“四角だけが持ちやすい形じゃない”。「SHOJIFUJITA」の六角形のレザーケース

シンプルながらもハッと息を呑むほど美しい、六角形のシルエット。ケース=四角形の常識を覆すこちらのアイテムたち。デザイン・製作を手がけるのは、「SHOJIFUJITA」のデザイナー藤田 勝治さんです。

時がつくるデザイン

藤田さんは、ファッションデザイン専攻科卒業後、バッグデザイナー兼職人としてメーカーに勤務。そして、2013年にレザーブランド「SHOJIFUJITA」を立ち上げました。

コンセプトは「時がつくるデザイン」。SHOJIFUJITAのプロダクト制作は、まず素材を見極めるところから始まります。そして、その素材が持つ魅力を最大限に活かせるよう、藤田さんご自身で裁断から縫製まですべての工程を行います。そう、藤田さんがもっとも大切にしているのが、1点1点表情が異なる“レザー”という素材そのものの神秘的な力をプロダクトで表現すること。そして、使っていくことにより刻まれたシミやシワ=“時”こそが普遍的なデザインになるという考えから、「デザインをしないデザイン」をするように心がけているのだそう。

デザインをしないデザインとは?

“デザインする”ということは、アイデアの芽にどんどん肉付けしていくことで、ひとつのプロダクトが完成するというイメージですが、SHOJIFUJITAのプロダクトは、最初に生まれたデザインから不要なものを削っていくことで完成します。使う人にレザーを育てていってほしいという思いから、「商品自体の個性はゼロにしたい」と考えているのだといいます。

当たり前を疑う

藤田さんが手がけたプロダクトのひとつに、六角形の革小物『PIEACE』シリーズがあります。

「四角形だけが持ちやすい形ではないのでは?」という疑問から生まれたシリーズ。手にしっかりフィットするような、持ちやすさと取り出しやすさを重視して作られた六角形のシルエットが特徴的。

不規則な六角形を描いたオブジェのような美しいカタチは、入れる「モノ」起点ではなく、携帯する「シーン」から着想した形態。雑多になりがちなバッグの中でも手触りで識別しやすく、また角を起点としてスムーズに取り出すことができます。これまでコインケースやペンケースなど、5種類が発表されています。シンプルでベーシックながらも新しさを感じる不思議なデザインです。

そして2018年、新たに同シリーズに加わったのがカードホルダーと、オーガナイザーポシェット。これまではバッグの中に収まっていたシリーズがついにバッグを飛び出しました。

革紐が付いたことで、バッグにつけたり、首や肩からかけて使うことが可能になりました。レザーの美しい発色や表情、そして、六角形のカタチをファッションの一部として使うという、新たな楽しみを見出した新作です。

大切に使いながら、自分だけのアイテムに育て上げる。そして、世界にひとつだけの特別なアイテムへと昇華していく…。そのように、作り手の思いと、使い手の思いが交錯して「SHOJIFUJITA」のプロダクトは完成するのです。