未来の食事を変える「Project Nourished」で広がるVRの可能性
“What if you can anything you want without regret”
(もし後悔することなく好きなものを何でも食べられるとしたら?)
VR(仮想現実)を用いた新しい食事体験を取り入れることで、ダイエットや食物アレルギーによる厳しい食事制限から解放されるかもしれません。
新しい食事体験
「Project Nourished」は、VRを取り入れた食事体験のプロジェクト。味、香り、食感はそのままに、ほとんどカロリーを摂取することなく、これまでにない新しい方法での食事体験をすることができます。
これはロサンゼルスにある、ヒトの状態をより良くする新しい技術の研究と構築をするシンクタンク「Kokiri Lab」が行っているプロジェクト。
当プロジェクトには、シェフ、作曲家、分子混合学者、食品科学者、インタラクションデザイナー、オーディオエンジニア、建築デザイナーなど、さまざまな分野の専門家が参加しています。
6つの道具で体験を“つくり出す”
わたしたちは普段、見た目、味、香り、食感、硬さ、食べる時の音という、さまざまな感覚的インプットにより、いま自分が食べているものを認識しています。
逆に言えば、それらの感覚を外部刺激で補ってしまえば食事体験をコントロールできるということ。
Project Nourishedでは、6つの道具を用いて驚きの食事体験をつくり出します。
超音波と熱を利用して、さまざまな食品のにおいを再現するアロマディフューザー。食べものと食べる環境を映し出すVRヘッドセット。骨などを介して噛んだ時の音を鼓膜に伝える骨伝導トランスデューサ。食べている時の動きをVR内に反映するセンサー付きの器具。センサーが内蔵されたVRカクテルグラス。3Dプリントでつくられた味や食感を再現する食べもの、の6つです。
3Dプリンターでつくる食べものに海藻や酵母といった素材を用いることで、低カロリーかつ食品のサステナブル化を図ります。
食事にまつわる新たな展開
以前「つくると!」という“ものづくり”のイベントに参加した際、「ARamen~そうめんをラーメンに変化させる~」という、FITポケットラボによる取り組みを体験したことがありました。そうめんの上にとんこつラーメンの3DモデルをAR(拡張現実感)で重ね合わせて食べることで、脳を騙して感じる味を変えるという試みです。
オキュラスリフトを装着し、とんこつラーメンの映像を見ながらそうめんを食べると、ひと口味わうごとに風味がどんどんとんこつラーメンに近づいていき、すごく不思議な体験でした。
Project Nourishedも、外部からの刺激を与えることで思い通りの食事体験を提供します。
このサービスが実用化されれば、ダイエットや食物アレルギーによる食事制限が必要な方でもストレスなく食事を楽しむことができ、現実には存在し得ない新たな食べものをつくり出したり、遠い場所にいる人と隣り合っているかのように食事を楽しめるなど、食事にまつわる新たな展開が期待できそうです。
実用化にあたり、ユーザーが食事に没頭できる環境と、食事において重要な歯ごたえや香りの再現度をより高めていく必要性がありますが、技術の力でどのように解決していくのでしょうか。今後の動きに注目したいですね。
Project Nourished
VRを取り入れた、これまでにない食事体験を提供するプロジェクト