の意識の変化
消費者が受け取る情報量や選択肢は、デジタル技術の進化やSNSの普及により急激に増加しています。スマホやPCを持っているだけで、いつでもどこでも情報の発信と入手が気軽におこなえるようになりました。また個人の発信力も強くなっているので、企業ではなく個人のブランドにファンがつくことも多くなっています。

このように、激しい競争が横行する現代社会において、企業はブランディングに取り組むことが不可欠となってきています。競合他社に顧客や人材を奪われないためにも、ブランディングの重要性を再認識し、主体的に取り組む企業が増えています。

 

時代の流れとブランディングの今後の動向

現代社会は急速に変化しており、今後ますますブランディングの重要性が高まっていくでしょう。

人口減少
日本の人口減少は深刻な状態であり、今後もさらに悪化していくと予想されています。

2022年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は前年比5.1%減の79万9728人で、1899年の統計開始以来初めて80万人を下回ったことが28日、厚生労働省の人口動態統計(速報値)で分かった。国内の外国人などを除き、日本在住の日本人だけに限れば77万人前後になるとみられる。政府機関の推計より10年ほど早いペースで少子化が進んでおり、この傾向が続けば、社会保障制度や国家財政の維持が厳しさを増すのは避けられない。

出典:株式会社 中日新聞社. “2022年の出生数、初の80万人割れ 想定より10年早く…「賃金が低いから無理」:東京新聞 TOKYO Web.” 東京新聞, 1 March 2023, Accessed 28 April 2023.

この人口減少により、顧客や労働者の獲得がますます困難になると考えられます。企業はブランドとして、ユーザーと継続的に深いコミュニケーションをとることで、ファンを獲得し、顧客単価の増加や関係性の長期間の継続を図ることが必要です。また、外部へのアプローチだけでなく、従業員をターゲットとしたインナーブランディングも進めることで、離職率の低下へ繋げることができます。

価格競争の限界
日本では高品質で低価格の商品やサービスが主流となっていますが、価格競争には限界があり、物価高騰にも大きく影響を受けてしまいます。実際に、近年の円安や世界情勢の影響を受け苦しんだ企業も少なくありません。

価格競争から脱却するためには企業が価格以外の価値を見出し、それを伝えていくことが必要です。日本には値上げに対して否定的な文化がありますが、それはブランドの価値を伝えることを怠っている企業側にも要因はあると思います。謙虚な姿勢は美しいものですが、そのせいで会社やその従業員を守れないことを、はたして美しいと言えるのでしょうか。
低価格であること以外にもブランドの価値は必ずあります。他にはない独自性を訴求していくことで、他社との競争から脱却できるのです。

AIの普及
今話題のChatGPTなど、高機能なAIの急速な普及により、品質による差別化はますますむずかしくなっていくと考えられます。Googleも、SEOにおけるコンテンツの評価要素として独自性を新たに追加しました。

品質を安易に保てることが理解できた消費者は、さらに他にはない独自性を求めるようになっていくでしょう。よりクリエイティブなブランディング戦略を展開することが求められると予想されます。

 

まとめ

ブランコでは、会社の規模や事業内容に関わらず、さまざまなお客さまのブランディングのサポートをしています。ブランディングはプロジェクトの規模が大きく時間やコストもかかるため、なかなか一歩を踏み出すのがむずかしいかもしれません。
ですが、本記事でお伝えしたように今後事業を展開していくうえで必須となってくる取り組みです。ご質問やお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

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