製本技術が取り入れられた紙のジュエリー「ikue」

まるでオブジェのようなジオメトリックな造形美、美しい色合いにつややかな質感…見れば見るほど「何でつくられているのか?」と興味をそそる、こちらのジュエリー。実は、書物を金の箔で縁取る伝統技術「三方金」と、製本の過程を辿ってつくられたジュエリーなのです。

本のような、ジュエリー

紙が“幾重(いくえ)”にも束ねられていることから名付けられたブランド名「ikue(イクエ)」。紙の束を360度広げることで完成されるジュエリーです。
商品の開発・制作を担当したのは、株式会社TANT有限会社篠原紙工。TANTは、原田元輝さんとグラフィックデザイナー・横山徳さんが設立したデザイン会社です。2016年の東京ビジネスデザインアワードで三方金の技術を使ったジュエリーを提案し、最優秀賞を受賞したことを機に、製品化にむけて動き出したのだといいます。

着目したのは、書籍の天・地・前小口に金箔を施す製本の技術「三方金」。TANTの原田さんは、「私がプロダクトデザイン、横山がグラフィックデザインを担当しているのですが、“三方金”をプロダクトとグラフィックデザインをつなぐ中間的なモチーフとして捉えることで、なにか面白いモノがつくれるのではないかと考えました。一見交わることのなさそうなところに位置する、紙とジュエリーを組み合わせることで、いい意味でのギャップや、可能性を表現したかった」といいます。

紙の“ジュエリー”が誕生

製造工程を見てみると、紙の選定から始まり、型抜き、糊付けと、製本の工程とほぼ同じというから驚きです。日本の製本技術は、他国と比べても繊細な技術を持っており、その対象が本ではなくより複雑で精密なジュエリーに変わっても、正確で美しいプロダクトが完成するのです。その完成した姿は、紙であるということを忘れてしまうほど。まさに“ジュエリー”という言葉がぴったり。

そしてこのジュエリー、素材が紙ゆえに、4〜5g程度ととても軽いのが特徴。さらに、それだけではなく、長時間の振動や衝撃に耐える強度と耐水性をクリアするために、さまざまな加工が施されています。
そのため、湿気が多かったり、汗ばむ夏などにも安心してつけることができます。

 

現在のラインナップは、DIAMOND、STRAIGHT、CONEのバリエーションに加え、金、銀、ホログラムの3種類の箔が取りそろえられています。奥が深い紙や箔の世界ゆえ、バリエーションは無限大。今後の商品展開からも目が離せないブランドです。

Related Posts