「SHOES LIKE POTTERY」のまじめな靴づくり
陶器のように、釜で熱を加えてつくられるスニーカーがあるのをご存知でしょうか。
そのスニーカーとは、福岡・久留米を拠点に全国へ商品を展開している、大切に靴づくりをおこなうブランド「SHOES LIKE POTTERY」。
「まじめな靴づくり」を伝える
SHOES LIKE POTTERYは、かつては足袋をつくっていた、135年以上の歴史をもつ老舗の靴メーカーMOONSTARが、これまでに培ってきた技術を用いた「まじめな靴づくり」を広く伝えるために生みだしたブランドです。
ちらりと見えるソールとロゴマークの鮮やかなスカイブルーが映える、シンプルなデザインと美しいシルエットが特徴の靴は、ひとつひとつ丁寧に、熟練の手仕事により仕上げられていきます。
希少な「ヴァルカナイズ製法」
製造方法の過程で特筆すべきは、現在日本国内でごく少数の工場でしか行われていない、ヴァルカナイズ製法を用いているということ。
ヴァルカナイズ製法とは、ゴムの中に配合した硫黄を化学反応させるため、最後の工程で靴を加硫缶と呼ばれる釜にいれ、焼き物のようにして作る方法で、別名「加硫製法」とも呼ばれています。
生のゴムは粘土のような状態ですが、この製法を用いることで、硫黄が化学反応を起こし、変形しても元に戻るというゴムの性質を得ます。そのため、丈夫で壊れにくく、ソールがしなやかで柔らかくなり、美しいシルエットを保てるのだそうです。
ブランド名を直訳すると「陶器のような靴」。製造方法の特徴がそのままブランド名になっているのですね。
散りばめられた意匠
平面の布で立体の足を包むため曲面を立体的に縫う、靴底の周りに絶妙な力加減でゴムテープを巻きつける、という作業は熟練の手仕事なしにはできません。また、生ゴムを使用という特徴を活かし、ゴムテープに縄目を型押しすることで、ひとつひとつ異なる表情をもった靴になります。
丈夫でしなやかに動くよう、表地と裏地の貼りあわせにゴムのり、踵の芯やつま先にもゴムが使われ、シーリングワックスに見立てたロゴマークでソールに巻いたゴムテープの継ぎ目部分を留めているなど、さまざまな意匠が凝らされています。
神は細部に宿る
「神は細部に宿る(God is in the details)」とは、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの有名な言葉ですが、細かいところにもこだわり、昔ながらの伝統的な製法を用いて、ひとつひとつ丁寧につくられたこの靴は、機械を用いた大量生産が当たり前の時代だからこそ、より一層特別に感じます。
どこかで見かけた際は、こだわりの一足をぜひ手にとってご覧くださいね。
SHOES LIKE POTTERY
陶器のように熱を加えてつくられるスニーカー