フォント(書体)が持つ無限の可能性を追求するプロジェクト

ウェブサイト制作を中心に、映像、紙媒体など、メディアを超えた企業プロモーションから、現代アートまで多岐に渡るプロジェクトを生み出し続けているデザイン事務所 株式会社アイデアスケッチ。2016年より始動した、書体プロジェクト『真四角』や、絵本や詩に合うフォント「つきじへいた」の制作など、さまざまな「フォント」プロジェクトに取り組んでいます。

伝統とデザインの融合。書体プロジェクト『真四角』

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江戸時代に誕生した伝統的な書体「角字」をリデザインしていく“書体プロジェクト”『真四角』。PCにインストールして使用する従来の“フォント”とは異なり、食器、雑貨、ファッションアイテム、音楽、アート、アプリケーションなど、ジャンルを超えたモノ・コトとコラボレーションすることで新たなテイスト、個性、愛着を生み出していくという、ユニークなアプローチが大きな特徴です。

『真四角』のルーツとは…

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『真四角』のもとになった「角字」は、元来、半纏やのれんなど、江戸の人々が個性を表現するアイテムなどに多く用いられた書体でした。正方形の中に水平・垂直の直線だけで構成されているという、グラフィックのような図形的な書体なのです。江戸の粋と遊び心、そして美意識の結晶。日本人が生み出したタイプフェースの傑作と言っても過言ではないでしょう。

江戸文字と現代のデザイナーとの出会い

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『真四角』は、漢字のみの書体です。これはルーツである江戸文字「角字」が、文章を書くためにつくられたものではなく、あくまでも、個性や愛着のシンボルとして使われていたことによるもの。

江戸から受け継いでいるのはデザイン的なフォルムやルールだけではなく、その用途やシーンも含まれます。それが、ジャンルを超えたモノ・コトとコラボレーションすることで新たなテイストや個性、愛着を生み出していくことにつながるのです。

江戸の人々が祭りの時に羽織る半纏を染め抜いたように、自分の店先ののれんを彩ったように、現代に蘇った『真四角』もまた、さまざまなアイテムやシーンに個性や愛着を付加する存在として育てていきたい。そんな想いから、敢えて“フォント”ではなく、“プロジェクト”としてスタートしたんだそう。

アイデアスケッチ公式サイトでは実際に『真四角』を使った手ぬぐいやスマートフォンケース、Tシャツなどに好きな文字を入力し、購入することが可能。様々な文字を試して遊びながら、シュミレーションすることができます。

伝統的な美しさを活かしたポップでかわいい文字

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2017年の5月に発売された新書体「つきじへいた」。「築地書体を現代へ」をテーマに制作されたひらがなとカタカナに特化したフォントです。「築地書体」の骨格の美しさを活かしつつ、複雑な造形をそぎ落としていくことで「ミニマル」を追求し、築地書体の伝統的な美しさを活かしつつ「ポップ」なかわいい文字が完成したのだそう。絵本や詩などのやさしい雰囲気にマッチ。

書体は購入することが可能

※真四角書体(左)、つきじへいた(右)

※真四角書体(左)、つきじへいた(右)

今回ご紹介した「真四角書体」「つきじへいた」は、それぞれ購入することができます。

常用漢字、JIS一次水準をカバーし、3155もの漢字を収録したOpen Type Font「真四角書体」は、ダウンロード版 16,000円(税込)、4ウェイトセット ダウンロード版 48,000円(税込)。

2017年5月19日にリリースした「つきじへいた」は、ひらがな・カタカナを収容したOpen Type Fontで、パッケージ版 4,500円(税込)です。

アートのようですべてに物語があり理にかなったフォントたち。これからどんな広がりを見せていくのか、可能性は無限大です。

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