キリンの首はなぜ長いのか?生き物の進化から学ぶブランディングの重要性
「キリンは高い木の葉を食べるため、首を長く進化させた」という話を、一度は聞いたことがあるかと思います。
この話からわかるように、キリンは環境に合わせて自らの形を変えることで、生き残ってきた動物です。自然界には他にも環境にあわせて進化した動物が数多く存在します。彼らの変化は単なる偶然ではなく、生き残るために必要な必然の選択でした。
今回は生き物の進化を軸に、ブランディングの重要性についてお話しします。
ダーウィンの進化論
生き物の進化を語った学説として最も有名なのはダーウィンの進化論です。
イギリスの生物学者であるチャールズ・ダーウィンは、1859年に生き物の進化について書いた『種の起源』を出版しました。この書籍の中でダーウィンは以下のように唱えました。
環境に適したものが適者生存により生存競争に打ち勝って残存し、そうでないものが滅亡していく自然選択を生み出し、その自然選択が種全体を変異させていく
引用元:生物の進化論
このようにダーウィンは著書『種の起源』で、自然界の激しい生存競争の中で、環境に適応できた変異個体だけが生き残ったと主張し、生物学に革命を起こしました。その後『種の起源』は人類史において「地動説」と並ぶ知的革命の1つとも呼ばれ、1859年の出版から150年以上経った現在も読み継がれる名著となっています。
キリンの祖先と進化
『種の起源』の中でも説明されている、最も顕著に進化を遂げた生き物がキリンです。キリンはもともとオカピと共通の祖先であり、今から約1150万年前に祖先が分岐したと考えられています。
キリン科の祖先は、もともと草が生い茂る森の奥に住んでいました。しかし、一部のグループは外敵の動きを察知しやすいように、視界の開けたサバンナに暮らす場所を移しました。サバンナに進出したグループは、外敵から身を守りやすくなりましたが、低い木の少ない環境では食料の確保が難しく、高い木の葉を食べることを強いられました。そこで長い時間をかけて首を長く進化させキリンとなりました。
一方で森に残ったキリン科の祖先は、高い木の葉を食べる必要がなかったことから首を長く進化させることがなく、オカピとして生き残りました。オカピは「首の伸びなかったキリン」という愛称でも親しまれ、この2つの生き物の祖先が共通であることが証明されています。
生存するためのブランディング
キリンとオカピの違いは力の優劣ではなく、生存する環境の選択と適応の違いです。外敵の動きを観察しやすいサバンナへと進出したキリンと、食料の豊富な森に居続けたオカピ。どちらの選択も正しく、それぞれが選択した環境で適応し、現在まで生き続けています。
生態系と市場の共通点
企業が活動する市場は、実は生態系とよく似ています。競合という“外敵”がいて、顧客という“限られた資源”を奪い合い、流行という“気候”が常に変化しているからです。市場とは、企業が共存し、淘汰され、進化を迫られる人間社会におけるいわば生態系です。
変化する激動の市場の中で誤った選択をとると、環境の変化に流されていってしまいます。だからこそ、企業には「自分たちはどんな環境で生きるのか」「どんな姿で価値を届けるのか」を定める戦略が必要になります。それがブランディングです。
ブランディングは企業の生存戦略
ブランディングとは、流行に合わせて形を変えることではありません。変化の中でも自分らしく生き抜くための意思を定めることです。変化する環境の中でらしさを維持しながら、自分たちの価値を社会に広めていく。それはまさに企業にとっての進化であり、市場で生存するための戦略です。
キリンの祖先が姿を変えて生存し続けたように、ブランドもまた自らの本質を保ちながら、柔軟に変化していく必要があります。変化に適応し続ける姿勢が、長く愛されるブランドをつくるのです。
私たちはブランドが長く愛され続けるために、デザインやブランディングの手段を使って伴走する会社です。どうぞお気軽にお問い合わせをお待ちしております。





