伝統の火を灯し続ける、筒井時正玩具花火製造所の花火たち
昔から夏の風物詩として親しまれてきた花火。しかし、今、私たちにとって馴染みのある花火はほとんどが外国産のものだというのをご存知でしょうか。その中でも特に希少なのが、純国産の線香花火です。
伝統の光を守り続ける
福岡県の南部に位置する自然豊かなみやま市。その地で約90年もの間、玩具花火を生産しているのが、現在、日本に3社しかない国産線香花火の製造所のひとつ「筒井時正玩具花火製造所」です。
十数年前に当時国内唯一の線香花火製造所であった場所で3代目
筒井 良太さんは修行を積み、その製造所の廃業と同時にすべての技術を引き継いだんだそう。線香花火はとても繊細で、職人の縒り方、火薬の量、気象条件によってひとつひとつ違う表情を見せます。筒井さんは修行を終えてもなお研究を重ね、今の形にたどり着いたんだといいます。
筒井時正玩具花火製造所では、カラフルな紙に包まれた「長手牡丹」と呼ばれる線香花火以外に、関西を中心に親しまれてきた「スボ手牡丹」と呼ばれる細い藁を使った線香花火も製造しています。スボ手牡丹を製造しているのは、国内ではここだけなんだとか。
心に響く線香花火
さらには、火薬には宮崎産の松煙、紙は福岡県八女市の手すき和紙と素材にもこだわった新感覚の線香花火「線香花火 筒井時正」を立ち上げ。和紙は草木染めで染色され、職人の手によって一本一本丁寧に縒り上げられます。
線香花火は、ワインと同じように「熟成」によって味わいが深まるんだそう。時を経た線香花火は、どこかやわらかく、温かみのある火花を散らします。夏に使い切れなかった線香花火はパッケージごと湿気のない場所で保存し、翌年に楽しむのもまた一興です。
想像力を掻き立てる花火
「どうぶつはなび」と呼ばれるシリーズは、郷土玩具から着想を得て、これまでに無い動きや表情 のある花火を提案しています。こちらの「吹き上げる 鯨花火」は、大きな体から豪快に潮を吹き上がる様子を、花火で再現。
「動く龍花火」は、炎を吹きながら、体を左右にくねらせて空を舞う龍を花火で表現されています。どちらも、福岡市に拠点を構えるデザイン事務所・株式会社テツシンデザインと、なかにわデザインオフィスが共同でパッケージのデザインを担当しています。
このように、線香花火以外にも、どこか懐かしくて新しい、ユニークな花火を生み出し続けている筒井時正玩具花火製造所。自分で使うのはもちろん、誰かにプレゼントたくなる花火ばかりです。
東の線香花火 長手牡丹 600円(税別)
西の線香花火 スボ手牡丹 600円(税別)
吹き上げる 鯨花火 450円(税別)
動く龍花火 400円(税別)