楽しむことから生まれるグルー株式会社の様々なサービス

何かと何かを繋げて、新たなサービスを生み出すことを得意としているグルー株式会社の代表取締役社長/CEO 迫田 孝太さん。実は異色の経歴の持ち主なのだとか。

今回は会社を立ち上げるまでの経緯に重点を置きながら、同社が提供されているサービスについてお話を伺いました。

ドラムからPCへ

−変わった経歴をお持ちとのことですが、元々は何をされていたのですか?

迫田 元々はミュージシャンでした。高校に入ってすぐドラムを始めたんですが、ロックのジャンルではひと通り叩けるようになってきて、次はいかに速く叩くにはどうしたらいいかとか、かっこいいフレーズを叩きたいとか、そんな風に考えた時、父親が昔からジャズ好きで自分もよく聴いていたので、挑戦すべきはジャズかなと。

そしてジャズバンドを組んで、中洲の出会い橋とかで路上ライブみたいにして演奏していましたね。

−福岡にはいつ来られたのですか?

迫田 18歳の時、福岡の音楽専門学校に入ってドラムを専攻したんです。

そこでコンピューターミュージックの授業があって、この先コンピューターが音楽を作ってくれる時代が来るなと直感的に思ったんです。「このままだったらドラムで食べていくのは相当難しいな」って、ものすごい危機感を感じて。

自分からドラムをとったら何が残るだろうと考えて、手に職を付ける必要性を感じてアルバイトを色々やりました。

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福岡の製版会社で、年賀状をひたすら印刷するっていう年末年始の短期アルバイトをやったんですよ。最初は版下とかを裁断して渡すっていう簡単な仕事しかさせてもらえなかったんですが、「ちょっと僕もパソコンで何かやってみたいっす」って言ったら、MS-DOSで組版する作業をやらせてくれて。

基本キーボードしか使えなかったんですが、やらせてもらったらそれがすごい面白くて。

MS-DOSの中に入っていない外字を作成する部署が別にあったんですけれど、その部署とやり取りをしていたら今度は外字を作りたくなって。

外字はWindowsのIllustrator8で作っていたんで、「ちょっと僕もこれやってみたいっす」って言ったらまたやらせてくれて。「何この世界!」みたいな、これまで知らなかった新しい世界にめちゃくちゃ興奮しましたね。

プログラムを学ぶきっかけ

−そこでパソコンに目覚めた訳ですね!

迫田 そうなんです。パソコンがあまりにも面白かったんで、自分でも家で勉強しようと思って中古のパソコンを買ったんですよね。

バイト先でIllustrator8とPhotoshop5、あとStreamlineヘルプを全部印刷してもらって、家に持って帰ってひたすら覚えました。2週間ぐらいでヘルプを隅々まで読んで、ショートカットキーを全て使えるようにして、外字の部署の人に見せたらすごく褒めてくれて、外字は全部任せてもらえるようになりました。

もちろん時給とかは何も変わらなかったんですが、何より自分自身が楽しかったですね。

そこでもう一つ、ある出来事があったんです。そのアルバイトには組版ソフトを作る人たちも短期で来てたんですよね。その中にプログラマーの人もいたんですが、その製版会社ではアルバイトには手渡しで給料を支払っていて、最後の給料を受け取る時にプログラマーの人だけものすごく給料袋が厚くてびっくりしたんです。

その人に話しかけたら「迫田くん、なんでこんなにもらえるか分かる?自分はプログラムができるからだよ。組版ばっかりずっとやっていてもダメ。プログラムを覚えないと金にはならないぞ」と言われました。

それがきっかけで「よし!プログラムしよう!」って思いました。笑

その後、1月から5月まではアルバイトを全部やめて、お金が尽きるまで部屋に引きこもってプログラムの勉強をしたんです。

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−当時は何のプログラムを勉強されていたのですか?

迫田 Perlですね。掲示板とかを作ることができればいいということを何かで読んだので。その頃PHPはテンプレートエンジンのようなイメージで全然メジャーじゃなかったんですよ。

5ヶ月間独学で、HTML、CSS、JS、Perlをひと通り何から何まで勉強して、いい加減お金も尽きたし、求人誌で仕事を探したらコールセンターの会社がWeb部門でデザインやDTPのできる人を募集していて、HTMLが書けるWebデザイナーとして入れてもらったんです。

そこにサーバーのエンジニアリングとかをしていた人がいたんです。その人に色々教えてもらいながら、Perlが書けるようになり、PageMakerのスクリプト言語とかが書けるようになって、デザイン業務のほか、後々広報担当になった時の単純作業などを機械化していったんです。

その頃から、単純作業の繰り返しはできるだけしないというプログラマー的発想が出てきたんでしょうね。その後フリーランスになりました。

繋がる縁

迫田 当時の彼女が今の奥さんなんですけれど、彼女がデジハリ(デジタルハリウッド福岡校)に通っていて、その繋がりで人を紹介してもらって、CGFMの創業メンバーとして参画しました。

1年半ぐらい一緒にWebサイトのバックエンドを作っていましたが、自分は自社サービスが作りたいという思いが強く、一旦フリーランスに戻ってやってみようと。CGFMのメンバーはそれを快く受け入れてくれて、本当に感謝しています。その後 Gemediar(ギメディア)を作る際に仲間と一緒にポケットボックスを立ち上げました。

動画配信プラットフォーム Gemediar

動画配信プラットフォーム Gemediar

−その時のギメディアのアイデアはどうやって出てきたのですか?

迫田 当時PCの動画ってそのまま上げても容量オーバーとかで見れなかったですよね?それを変換するサービスで日本国内の会社が作る動画変換エンジンがあったんですが、月額利用料がすごく高かったんで、それを何とか安くしたいと動画の掲示板を作っている人から相談を受けて生まれたのがギメディアです。

それと同時に大学の研究室に入ったんです。その頃、ある会社に週2回ぐらいフリーランスのお手伝いプログラマーとして通っていて、ご縁があって大学の先生を紹介してもらう機会があったんですよね。

そこでプログラムを独学で勉強したということを買ってもらえて、就職相談とか、人生に悩める人たちの窓口というか相談相手になってくれない?という感じで大学院の研究室に入れてもらったんですよ。

ポケットボックスはLLPというプロジェクト単位で設立・解散ができる形態で作っていたんで、無事に製品もできたし解散しました。その後グルーを設立するんですが、設立にあたってポケットボックスのメンバーが沢山アドバイスをしてくれて、本当に感謝しています。

やっとグルーの話です。長かったですね!笑

原動力は“楽しさ”

−グルーさんでは「GlueSupport」や「1meeting」といったブラウザチャットサービスや、「Many Conv」という画像変換サービスなど様々なサービスを提供されていますよね。便利で役に立つのはもちろんですが、楽しんで作られているのが伝わってくるサービスが多いように思います。

ビデオチャットシステム GlueSupport

ビデオチャットシステム GlueSupport

迫田 そうですね。ドラムをやっている時もそうなんですが、自分自身が一番楽しみたいっていう思いがずっと本質的にあるんです。プログラムを書く行為も苦しんで書くのではなく楽しんで書きたいし、楽しんで仕事をしたい。

例えば、世界中のプログラマーが色々な部品を作ってGitHubにコミットとかしているのを見ているだけですごいワクワクして、こういう部品があるならこれとこれを組み合わせたらこんな風にして遊べるな、とか。ビジネスになるぞ、という感じではなく、面白いなって思うことしか考えていないですね。

あとゴールドラッシュのエピソードで、金脈が見つかった時に誰が一番儲かったかって言うと、金を掘り当てた人ではなくて、その横でつるはしを売っていた人だっていう話がありますよね。お金儲けの話をしたい訳では決してないんですが、皆が一斉に何かをしようとしているトレンドがあって、その横でそれを快適に便利にするようなツールを提供する、っていうビジネス的なスタンスが自分たちには合ってる気がしますね。

多分自分がプログラムのモジュールとかを探してる時の視点は、既存のものからスイッチしそうかどうかっていう所なんですよね。

変化の兆しが見えている時に、いち早くその変化を自分で体感したい。変化のパラダイムシフトがあるから「よし!ここに向かってビジネスをしよう!」というよりは、そのパラダイムシフトを自分の目で見るためには自分でコードを書いて「あ、こんな風になるんだ!うほー!」って言いたい。笑

動画の配信方式はこれからもまだまだ変化がありそうな気がしていて、それもあって動画がすごい好きなんですよね。

−それを綺麗にサービス化していくっていうのはいいのかもしれないですね。

迫田 何かを始める時に僕はゼロイチタイプで、イチヒャクというような育てるフェーズが得意じゃないっていうのは自分でもだいぶ自覚してきていて。だからこれまでも小分けにしたサービスが多い気がします。

−今後は会社をどのようにしていきたいですか?

迫田 どうしても自分たちのサービスって属人性が高くて「グルーの迫田さんが作っている」みたいな色が出過ぎているので、今後はそれを消していくためにどうするかを考える必要があると思っています。そして僕がそれをコントロールできるようになったら、会社自体も次のステップにいくんじゃないかと。

属人性は消していきたいものの、まだまだ現場で手を動かしていたいという気持ちも大きくて、そこの兼ね合いが難しいんですけれどね。笑

会社の方向性と言うか、“楽しんで作りたい”っていう僕自身の方向性はこれからもずっと変わらないと思うんです。世の中を快適で便利にするサービスやツールを生み出すのにまずは自分が目一杯楽しみながら、どんどん世に送り出していきたいと思っています。

−これからも第一線でのご活躍を期待しています!本日はありがとうございました

グルー株式会社様のブランディングを弊社ブランコが担当させて頂き、Webサイトを始めロゴや名刺、各種ツールを制作させて頂きました。

ロゴでは様々なものをくっつける様子を表し、Webサイトではアニメーションを用いて常に変化し続ける世の中を手の中に収めるデザインとなっています。

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