アメリカで体験した豊かなコミュニケーションと豊かなクリエイティビティ

コミュニケーションにスキルは必要か

コミュニケーションを豊かにする条件としてみなさんは何が必須だと思いますか?
「語彙力」「理解力」「発言力」等、何かしらのスキルが長けている必要があると感じている方が多いと思います。私も以前はそう思っていました。

特に自分は言葉で伝えるのが苦手だったので視覚や色彩の表現でもコミュニケーションができるデザインの世界に惹かれた部分もあります。ですが、アメリカ留学で経験した出来事が、コミュニケーションはもっと単純なことで成り立っていたことに気づかせてくれました。

 

共感と交流

私は20代後半の3年半を大学院でデザインと広告を勉強するためアメリカで過ごしました。言語の違いもあって言葉で伝えることの難しさに悩む中、せめて語彙力を高めようといろんな方法で勉強していました。そんなある日、プレゼンテーションが終わったあと先生にこう言われます。

「作品はよかったと思う。でも、僕はちゃんと理解できていないと思う。」

自分の語彙力のなさを気にしていたし、それがコンプレックスでもあったので「私の英語おかしかったですか?」と思わず聞きました。(なんて生意気!)
先生はこう続けます。

「君の英語は全然問題ない!ただ、君という人間をもっと理解したかった。どこで悩んでどこに楽しさを感じたのか、裏のストーリーを聞いて会話ができれば共感が深まるし、よりいいものになるヒントだって見つけられる。君がどんな人間かコミュニケーションがとれないと、可能性は広げられないよ。」

そこで私は初めて、語彙力に対してのコンプレックスを隠すために、とりあえず言葉を発信することに必死で目の前の人と交流できてないことに気づきました。相手に何を理解してほしいのか、相手がどんな人でどんな視点を持っているのかを知る視点が欠けていました。

 

チームワークを高めるアイスブレイク

学校ではグループワークが頻繁に行われ、そこでの醍醐味は「自己紹介から始まるトピックの脱線」でした。楽しくて会話が止まらずどんどん話も広がってトピックが逸れるのです。その結果、グループワークの進捗そっちのけで「今日は全然進まなかったけど、いいチームだわ!」と謎の報告をして終わることがよくありました。

 

人に興味を持つということ

そういった「人を知る・知ってもらう」というコミュニケーションでお互いの理解が高まり、長所を生かした役割分担や短所のカバーなどができ、「チーム全員」でつくった見応えある作品が生まれるパターンはよくありました。

そんな経験を通じ、どんなこともそれぞれの文化や性格がベースにあり、コミュニケーションでそこをしっかり理解し受け入れることでより豊かなクリエイティブが生まれるのだと気づきました。

 

同じ目線での対話

当時、何度か飛び込みで気になる会社へ社員インタビューにいったことがあります。いくつかの会社は快く受け入れてくれ、社員の人とお会いできることもありました。

もちろんポートフォリを見てもらう機会もあったのですが、それで何かをジャッジされているという感じは一切なく、お茶を飲みながらデザインについて議論をする時間で、とても楽しかったのを覚えています。

作品に対して共感し、おもしろいアイデアを加えてくれる人もいて、短い時間でもお互いに交流してその場の出会いを楽しめた時間でした。その交流でもらったアドバイスが制作の中でも役にたつこともありました。

コミュニケーションは何か結果をもとめるものではなく、相手と同じ目線で対話をして豊かになるもので、それが結果的に豊かなクリエイティブにつながるるものだと体験できました。

 

その瞬間の関係やストーリーを楽しむ

会話をする際、無意識に相手との関係性や年齢、その場の状況など様々なことを意識して、相手に合わせた反応や言葉になってしまうことは誰にでもよくあることだと思います。もちろんそこにも尊重があり、そういった形式になるのですが、その会話が終わった後に、「相手のことを知れてよかった、楽しかった」と心から思えないこともあるのではないでしょうか。

私はよくクリエイティブディレクターや上司に「敬語が使えない」と言われます。これはほんと申し訳ない・・・と思いつつも言い訳をさせていただきます。私は会話をする時、その人の年齢や役職に関わらず、その人の考えや言葉やその裏にある背景にすごく興味を持ちます。

そうすると自分が話している相手の考えやストーリーに没頭し、ついつい興味や共感が先立ってしまい「うんうん」「そっか~」「なんで!?」などポロリと出てしまうのです。そんな時、毎回「あ~お喋りできてよかったな」と感じますし、そこで得たアイデアや関係性が制作の過程でポジティブに働いていきます。

 

相手との空間や交流を素直に楽しむ

今でも自分には語彙力が足りないと思っています。ただ、アメリカで得た相手との空間や交流を素直に楽しむ豊かなコミュニケーションの経験が役立ち、それが職場での関係性を豊かにし、豊かなクリエイティブにも繋がっていると感じます。

 

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フラットな目線でコミュニケーションを広げることができる職場の環境は、私にはとても大切なものになっています。一日の中の8時間がとても豊かに感じるからです。ディスカッションをしながらクリエイティブをつくりたいデザイナーの方、デザイナーになりたい方、是非私たちのフラットな制作に参加してみてはいかがでしょうか。