デザインにおいて大切な「字詰め」について
私事ですが、ブランコに入社して3ヶ月が過ぎました。アシスタントとしても社会人としてもまだまだ慣れないことが多く、先輩にやさしく時に厳しくご指導していただいています。
最近ではアシスタント作業とは別に、デザインの基本的なところの勉強などもさせていただいています。ときどき就業時間後に勉強会を行なったりもしています。
いま私は本や先輩からいただいた課題をしながら字詰めの勉強しています。
今回は、私がいま勉強している字詰めについてご紹介していこうと思います。これから字詰めの勉強をしようとしている方の参考になれば幸いです。
字詰めもデザイン
アシスタント作業をしている時に字詰めについて注意されることがありました。
「欧文書体は字間を広くとると、文字によってはちょっとだらしなく見えるよ」、「和文書体をトラッキングだけ設定すると、所々開いてしまってしまりがなく見えて、単語みたいに見えるよ」と教えていただきました。
上の画像のTokyoという字を見てください。Tとoの間が広いためTとokyoに見えます。
Tとoの間隔はTの上の部分が横に伸びているためすごく広くあいて見えます。しかし、oとkの間隔はkの左側が縦に伸びているためoとkがすごく狭く詰まって見えます。これをTokyoという単語で読ませるためにはTとoの間を詰め、oとkの間を少し開けてあげる必要があります。
ほとんどの人は広告物の文字はなんとなくしか見ないと思います。書かれている文章が違和感がなく文字が頭に入ってくるように、字詰めをするんだと改めて感じました。
それを逆手にとって、あえて箇所に間隔をとって目立たせるという方法もあり、字詰めといっても様々な方法があることを知りました。
字詰め初心者が気をつけておくこと
字詰めの勉強をし始めて日が浅くコツもまだつかめていないので、先輩方に字詰めをするにあたってのポイントを聞いてみました。
ポイントは大きく分け次の5点です。「文字の形を知る」「文字を見るのではなくスペースを見る」「全体を見てどうしても詰められないところを見つける」「3文字づつ見て組む」「逆さまにして確認する」。
文字の形を知る
文字の形を知るということですが、文字には空きが大きいものから複雑な作りの物まで様々な形があります。それぞれの文字の特徴を知ることで字詰めがしやすくなります。
文字を見るのではなくスペースを見る
文字を見るのではなくスペースを見るということですが、隣り合っている文字とのスペースの面積が全て同じになるようにするとキレイに詰められます。スペースを見ると言われると上の画像のように見がちですが、下の画像のように字間全ての面積を見ることが正しい見方です。
考え方としては、字間に水を貯めてその分量を全て同じにするイメージです。
全体を見てどうしても詰められないところを見つける
単語によっては、どうしてもこれ以上詰められないという場所が存在します。まず、字詰めをするときにここを見つけておく必要があります。
上の画像のTokyoという文字ならkとyの部分ですが、kの横に出っ張っている部分をこれ以上近づけてしまうとくっついてしまうので、ここに合わせて字詰めを整えてあげなければいけません。
3文字づつ見て組む
最後に3文字づつ見て組むということですが、3文字づつ見て字詰めをするとより単語に近くなるのでキレイにできます。
逆さまにして確認する
最後に逆さまにして確認することによって、単語として認識しないでひとつひとつのオブジェクトとして認識することができるようになるため、字詰めの甘さが見えます。
このポイントをふまえて、字詰めをしたものが上の画像です。
字詰めをしていないものと比べるとTokyoという単語になっていることがわかると思います。
字詰めの練習ならまずはこれ!
私が先輩から最初に教わった、字詰めの練習の仕方をご紹介したいと思います。用意するものは、文字が印刷されている紙と白い紙です。
まず、何か文字が印刷されている紙を文字に合わせて切ります。
次に白い紙の真ん中に横にまっすぐ線を引き、それをベースラインにして、先ほど切った文字を貼っていきます。
とてもシンプルですが、こうすることで、デジタル上でするよりもひとつひとつの文字の形が見えて、字詰めの感覚をつかみやすいと思いました。これから、字詰めのコツをつかみたいという方は以下のリンクからデータがダウンロード出来ますのでぜひ練習してみて下さい。
ゲーム感覚で学ぶ「KERNTYPE a kerning game」
「KERNTYPE a kerning game」は、ゲーム感覚で字詰めの練習ができるのでオススメです。
遊び方は、単語が出てきてその単語の字詰めをするだけというとてもシンプルなもの。
字詰めが終わったら点数とお手本が表示されるので、初心者の方でも気軽に楽しみながら字詰めの感覚を覚えられるのではないでしょうか。ベテランの方も実力を測るために挑戦してみて下さい。
何を伝えたいかが大事
以前にコチラの記事でも書きましたが、ただかっこよくすることがデザインではなく、何を伝えたいか情報整理をすることがデザインだとよく言われます。
字詰めも同じく、ただ詰めればいい、ただ広くすればいいということではなく、どのような状況で読むか、どんな人が読むのかということを考えると、自ずとどんな字詰めをすべきかということが見えてくると感じました。
例えば、ゆったりとリラックスした時に読んでほしい場合は字間を広めにとって少し間延びしているような印象を与え、かたい内容の文章を読んでもらう場合は字間を狭めにとってかしこまった印象を与えることができます。
雑誌と新聞を見比べてみるとわかりやすいと思います。特に女性物の雑誌の場合は、ゆっくり読めるように少し字間を広くとっています。新聞の場合は朝や通勤中の短い時間で読むということもあり、早く読めるように字間を狭めにとっています。デザイナーは、誰が読むかどんな時に読むかということを想定して適切に選択していかないと相手に伝わらないと感じました。
字詰めが一人前に出来るまで3年はかかると言われているので、徐々に字詰めができるようになろうと思います。
これからも、自分で勉強するのはもちろん、アシスタント作業の中でもしっかり吸収できるようにがんばります。
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