「つくる」と「たべる」をひとつにする。町工場が作る鉄フライパン「ジュウ」「つくる」と「たべる」をひとつにする。町工場が作る鉄フライパン「ジュウ」

小さな町工場・藤田金属株式会社と、クリエイティブユニット・株式会社TENTがタッグを組んで開発した「FRYING PAN JIU(ジュウ)」。2019年1月より販売が開始されて以来予約待ちの状態が続いている「自分でつくって自分で食べる」「仲間とつくって仲間と食べる」、そんなDIYな暮らしを楽しむ人に向けたフライパンです。

ジュウが生まれるまで

大阪の町工場・藤田金属株式会社は様々な企業からの製造委託を請け負う一方で、自社製品として「フライパン物語」という商品を制作しています。百貨店やカタログギフト、テレビショッピングなどで取り上げられることも多く、好評を得ているのだといいます。しかし藤田金属株式会社の長男・藤田盛一郎さんは「そこからさらにもう一歩踏み出せないか」という漠然とした悩みを抱えていました。そんな時に知人の紹介で出会ったのが、株式会社TENTの青木さん、治田さんでした。

新たな商品を開発しようと様々なアイデアを出し合う中で「やっぱり、藤田金属が得意としている鉄フライパンで挑戦しよう」という結論に。これまでは「料理人のための最高仕様!」「主婦の味方!」などを謳い文句に、「つくる」人と「食べる」人が別であることを前提に売り出されていることが多かったフライパン。そこに目をつけ、行儀が悪いとされていた“料理をお皿に盛り付けずにフライパンから直接食べる”という行為を堂々と行えるうえに、洗い物も少なくなる“「つくる」と「食べる」を1つにする”フライパンをゴールに掲げたのです。それが2016年春ごろのことだったのだといいます。

その後の道のりは決して平坦なものではありませんでした。「難しさの1つに「金属だけで作る」という課題がありました。藤田金属さんは金属の製造加工は得意だけど、樹脂(プラスチックなど)の成形品は不得意であることがわかっていたので」と治田さん。取手の着脱が可能なフライパンの多くは、樹脂を使うことで取手とフライパンとのロック機構を実現しています。そのため、これまでにはない新たな構造を考える必要がありました。

日常の一部になるフライパン

そこで、取手を複雑にするのではなくフライパンの縁の形状を工夫し、ハンドルをシンプルにするという考え方にシフトしてデザインを考案。そこからは藤田金属にバトンを渡し、試行錯誤の日々が始まりました。「普通に、毎日使える」ことを目指していたので、極力シンプルで過重がかからないものに仕上げなければなりません。ミリ単位の細かな調整を来る日も来る日も続けること数カ月。ようやく完成したのが、「FRYING PAN JIU」でした。

片手で着脱できる、スライド式ハンドル

ハンドルはFRYING PAN JIUのために開発されたもの。軽くスライドするだけなので、片手でスッと着脱することが可能です。

厚手の鉄板が使われているので、お肉はジューシーに、野菜はシャキシャキに、パンなら外はサクッと中はモチモチに仕上がります。

専用の鍋敷きとフタを開発

2019年6月、FRYING PAN JIUをさらに使いやすくするために専用の鍋敷きとフタが発売されました。全体をぴったり覆うフタは、平らな鉄板の縁を少しだけ折り曲げ、マットに塗装。そこに木の取っ手をつけただけの最小限の構造です。蒸気を逃さず調理ができるので、蒸し焼きにも最適。

鍋敷きは、フライパンの熱をしっかり受け止めてくれる厚さ10mmのフェルトを使用。高い密度の圧縮フェルトなので、フライパンやコップをのせてもぐらつくことがありません。また、中心部分をポコッと取り外すとコースターが登場。食事のおともに飲み物は欠かせない存在。手軽に素早く、でも、きちんと食事したいという気持ちに応えてくれます。

 

熟練の技と、使いやすさを追求したデザインが生んだ「FRYING PAN JIU」。暮らしを豊かにしてくれるだけでなく、アウトドアやおもてなしのシーンでも活躍してくれること間違いなしです。

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