何度でも訪れたい!豊島美術館の魅力

瀬戸内海に浮かぶ12の島々を舞台に、3年おきに開催されている現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」をご存知でしょうか。

このプロジェクトは島々の至るところでアートを楽しむことができ、また芸術祭の開催年以外にも常設展が開かれていることもあって、観光客誘致や雇用創出という点で村おこしや島おこしに一役買っています。

美しい豊島美術館

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本日ご紹介するのは直島の隣に位置する豊島(てしま)の美術館。

美しい棚田が広がる一角に、そして目の前には海という素晴らしい場所に、その美術館はあります。

一般的に“美術館”のイメージは作品が並んでいて人々が静かに鑑賞するというスタイルだと思いますが、豊島美術館はどこまでが建築でどこからが作品かがわからないほど建物とアート作品が一体化していて、靴を脱いで実際に作品の中に入り見るだけではなく体感することができます。

アートに包まれる

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私が初めてこの美術館を訪れた時に受けた衝撃は忘れられません。

巨大なアート作品の中で人々は寝転がったり、風の音を感じたり、昼寝をしたり、皆思い思いに空間を楽しむ不思議な光景が広がっていました。

自由な曲線を描いた建物には大きな穴が2つ空いており、そこから見える景色を楽しむだけではなく、差し込む光、葉の匂いを運ぶ風、雨や雪までもが自然のままに入り込み、穴から吊るされた細いリボンは風を受けるとゆっくりと膨らみ形を変えます。

床からは水の滴が湧き出し、ころころと転がったり分裂したりくっついたりを繰り返して辺りを自由に移動し、中心部の大きな泉とひとつになったり、あちこちで小さな泉が生まれたり消えたりしています。

空気も水も人も、すべてをありのままに受け入れてくれるその空間はとても居心地がよく、“まるで母親のお腹の中にいるようだなぁ”と思ったのを覚えています。それもそのはず、アーティスト内藤礼さんによるこの作品のタイトルは“母型”でした。

アート×建築×自然

内藤礼さんは1980年代より活動を始められた女性アーティストで、作品を通して「地上の生の幸福と感謝」を表現し続けています。

2001年には、一度に1人の鑑賞者のみが作品を鑑賞する一風変わった直島の家プロジェクト・きんざ「このことを」という作品も発表されています。

そしてこのアート作品と周りの豊かな自然との調和において欠かせないのは西沢立衛さんの建築。コンクリートのみを用いて、水滴のような自由曲線の建物を柱を全く使わずに作っています。

西沢立衛さんはご自身の考えを、美術館のハンドブックのなかで以下のように書かれています。

“作品や環境のために建築が閉じ、しかし同時に開く、というダイナミックな状態を作り出しそうとしている。環境と美術と建築の融合、それらすべてで1つの単位となるような存在を、私達は目指している”(公益財団法人福武財団 発行「豊島美術館ハンドブック」P37より)

朝や夕方、晴れの日や雨の日、自然の状態により様々な表情を見せてくれるその空間は、いつ行っても変わらずそこにあり、そして一瞬足りとも同じ瞬間はありません。

一度訪れたら次は一体どんな表情を見せてくれるのかと、季節を変えて時間を変えて再訪するのが楽しみになるような魅力がここにはあります。

皆さんも是非、アートを体感しに豊島美術館へ足を運んでみてほしいです。オススメです!

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