チームのイノベーションの鍵は“心理的安全性”。議論を促す環境をつくるために

4月の社員総会で、心理的安全性についての勉強会を行いました

心理的安全性という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?元々は心理学で使われていた言葉ですが、近年ビジネスシーンで注目を浴びています。心理的安全性とは、チーム内で議論が阻まれずに、疑問や報告が、いつでも誰でもきがねなく言えることを表します。つまり、人ではなくタスクや成果にフォーカスした健全な議論がおこなわれている状態を指します。これをヘルシーコンフリクト(健全な衝突)と言います。

社内ZoomMTGの様子

私たちは、年齢・ポジションなどの垣根を超えた議論が活発です。だからこそ、「もう少し先輩に遠慮せずに議論ができたかもしれない…。」「早めの報告があれば解決のための議論が冷静にできたのに…。」などの状況が知らず知らず発生しているのではないかと想定しました。先を見すえ、よりフラットなチームづくりのために全員で心理的安全性を学んでみることにしました。

内容は、JMAM刊、石井遼介氏著『心理的安全性のつくりかた』を参考にしました。

 

心理的安全性のメリット

チームの心理的安全性がもたらす効果は、モチベーションが保たれ、社内でのナレッジの共有が活発になるなど、現代のビジネスモデルでは、なくてはならないものになっています。Googleの社内調査の結果でもイノベーションがおきる背景には、「優秀な人材」よりも「メンバー同士の協力」という要素が重要であるという報告がされています。

〈心理的安全性がビジネスでもたらす効果〉

・情報の蓄積が促される
・問題の早期発見ができる
・人材の定着率が上がる
・イノベーションが起きやすくなる

 

心理的安全性を阻む因子

簡単そうにも見えますが、では、なぜこれが難しいのでしょうか。会社・チームにおいては役職、年齢、社歴などのさまざまなパワーバランスがあります。
これが、蓄積していくと「なんだか、チームの風通しが悪いな〜」「会議では何でも発言して良いと言っているのに意見が出ない」などと気づかないうちに、だれもが経験したことのある「意見が出にくい」負のループにはいっていくことになります。

私たちの社内でも「意見はあるけど、社歴の長い社員の前だし発言はやめておこう。」「こんな改善案があるけど、ポジションが違う人は理解できないだろうから言わないでおこう」など、知らず知らずにイノベーションにつながる貴重な意見が流されていっていることも考えられます。つまり、チームは時間がたつほどに心理的に安全性でなくなるのが宿命とも言えるかもしれません。

 

4つの因子で心理的安全性を高める

減っていく心理的安全性にたいして、チームは常にそれを意識して高めていくことが求められます。それがこちらの4つの因子です。

・「話しやすさ」…フラットに意見ができる環境をつくる
・「助け合い」…人ではなく問題にスポットを当て、問題の早期発見にとり組む
・「挑戦」…前例のないことを受け入れ、モチベーションを維持する
・「新奇歓迎」…個性を尊重し、同質を前提としたマネジメントからの脱却

こちらの因子を、さまざまな行動でチームに取り入れていきます。しかし、たくさん覚えるのはたいへんですので、今回はそれぞれひとつづつ共有しました。

 

「話しやすさ」を高める行動……「切り離す」

意見や報告に対して、「行動」と「品質」を切り離して、発言者によい見返りを与える。

人は、自分の発言に罰則があると、報告をしなくなってしまいます。そのため、報告内容や連絡の質が低くてもまず、報告をしてくれたという「行動」を評価します。「品質」は後で、個別にアドバイスを与えるなどでフォローするのも手です。

例)新入社員の報告の質が低かった→「早めの報告ありがとう」→後日「報告は数字を根拠にすると、よりわかりやすくなると思います。」

報告や情報の質が悪いと、頭から否定的な言葉を使ってしまいがちですが、報告・連絡そのものを評価します。社内でも4月から新卒社員が加わりました。報告や連絡に対して、いきなりアドバイスをししてしまいがち。しかし、一旦最後まで話を聞いて、後ほどメンターから話をしてもらうというフローを意識する必要性を感じました。

 

「助け合い」を高める行動……「なぜ」をつかわない

「なぜ」から始まる質問はネガティブにおちいることが多いため、原因を追求する「なぜ」ではなくプロセスを確認する「いつ」「どこ」を用い、客観的に問題を把握する。

例)「なぜこうなったの?」✖️
「どこで、何が起きたか教えてください。」○
「どこを改善すれば、うまくまわりますか?」○

人ではなく、問題にフォーカスし早めにチームで解決できる体制を作れるようにすることが大切です。問題が起きたときに、当事者に話を聞いても客観的な判断はできにくいものです。主観の主張がぶつかり、原因究明に時間がかかり、トラブルの傷口が広がることも何度も体験してきました。だから、ログをしっかり残し「いつ」「どこ」を見える化することも、迅速なトラブルシューティングのために大切なことのひとつだと感じました。

 

「挑戦」を高める行動…リフレクション

前例のないことに挑戦しようとするメンバーがいる場合、個人の責任にしないことが大切です。その行動を全員で振り返り(リフレクション)ます。トライ、リフレクション、ブラッシュアップのサイクルをつくり、チームの財産にします。

「本当にうまくいくの?失敗したら責任取れるの?」✖️
→「まずは、2週間みんなでやってみよう。進捗は文書で残して、最後に全員で振り返ろう。」○
やはり、罰則と行動をセットにせず、トライに対して共にやってみるというマインドをつくっていきます。

私たちは、4月から初めてPR部門を配置し、さまざまなことにトライをしています。しかし、日々の業務に追われると、PR的な業務への協力があとまわしになることも…。せっかくトライしてくれていることに対し、責任を分担しあいフォローができる体制づくりを考えさせられました。

 

「新奇歓迎」…個性の尊重

個人を理解し、個性を発揮できる環境に人材を配置し、同質的なマネジメントでなく、その人の良さを生かす。

・得意・不得意など個人差を理解し、得意な部分が生きる配置をする
・「常識で考えろ」など、同質であることが前提であるメッセージを控える
・達成するゴールにフォーカスし、個々の手段・プロセスは任せてみる

など、さまざまなことの積み重ねが大切です。私たちのデザインの現場でも個性の理解が足りず、プロジェクトにアサインされたメンバーの特徴が似ており、幅広い提案ができないということも実際にありました。お互いのバックボーンを理解し合い、フォローし合える環境づくりは大切です。

 

心理的安全性の誤解

最後に、心理的安全性は、その言葉の印象から甘やかしたり、チームをぬるくする要素だと考えられがちです。しかし、その向上が、そのまま議論のスピード、質に直結し、チームをより高い目標に向かわせための土台となるものです。「自ら学び、議論し、改善していく」ハイレベルなチームづくりであると言えます。

私たちの中心的な業務のひとつであるブランディング。それは、お客様との会話から始まり、社内外多くの会話・議論を経て次第にカタチづくられていきます。つまり、デザイン・ブランデイングの生命線である健全な議論が阻害されないフラットな空気を作ることは、私たちにとって重要なことだと感じさせられた勉強会でした。

心理的安全性って言われても「いきなりは難しいな〜」と感じられる場合、タスクを完了してくれた方に「ありがとう」を伝えてみる、報告を最後まで聞いてみる、などの当たり前のことから一歩をはじめてみるのはいかがでしょうか?

 

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私たちは幅広くクリエイティブに携わっているデザインカンパニーです。心理的安全性などのさまざまな手法を柔軟に取り入れることで、よりよいクリエイティブをつくり続けています。ご質問やご相談等あれば、いつでもお声がけください。また弊社では新しいメンバーを募集しています。ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。