金沢にて開催!深澤直人企画監修による「工芸とデザインの境目」展
金沢21世紀美術館にて、10月8日(土)から来年3月20日(月)まで、プロダクトデザイナーの深澤 直人さん企画監修による「デザインと工芸の境目」展が開催中です。
あいまいな境目
工芸とデザインの違いについて、考えてみたことがあるでしょうか。
辞書によると、「工芸」は「実用品としての機能性に,美的装飾性を加えて物品を作りだすこと。また,そうして作られた作品の総称」、「デザイン」は「作ろうとするものの形態について,機能や生産工程などを考えて構想すること。意匠。設計。図案」とあります。(出典|三省堂 大辞林)
“モノづくり”という視点で見ると両者は同じですが、現在存在しているものの多くが工芸的要素もデザイン的要素も含んでいるため、その境界線は曖昧で、人によっても解釈が異なります。
視覚的に境目を表現
本展では、中央に1本の線を引き、線から左に行くほど工芸的、右に行くほどデザイン的という、工芸とデザインの境目を視覚的に表現。
そこには、深澤さんの観点から工芸かデザインかに選り分けられ、もしくは境界線上に配置されたさまざまなプロダクトたちが並びます。
“プロセスと素材”、“手と機会”、“かたち”、“経年変化”、“工芸とデザインの境目”という5つのテーマを通して、工芸とデザインの関係を多角的にとらえています。
正解のない問い
本展を企画監修している深澤さんは、世界的に活躍されているプロダクトデザイナーであると同時に、2012年より日本民藝館の5代目館長も務められている、工芸にもデザインにも造詣の深い方です。
今回の展覧会に際し、深澤さんはこんなコメントを寄せられていました。
「工芸とデザインの違いを解く人は多い。ものづくりとして捉えればそこに境目はあるのだろうか。
作者自身の手で作るものを工芸と言い、デザインもその工程に含まれる。デザインはものをデザイナー自身では作らない。工芸は「作品」と言いデザインは「製品」と言ったりもする。
工芸を生み出す手の技はデザインの機械の精度と比べても仕方ないがそこに価値の違いが現れる。生み出そうとする気持ちは同じであっても工芸とデザインは相入れようとしない。
そこに境目はあるのか。それともそれは「デザイン」なのかあるいは「工芸」なのか。
問うてもしょうがない問いをあえて突きつけてみようとするのがこの展覧会の目論見である。」(引用元|金沢21世紀美術館公式サイト)
明確な正解は無いながらも、深澤さんの考えを基準に、自分はそれぞれをどう解釈しどう見つめているのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
工芸とデザインの境目
金沢21世紀美術館 石川県金沢市広坂1-2-1
2016.10.8(土)-2017.3.20(月) 10:00-18:00(金・土は20:00まで)
※月曜休館(1.2(月)、1.9(月)、3.20(月)は開場)、年末年始(12.29(木)-1.1(日))、1.10(火)休
一般 1000円、大学生 800円、小中高生 400円、65歳以上 800円