クリエイティブ制作におけるクリティカルシンキング

弊社ブランコでは定期的に社内勉強会を開催し、知識や思考法などのブラッシュアップを行っています。今回は「クリティカルシンキングの思考法」をテーマに行われた勉強会の内容をご紹介させていただきます。

 

クリティカルシンキングとは

みなさんは「クリティカルシンキング」という言葉をご存知でしょうか。クリティカルシンキングとは、健全な批判的精神と客観的な思考を持ちながら、最適解を見つける思考法です。人は与えられた情報や事実をつい鵜呑みにしがちです。しかし、そのような思い込みにとらわれずに「本当にこれで正しいのか」という視点を持ちながら多角的に考え続けることで、これまでにない答えを導いたり、本質を見極めていきます。

1930年代にアメリカの教育学で生まれたといわれ、2016年の世界経済フォーラム(ダポス会議)では「2020年 すべてのビジネスマンが必要なスキルTOP10」として2位と発表されました。変化の激しい時代だからこそ、本質を見極めるスキルの重要性が世界的にも高まっているようです。

と、ここまで読んでいるあなたは堅苦しく感じてしまっているでしょうか。実はこの考え方は身近でもよくあることなのです。例えば天気予報が「晴れ」と発表されていたとします。外の様子や体感などを観察し、雨が降るのでは?と仮説を立てて傘を持っていく… ということもクリティカルシンキングの一つになります。

 

クリティカルシンキングのメリット

クリエイティブ制作においてもこの考え方が欠かせません。それにはこのようなメリットがあるからです。

物事の本質を見つけられる

クリエイティブ制作は課題を解決して、よりよい方向へ導くことです。それらの解決策の指針として、コンセプトや本来の目的を念頭に置きます。そのためには物事の本質を見つけることが必要となり、クリティカルシンキング的な思考法によって導くことができます。

固定観念にとらわれず、新しい発想ができる

クリティカルシンキングは固定観念や思い込みにとらわれずに多角的に考え、自分ごとだけでなく第三者の目線など、自由な視点で仮説を立てます。そのため、新しい発想や解決方法を生み出すことができるようになります。

 

日本のデザインにおけるクリティカルシンキングの事例

ここで日本でクリティカルシンキングの思考法による、デザイン事例をご紹介させていただきます。日本を代表するグラフィックデザイナーの松永 真さんのエピソードです。松永さんは誰もが一度は見たことがあるロゴや商品などを手掛けられていますが、その中のひとつであるティッシュのスコッティのお話です。

松永 真さんがロゴパッケージデザインを手がけた、スコッティのティッシュは1986年に誕生しました。世界各国からデザイナーを集めて、国際コンペが行われました。このコンペにおいて、クリティカルシンキングの思考法から導き出したデザインが採用されたのです。どんなことに疑問を持ち、どのように解決してデザインをされたのでしょうか。

 

本当にこれでいいのか?の視点

メーカーから提示された条件は「花柄であること」「与えられたロゴを使うこと」。まず、この前提条件に疑問を持たれました。

クリティカルシンキングで考えた疑問点

本当に花柄である必要があるのか?
本当にそのロゴを使用した方が良いのか?

クリティカルシンキングで導き出した仮説

本当に花柄である必要があるのか?

販売する売り場では花柄は目立つかもしれない。しかし、家で使用している場面ではどうだろう。シンプルで何一つモノがない部屋なら花柄でもいいが、ゴチャゴチャした部屋の中に花柄のティッシュペーパーがあったら邪魔ではないか。部屋の片隅にそっと置けるくらいの、シンプルな方が生活に溶け込むのではないか。

本当にそのロゴを使用した方が良いのか?

シンプルな箱に入るものだから、その造形はより重要になってくる。しかし、与えられたロゴは、とても基準を満たすものではなかった。なので、一からロゴを作り直すことにした。

クリティカルシンキングを使って出した結論

メーカーから提示された条件「花柄」は使わず、「ストライプ柄」を逆に提案。
ストライプ柄に「与えられたロゴ」が合わないため、オリジナルのロゴを作成。

松本真さんは、与えられた議題をそのまま鵜呑みにせず、「その意味は?」「なぜなのか?」「本当にそうなのか?」と質問を繰り返したことで、真の最適解を導いた点を評価され、採用されることとなりました。そのデザインは30年以上も続くデザインとなっています。

 

クリティカルシンキングのポイント

私たちも制作においてこの思考法を活用し、クリエイティブ制作を行っています。

「そもそも目的は何か?」を問う

広告宣伝の手段は様々あります。例えばWebサイト制作の依頼を受けた際に、私たちは「その手法は最適なのだろうか」と考えます。私たちへご依頼いただいた真の目的は「良いデザイン」をする事ではないか?「良いデザイン」とは企業の思惑を形にする事ではなく、ユーザー目線から見た「最適なデザイン」ではないか?と考え、時にはご要望から異なるご提案をさせていただくこともあります。それはクリエイティブのプロとして、誠実な姿勢と考えているからです。

常に問い続ける、考え続ける姿勢

クリエイティブ制作においては、企業の担当者、ユーザー、クリエイティブ制作者、それぞれの思い込み、価値観、思考の癖があるものです。そして、人はどうしても主観で物事を考えてしまいがちな生き物、ということを前提として受け入れ、立場に左右されずにベストがないのかを考えることが大切です。

そのためにも、日頃からの習慣として、日常のあらゆることに対して疑問を持ったり、答えが出た、と思ってもそこから思考を止めず考えることが思考力を上げることに繋がります。

 

考え続けた先にある真のクリエイティブ

「その意味は?」「なぜなのか?」「本当にそうなのか?」と質問を繰り返すことで、今まで見えなかったアイデアを見つけることができたり、課題を解決してより良い方向へ導くことができます。まずは身近なところから疑問をもって考えてみるのはいかがでしょうか。

 

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弊社では、このような本質的なクリエイティブを目指して、さまざまなデザイン業務に携わっています。どうぞお気軽にお問い合わせください。また、このような社内勉強会を定期的に開催し技術向上に勤しんでおります。向上心が豊かで私たちの仲間になってくれるデザイナーやディレクター、エンジニアを募集しております。我こそはと思われる方のご応募をお待ちしてます。