可愛いだけではない。アイドルから見えるブランディングの重要性
突然ですが、皆さんはアイドルが好きでしょうか。昨今、アイドルを題材にした作品がヒットしたり、K-POPアイドルが人気を増していることから、これらの作品を見ている方も多いと思います。
私はというとアイドルは三度の飯よりも、なんなら三日分の飯よりも好きです。今回はそんな私がアイドルという身近にある文化を軸に、ブランディングについてお話したいと思います。
業界の中で生き残るための術
2010年以降、日本国内外でアイドルが数多く誕生していることから、業界内ではこの時代をアイドル戦国時代と呼んでいます。特にK-POPアイドルの世界進出が勢いを増しており、競争が激化するアイドル業界において、可愛いという武器だけでは生き残れません。
他のアイドルグループに勝つためには、ブランディングを行い別の観点で武器をつくることが必須です。ブランディングとは、同じようなものが台頭する中で生き残るための戦略ではないでしょうか。
アイドルにおけるブランディング
アイドルグループの中でも、K-POPアイドルはブランディングに成功している事例が多く存在します。特にNew Jeansは、アイドル戦国時代において大きくブランディングに成功したグループのひとつです。ここからは、New Jeansがなぜ時代を席巻するほどのアイドルになったのか、ブランディングの観点で分析します。
1.緻密につくられたコンセプト
NewJeansのプロデュースはクリエイティブディレクターであるミン・ヒジン氏が行いました。彼女はそれまでにRed VelvetやNCTといった韓国の人気アイドルのアルバムコンセプトを担当した経験もある、K-POPアイドル界におけるヒットメッカーの1人です。NewJeansは直訳すると新しいジーンズとなりますが、名前の通りグループ名はファッションアイテムであるジーンズが由来となっています。このことについて、ミン・ヒジン氏は以下のように語っています。
大衆音楽は服と同じく、日常生活に至近距離で寄り添う文化であり、特にジーンズは時代を問わずに老若男女に愛されてきたファッションアイテムです。NewJeansにはそんな毎日つい手に取ってしまう、いつ穿いても飽きないジーンズのような時代のアイコンになるという抱負が込められています
引用元:NewJeans – Wikipedia
商品名やサービス名なども同様に、名前は、ユーザーに対してそれがどのようなものであるかを伝えるための重要なツールのひとつです。NewJeansは、ジーンズというキャッチーな響きの言葉を使用することで、グループへの親しみやすさを生んでいます。
2.見る者を引き込む世界観
NewJeansのミュージックビデオは、何度も見返したくなるような世界観を構築しています。おもしろい撮影手法を取り入れられている作品もあり、『ETA』はその一例です。
『ETA』のミュージックビデオは、iPhone 14 Proですべて撮影されており、ダンスの動きに合わせて撮影者が走りながら撮っているシーンもあります。これはAppleの“Shot on iPhone”キャンペーンにおいて、カメラに搭載された強力な手ぶれ補正効果を証明するためにつくられた作品でしたが、見る者に同じ空間でダンスしているかのような没入感を与え、顕在的なファンを楽しませる作品になっています。
3.懐かしさのあるY2Kファッション
NewJeansの魅力として一番多く語られているのは、ファッションではないでしょうか。彼女たちはデビュー時から徹底して、2000年前後に流行したY2Kファッションと呼ばれるファッションスタイルで発信を行ってきました。その一貫したスタイルがZ世代に懐かしさを与え、ファッションアイコンとしての人気も獲得しただけでなく、Y2Kファッションのリバイバルブームの火付け役となりました。
ファッションの流行は、よく20年周期で繰り返されるという話を耳にします。NewJeansはもしかするとY2Kファッションブームの再来も見越した上で、ブランディングされたグループなのかもしれません。
企業は言わばアイドル
NewJeansが成功したことには、ブランディングが大きく関わっています。アイドルとは、コンセプトや世界観からファッションなどのビジュアルまで、一貫したブランディングを行った上で多くのファンを勝ち取っていく職業です。決して見た目の可愛さだけで勝ち残れる業界ではありません。そしてこれは企業においても同じことが言えます。
企業も良い製品をつくって他社と競うだけでは、決して勝ち残ることはできません。アイドルと同様に、企業にもコンセプトや世界観があり、ロゴマークやWebサイトといった目に見えるビジュアルがあります。成功するためには、これらを一貫してブランディングする必要があるのです。企業は言わばアイドルのようなものではないでしょうか。企業もアイドルと同じように、多くのファンを獲得する目的のために存在しているはずだからです。
ファンを獲得することが目的であるすべての物や人、サービスにとってブランディングは重要です。クライアント様が多くのファンを獲得できるように、私たちはデザインやブランディングの手段を使って伴走いたします。ぜひ一緒にファンを増やしてみませんか。