カリグラフィーとファッションを繋ぐ「MIKITYPE」
カリグラフィーとファッションという関連の薄そうな2つをつなぎ、活躍している「MIKITYPE」さんというアーティストがいます。
カリグラフィーとは
カリグラフィーとは、ペンや筆といった道具を用いて文字を美しくみせるための手法のこと。
その昔、さまざまな記録を残す際に、1枚の紙に美しい表現でなるべく多くの文字を描こうと試行錯誤された末に誕生しました。
その名前はギリシャ語の「CALLI(美しい)」、「GRAPHEIN(書くこと)」に由来します。
本来は書体そのものの美しさを表現するための伝統的な手法でしたが、最近では独創性の高い芸術的な表現のひとつに発展しています。
新しい表現へのチャレンジ
MIKITYPEさんは東京をベースに活動をしているカリグラファー・タイプデザイナー。2015年に武蔵野美術大学を卒業したばかりの24歳です。
2011年に、ドイツの書体デザイナーHermann Zapf(ヘルマン・ツァップ)の展覧会を見てカリグラフィーに興味を持ち、大学在学中よりカリグラファー三戸 美奈子さんのもとでカリグラフィーを学びはじめました。
彼の描く文字は、力強さと美しさを持ちとても個性的。実際にさまざまな文字を描いている様子は公式サイトやInstagramで見ることができます。
ペンや筆だけでなく、アルミ缶やバルサ材という薄い木材を切り出したものを使用して文字を描くなど、新しい表現にも積極的にチャレンジしています。
カリグラフィー×ファッション
世界でも評価の高い日本のブランド「sacai」の2016-17年秋冬パリコレクションでは、MIKITYPEさんのカリグラフィーを用いたオリジナルテキスタイルを効果的に使用したアイテムが展開されています。
“Cadel”という、直線や曲線を用いて華やかに文字を装飾するカリグラフィーの技法でデザインされたオリジナルテキスタイルは、純粋に造形としての文字の美しさを意識して描かれています。
その他にも「N.Hoolywood」の2016年春夏ニューヨークコレクションや、自由が丘にある「IÉNA」の大型旗艦店「Maison IÉNA」の店内・Webなどのカリグラフィーを担当するなど、いまやMIKITYPEさんはファッション業界でひっぱりダコの存在です。
表現手段としてのカリグラフィー
文字のコンセプトや性質を把握した上で、描き手の個性をどのように乗せて表現するかが問われるカリグラフィー。
前述の例の中だけでも、手描きのカリグラフィーの文字は、そのブランドの空気感をまとい、世界観を表現するための大きな役割を果たしています。
現代はパソコンや機械によってつくられた文字で溢れているからこそ、人の手により描かれた文字の持つ温かみや、個性にあふれた美しい表現力が、いま見直されているのかもしれませんね。
MIKITYPEさんの活躍は公式サイトやInstagramなどで見ることができるので、気になる方はぜひチェックされてみてください。
MIKITYPE
1992年生まれのカリグラファー・タイプデザイナー。2015年武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。sacai 2016-17秋冬パリコレクション、N.Hoolywood 2016春夏NYコレクション, Vans, United Arrows, 自由が丘Maison Iéna, テレビ東京世界卓球 2015, 三代目 J Soul Brothersツアー, The Pool Aoyama Fragment Design x N.Hoolywoodを手がける.