イメージを再解釈し、感覚的なプロダクトを生み出していく「mortar」

建物の壁や床、天井などの表層、タイルやブロックの継目に使われる建築材料・モルタル。「mortar(モルタル)」は、「重い」「硬い」「冷たい」などの感覚をカタチにしていくプロジェクトとして、京都を拠点に活動するクラフトスタジオPull Push Products.によって2013年にスタートしました。

建物の一部として使われ、日常生活の中でも目にする機会の多いモルタル。しかし代表の佐藤 延弘さんは、多くの人が共有するその固定されたイメージを1度まっさらにし、再解釈することからスタート。「重いはずのものが軽くあることとは」「厚みを持つものに薄さを与えたなら」「動かないものが動いたなら」。モルタルと向き合い、その中にある様々な感覚やイメージをハンドクラフトのプロダクトとして提案しています。

主にセメントと砂と水を練り合わせた材料がモルタルと呼ばれますが、アイテムごとに調合は異なります。さらに、製作方法もコテを使った左官技法に加え、木型による注型製法など、様々な技法が駆使されています。試行錯誤を積み重ねながら形にしていくため、独自の材料実験や製法研究から着手するのはもちろん、企画から実験、製品製作までのすべての工程がPull Push Products.で一貫して行われています。

モルタルを生活の一部に

商品はすべて手作で製作されています。こちらの「FLOORWALL」の厚さは、わずか3mmほど。モルタルに特殊な繊維材料を練り込むことで、この厚さでも十分な耐久性を有しています。

力を強く加えると、クラックが入ります。これは、これまでモルタルの懸念材料とされていた「ひび割れ」を敢えて故意に入れて好みの表情にしたり、自然に割れるのを楽しんだり、生活の一部としてアートのように取り入れてみてはどうだろう、という佐藤さんからの問いかけなのです。ちなみに、繊維材料が練り込まれているので、バラバラに砕けてしまうことはないのでご安心を。

木型に流し込んで形成する「注型製法」という技法で製作された「LUMP LAMP」。木目をそのまま活かした荒々しい表情が魅力です。構造体の一部のようなその佇まいは、素材の力強さを感じることができる唯一無二のランプです。

人のセンシティブな部分を刺激し、そこに存在するだけでメッセージを感じる「mortar」のアイテムたち。床でもなく、壁でもない、“空間”とモルタルの融合は未知数です。まずは空間の一部として、そして生活の一部へとモルタルを取り入れてみてはいかがでしょうか。