カメラの歴史を知ると変わる“撮影意識”フィルムカメラを知ると変わる撮影意識
私たちの生活で一番身近なカメラといえばスマートフォン。続いてiPadやデジタルカメラが一般的ではないでしょうか。
今回は、便利で身近なカメラとは少し違ったカメラの原点に遡り、200年近い歴史を持つフィルムカメラの進化と魅力をご紹介します。
デジタルカメラとフィルムカメラ
まずはデジタルカメラとフィルムカメラの違い。それは撮影した画像の保存方法にあります。
名前からもわかるように、デジタル(メモリーカードなど)で保存するか、フィルムで保存するかの違いです。
1975年、アメリカ合衆国に本拠を置く世界最大の写真用品メーカー
イーストマン・コダックにより開発されたデジタルカメラは、現在に至るおよそ40年の間に、保存できる媒体も小さく、軽く、簡易的なものへと姿を変えてきました。
なんと、デジタルカメラを開発したイーストマン・コダック社ですが、その創業者ジョージ・イーストマンは、“ロールフィルム”の開発者で写真とカメラを一気に普及させた、カメラの歴史において欠かせない人物です。
原点を知る
今では携帯電話やパソコンにカメラ機能があること、身の回り、日常にあることが当たり前になったカメラは、いつ頃から存在するのでしょう。
カメラの原点は紀元前にまで遡ります。(2000年以上前ということになります…) その頃は“画像を保存する”という概念はなく、ピンホール(針穴)を利用し、暗室の壁に像を映し出すだけのものでした。
レンズを用いていないため、壁に移る像は上下左右逆になります。イラストに書いた像のようにくっきりと映し出すことは難しかったのではないでしょうか。
その後、15世紀頃にピンホール(針穴)を利用し映し出した像をなぞって記録した“写し絵”の登場です。これは「カメラ・オブスキュラ」と呼ばれ、当時は書き写すことが唯一の保存方法でした。
像を映す箱の中には、像の上下を反転させるため斜め45度にミラーが設置されており、人間の知恵の素晴らしさを感じます。
フィルムの誕生
“書き写す=フィルム”だった時代から、化学反応などを用いて保存するフィルムが誕生したのは1826年のことです。
初めはアスファルトを感光材料とし、8時間ほど日光を当てることでアスファルトを固め、固まらなかった部分を洗い流すと言った方法でした。
ここで、ようやく“感光材料=フィルム”として保存できるものへと変化を遂げました。
その後、銀が化学変化で黒くなるという性質を利用し、銀でメッキをした銅板にヨウ素をあてたものを感光材料とし、撮影後に水蒸気での現像に成功するなどして、“写真”が登場します。この方法で撮影時間は30分ほどに縮まり、1839年「ダゲレオタイプ」の名前で世界で初めてカメラが販売されました。
カメラ・オブスキュラと違い、カメラの裏側は感光板が設置するできるようになっています。
その後、デジタルカメラの保存媒体が小さく、軽く、簡易的なものになってきたように、フィルムカメラも「撮影時間の短縮」「感光材料の簡易化」「フィルム保管の長期化」など、一般向けに簡易的なものを目指し変化していきました。
そして1885年、冒頭でも登場したジョージ・イーストマンが“ロールフィルム”を開発します。ようやく登場ですね。
ロールフィルムの登場で、感光板の取り替えが不要になり連続撮影のスピードが著しく速くなりました。より小さな道具で多くの画像が撮影でき、手間が減ったことで、フィルムカメラは一気に写真機の主流となったそうです。
撮影意識
フィルムカメラは撮影時間を短縮し、量産することを可能にした、とても画期的な発明だったのですね。
しかし、フィルムカメラの誕生からおよそ150年後に登場したデジタルカメラが定番に。その場で撮影した画像の確認・不要な画像の削除など、カメラはより便利で容易なものへと姿を変え、カメラ付き携帯電話、スマートフォンの普及により、幅広い世代で撮影が身近になりました。
デジタルの場合、思い出を簡単に記録でき、簡単に画像を見返すこともできますが、手軽に撮影できるようになったことで、画像1枚1枚の重みがなくなったように感じます。
フォルムカメラのレンズを通して見る対象物は、何か一味違います。(個人的な意見ですが…) しっかり観察して対象物を捉えようとするため、現像した写真を見比べると1枚にとても重みを感じるんです。
それは撮り直しの効かない“フィルム”ならではの意識と姿勢から生まれる感覚ではないでしょうか。
1枚を意識して大切に撮影する。とても大切なことですね。
身近にあるカメラのキタムラでは、現在もフィルムの購入ができ、フィルムカメラで撮影した画像の現像や、データ化を行ってくれるので、フィルムカメラを使ったことがない方でも気軽に始められそうですね。ぜひフィルムの魅力を追求してみてはいかがでしょうか。
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