ブランディングにおけるペルソナの重要性とは?ターゲットだけでは足りない理由と設定方法
「ペルソナ」という言葉をご存知でしょうか。マーケティング用語として用いられることが多くありますが、きちんと理解していない方も多いでしょう。「ペルソナ」とは、一言で言うと「商品やサービスを使用する架空の人物像」のことであり、ブランディングに取り組むうえで不可欠な要素です。
この記事では、「ペルソナ」の概要や具体例、設定するメリット、ターゲットとの違い、実際にペルソナを設定する方法などについて解説します。
ペルソナとは
ペルソナ(persona)とは、ラテン語で「人」また「演劇の役割」を指す言葉です。もともと古典劇で役者が使用する「仮面」を意味していましたが、スイスの心理学者ユングが「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」をペルソナと定義したところから、心理学の用語として使われてきました。
この「仮面の自分」という考え方を発展させて、ブランディングでは「架空のユーザー像・人物モデル」という意味で使われています。
ペルソナは、実際にその人物が実在しているかのように、以下のような情報の中から、商品やサービスに合わせて必要な項目を設定します。
・年齢
・性別
・居住地
・職業
・役職
・年収
・趣味
・特技
・価値観
・家族構成
・生い立ち
・休日の過ごし方
・ライフスタイル、など
ペルソナの具体例
では、実際にペルソナはどのように設定するのでしょうか。例を挙げてみてみましょう。
下記は、健康食材デリバリーサービスを想定した場合のペルソナです。ペルソナの現状の悩みや、その背景を具体的に可視化することで、どのようにアプローチすればそのサービスを必要としてくれるかが見えてくるでしょう。
このように、想像しやすくリアリティのある情報を設定することがポイントです。
ブランディングになぜペルソナが必要なのか
ペルソナを設定することによって、実際のユーザーにも刺さりやすい商品・サービス開発が可能になります。人物像がはっきりするため、生活や嗜好、ライフスタイルにあわせた製品開発ができ、アプローチ方法や情報発信のタイミングなども想定しやすくなります。
また、ブランド戦略を構築する上でペルソナは欠かせません。具体的なユーザー像を設定することで、プロジェクトチーム内の認識を統一することができ、ブランドがとるべき戦略が明確になります。戦略が明確になれば、効果的な施策だけに絞ることが可能になるため、コストの削減も期待できるでしょう。カスタマージャーニーマップを作成する際にも、必ずペルソナの思考や言動を元に考えていく必要があります。
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今回の具体例を用いた場合は、仕事が終わったと考えられる「夕方から夜」にかけての時間帯に情報を発信することが望ましく、「野球選手や、健康的なイメージのある宣材を使う」ことで、より効果的にアプローチができると考えられます。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナと似た言葉で「ターゲット」と呼ばれるものがあります。両者の違いはどこにあるのでしょうか。
「ペルソナ」は、架空の人物を設定して深く掘り下げるのに対し、「ターゲット」は「40代男性」「30代女性」といった広い条件で消費者を絞り込んだグループのことを指します。
例えば、「スポーツが好きな40代男性」というターゲットの場合、先ほど設定した「山本 博之」以外にも、「サッカーゲームが好きな人」や「テニスが好きな人」「公園で遊ぶ程度ではあるもののバスケットボールが好きな人」など、さまざまな条件の40代男性が含まれます。
しかし、消費者を絞らず広範囲に設定すると、アプローチ方法や戦略が定まらず、的確なマーケティングが行えません。そのため、狙ったユーザーの購買意欲を効果的に高めることのできる「ペルソナ」の設定が、ブランディングにおいて重要なのです。
ペルソナの設定方法
では、実際にペルソナを設定する際にはどのような方法をとると良いのでしょうか。ここでは、大まかな流れを解説します。
ペルソナにする人物のリアルな情報を集める
まず、ざっくりとしたターゲット層を決めます。ペルソナにする人物の大まかなイメージが決まったら、アンケート調査などを用いて情報収集を行います。すでに公開されているアンケートの結果や、分析結果を参考にしても良いですが、その際はデータの信憑性を客観的に分析しなおすことが大切です。
また、オウンドメディアやSNSを運用していればアクセスログを解析して情報収集ができます。WebサイトにGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを導入したり、SNSのアカウントでも解析データが確認できる設定を行っておくことで、それらに訪れたユーザーの特性を自動的に分析してデータ化できます。
ペルソナに設定したい情報の項目をリスト化する
データを集めたら、ペルソナを設定する際の基本情報となる項目をリストアップします。内容は開発する商品やサービスによって異なりますが、「統計的な属性」「パーソナリティに関する項目」「ライフスタイルに関する項目」があると良いでしょう。具体的には以下のようなものが挙げられます。
具体的な項目の例
統計的な属性
・年齢
・性別
・出身地
・血液型
・誕生日
パーソナリティに関する項目
・性格
・価値観
・口癖
・現在の悩み
・将来の夢
ライフスタイルに関する項目
・普段の生活パターン
・休日の過ごし方
・消費活動のパターン
・交友関係
・読んでいる雑誌
・普段使っている端末
これらの項目に加えて、イメージ写真やイラストなどもあると、より鮮明にペルソナをイメージできるでしょう。
ペルソナを設定する際の注意点
ペルソナを設定する際は、注意しなければならない点があります。設定したペルソナを有意義なものにするためにも、以下の点を意識しておくと良いでしょう。
先入観や理想を含めない
開発者側の意見のみで開発を進めると、もともと持っている商品やサービスのイメージがあるため、どうしても「こうあって欲しい」という潜在的な理想像や思い込みなどに偏ったものになりがちです。
そのため、客観的にデータを確認し、実際のユーザーの目線に立つことが大切です。また、ネット上の口コミやSNSでの評判などをリアルタイムで調査するのも良いでしょう。
定期的にペルソナを見直す
ペルソナをもとに施策を実施した後は、成果が出ているかデータをもとに分析・検証を行いましょう。消費者のニーズは日々変化しているため、設定していたペルソナが実際のユーザーとずれていくことも予想されます。ペルソナがずれたまま放置すると、ブランディング自体に影響を及ぼす可能性もあるため、定期的にペルソナを見直す機会を設けることが必要です。
なお、ペルソナを設定する際には「具体的で分かりやすい人物像」になるように心掛けることも必要です。あまりに複雑だと、ブランディングの方向性を誤ってしまうことがあるため注意しましょう。
ペルソナに刺さるブランド構築を
この記事では、「ペルソナ」の概要や具体例、ターゲットとの違いや設定方法について解説しました。多くのユーザーの購買意欲を湧かせる商品やサービスを開発するには、まず明確なペルソナを設定し、そこに刺さるブランドにしていくことが必要です。
ただし、ブランディングは、自社の強みや個性を理解したうえで、戦略立案することが大切です。弊社では、新規事業やプロジェクトの立ち上げから制作、運用のご相談を受け付けています。気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
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