AI技術が時代のムードをチョコレートで再現した「あの頃は CHOCOLATE」
バレンタインデーにむけて販売されたのは、時代のムードを舌で感じることができる「あの頃は CHOCOLATE」。
日本電気株式会社(NEC)による最先端AI技術と、サンフランシスコ発のBean to Barチョコ専門店のダンデライオン・チョコレートが、まるでタイムマシーンに乗ったかのような錯覚に陥る、一風変わったチョコレートを開発しました。
ユニークな開発プロセス
まず、過去約60年の新聞記事のうち、社会を反映する印象的な出来事のあった5つの年をピックアップ。各1年分の新聞記事をAIで分析し、7つの味覚指標をもとに各時代のムードをチョコレートで再現。AIが導きだした5つの年の味覚指標にフィットするチョコレートを、ダンデライオンが開発し、販売に至りました。
5つの時代のムードが味わえる
現開発されたのは、全部で5種類。一体どんなチョコレートなのか、ちょっと覗いてみましょう。
①1969 人類初の月面着陸味
戦後の混乱は落ち着きつつも、学生運動が活発化し、不穏な空気が広がっていた1969年。人類が初めて月に立ちました。世界中が人類の偉大な一歩に心を震わせ、不安の中にも希望の光を感じていた時代です。そんなムードを表現するのは酸味のあるインド産カカオ85%。苦味の中にもクランベリーのようなフルーティな味わいが広がります。また、月面の凹凸をカカオニブで表現されているのも特徴です。
②1974 オイルショックの混迷味
中東戦争の影響は、オイルショックとなって日本に降りかかりました。狂乱物価、物資の買い占めなど、日常生活も大混乱する中で、省エネにより国民一丸となって回復を模索していた時代のムードをチョコレートに。ミルキーでフローラルなシエラレオネ産カカオ70%。ローストを調整し、ヘーゼルナッツのクリーミーさに、栗の皮の渋みが顔を出す。混迷を極めた時代の複雑な味わいを感じることができるはずです。
③1987 魅惑のバブル絶頂味
山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買えるとまで噂された地価上昇。連日最高値を更新する株式市場に支えられ、日本全体が好景気に酔いしれていたバブル絶頂期。その時代のムードに合うのは、甘さと華やかさを兼ね備えたホンジュラス産カカオ70%。まろやかな桃のような甘さに、ジャスミンの香りが広がり、ひとときの栄華が口の中で耽美にただよう一品です。
④1991 絶望のバブル崩壊味
永遠に続くかと思われた好景気も、泡のようにはじけて散った1991年。不動産、株式の価格は暴落、不良債権が拡大し、企業倒産も相次ぎました。 バブル崩壊の衝撃と絶望感がただよう時代のムードを砂糖不使用、コスタリカ産カカオ100%に託します。強い苦味にカカオ本来の酸味が立ち上がり、後味にはチリのようなスパイス感が残り、“天国から地獄へと突き落とされた日本の空気”が表現されています。
⑤2017 イノベーションの夜明け味
人工知能ブームが過熱した2017年。自動運転、ドローン、仮想通貨など目覚ましい技術革新がもたらした期待と興奮。夢に見た未来が現実となりはじめた刺激的な時代です。 そんなムードを伝えるのはナッツを感じるドミニカ共和国産カカオ70%。ローストの温度と時間を丁寧に調整することで、バニラのような甘み、ミルクティーの茶葉の香りが引き出され、後味にシナモン、チリペッパーのスパイシーさを感じさせてくれます。“新たな時代の到来”を、舌の上味わうことができますよ。
2018年10月より予約販売されたとのことですが、予約個数はすでに終了しているとのこと。AIの活用は、今回のチョコレートを含め“食”の分野でも可能性を広げてくれそうですね。
あの頃は CHOCOLATE