TOTOギャラリー・間にて開催中!
「トラフ展 インサイド・アウト」で見つけるアイディアの種

東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間にて、12月11日(日)までトラフ建築設計事務所の個展「トラフ展 インサイド・アウト」が開催中です。

はじまりは“1回きりのユニット”から

トラフ建築設計事務所とは、鈴野 浩一さんと禿(かむろ)真哉さんによる建築家ユニット。指輪などのプロダクトから、インテリア、舞台美術、建築と幅広い分野でご活躍されています。

引用元:TOTOギャラリー・間 公式サイト

引用元:TOTOギャラリー・間 公式サイト

1回限りのユニットのつもりでお2人が最初に取り組んだのは、2004年に発表された東京・目黒にある築35年のホテルの客室をリノベーションするプロジェクト「テンプレート イン クラスカ」。

壁一面に客室に必要な機能、備品、宿泊客が持ち込むものまですべてが収まり絵のようにディスプレイするという斬新なアイディアが高く評価され、その後もそのまま建築家ユニットとして、現在までに200を超えるプロジェクトを手掛けられてきました。

引用元:TOTOギャラリー・間 公式サイト

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代表作のひとつである「空気の器」は、2015年にカナダで最も古い美術館「モントリオール美術館」の永久コレクションに認定されるなど、国内にとどまらず海外でも高い人気を集めています。

裏返してさらけ出す

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本展では、初期の作品から会場構成、プロダクツ、最新の住宅プロジェクト「Big T」に至るまでのさまざまな作品が、スタディの過程や試行錯誤の中でヒントになったもの、インスピレーションを受けた素材などとともに展示されています。

「インサイド・アウト」というタイトルは「裏返し」という意味。完成形だけでなく、そこに至る過程も同時に展示することで、まるでトラフのお2人の頭の中をのぞいているかのような、思考過程の追体験ができます。

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大きなテーブルの上に所狭しと素材や模型、試作品が並ぶ様子は、さながら小さなアミューズメントパークのよう。その間を縫うようにレールが敷かれ、小さな鉄道模型“トラフ号”が走ります。

アイディアの種

ひとつひとつの展示を、その発想の面白さを味わいながら、これは何のヒントになるのだろうと想像を膨らませながら、時間を忘れてじっくりゆっくり見て回りました。

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1本のデッキ材だけでできたシンプルな「AA スツール」は、脚の両端となる部分を少しだけ斜めにカットして組み合わせるだけで椅子になり、「AA スツール」をいくつも並べるとベンチになります。

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曲線を描きカットしたテーブルは活用範囲が倍に広がり、岩に目を付けただけで、岩が魚に地面が水面に感じられます。薄い布を広げるだけでそれは空気の動きを可視化してくれます。

それぞれはシンプルな発想や工夫ながら、ジャンルや枠にとらわれない自由さと伸びやかさが面白く、トラフ建築設計事務所のお2人がクリエイションを楽しんでいる様子がそこここから伝わってきました。

展示の間を走っていたトラフ号の視点から見た映像は、別フロアにて上映されており、じっくり見た展示をまた違う角度から見ることで2度楽しむことができました。

無意識レベルでの先入観や常識から自由になることで、この世界にあるすべてのものが“アイディアの種”になり得るんだなぁと、強く感じた展示でした。

皆さまもお近くにお立ち寄りの際は、ぜひ足を運ばれてみてくださいね。

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