「霧につつまれたハリネズミ」に学ぶ豊かな表現手法
かつて「アニメーションの歴史の中で最高のアニメーション」と讃えられた短編アニメーション、「霧につつまれたハリネズミ」をご存知でしょうか。
広く愛されている“ハリネズミ”
「霧につつまれたハリネズミ」は、ロシアを代表するアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテインさんによる10分ほどの短編アニメーション作品。
2003年に“アニメーションの歴史の中で最高のアニメーション”と讃えられ、ウクライナの首都キエフにハリネズミの像が立てられました。
2014年のロシアソチオリンピックの開会式ではロシアを代表するモチーフのひとつとして取り上げられ、ソビエト連邦の切手のデザインにも登場したことがあるほど広く愛されている作品です。
“映像の詩人”
“映像の詩人”と呼ばれるユーリー・ノルシュテインさんは、モンタージュ技法をメインとするアナログ手法にこだわりながらも、豊かで詩的な映像表現で、アニメファンだけでなく世界中の映像作家にも多くのファンがいます。
手塚治虫さんや、ミシェル・ゴンドリーさんも彼の影響を受け、自身の作品に関連キャラクターを登場させているほど。
切り絵をコマ撮りして撮影しているとは思えないほど、繊細で緻密につくりあげられた独自の世界は、とても幻想的で魅力的なものばかりです。
アナログ手法の豊かな表現
いまから41年前の1975年に発表された「霧につつまれたハリネズミ」は、マルチプレーンと呼ばれる何層ものガラス面に切り絵を配置する手法を用いてつくられた作品です。
何層ものガラス面を重ねることで、作品に奥行きと立体感が生まれています。
くもりガラスをいくつも重ねて表現された霧や、水たまりや湖に本物の水を用いることで、幻想的な作品にリアリティがプラスされ、アナログながら自由な表現で観る人を魅了します。
クリエイティブの原点
さまざまな表現手法が発達し、映像化不可能といわれた作品が次々に映像化されるなど、技術の進歩にともなう恩恵もある反面、表現したいものにどうやったらたどり着けるのか、工夫や試行錯誤をする機会が昔に比べて減ってきているかもしれません。
「霧につつまれたハリネズミ」のように、限られた手法で豊かな表現をする作品に定期的に触れることでクリエイティブの原点に立ち戻る、そんな機会を意識的につくることも大切なのではないでしょうか。
10分のアニメーションなのでぜひ一度ご覧くださいね。
*
私たちは、幅広いクリエイティブに携わっているデザインカンパニーです。このような社内勉強会を定期的に開催し技術向上に勤しんでおります。向上心が豊かで私たちの仲間になってくれるデザイナーやディレクター、エンジニアを随時募集しております。我こそはと思われる方のご応募を心よりお待ちしております。