「タグチ・アートコレクション しあわせの相関図」で現代アートの魅力に触れる
天神・イムズにある三菱地所アルティアムにて、「タグチ・アートコレクション しあわせの相関図」が、4月23日(土)〜5月29日(日)の期間開催されています。
“しあわせ”の解釈
実業家であり現代美術コレクターとして知られる田口 弘さんが、日本をはじめアメリカ、ヨーロッパなど世界各国から収集した作品は約280点にも及びます。
本展では、個人コレクションとしては珍しく、ミュージアムピースの大作が多く含まれている名品揃いのタグチ・アートコレクションの中から、厳選された7作家の8作品が並びます。
“しあわせ”は、喜び悲しみなどいろいろなものと関わっているという解釈のもと、光を感じる部屋、人生の悩みや苦しみの側面を見せる部屋、そして最後には希望を感じられるような展示構成となっています。
ビジネスと現代美術の関係
コレクターの田口さんに、現代美術の持つ魅力についてお話を伺いました。
「常に時代の最先端をいく現代美術は、実はビジネスと密接に関わっています。
現代美術は私たちが想像もしないような新しいアイディアや発想の宝庫。ビジネスは常に新しいものをつくり続けていくものですが、そういう意味でいうと、現代美術はビジネスの行き先を暗示しているのではないかと考えています。」
今回の展示の中でも会田 誠さんの大作「灰色の山」は、非常に人気のある作品です。
無数のサラリーマンが積み重なりできた灰色の山。会社経営者である田口さんがこの作品を所有していることは逆説的でとても興味深いですが、田口さんはこの作品をどのように見ているのでしょうか。
「戦後何もない国となった日本が、高度成長期を経て世界第2位の経済大国になりました。この作品は、夜も寝ず土日も休まず国のためにたくさんのサラリーマンが働きその下地をつくった、ということをよく表していると思います。」
私は労働者が積み上がった山を見て、人を使い捨てのように扱う現代の働き方への警鈴のようなものを感じましたが、高度成長期を支えた人たちへの強いリスペクトをこの作品に感じ取っていた田口さん。
見る人によりどう感じるか、どう受け取るかは自由で、それらすべてを受け止める現代美術作品の懐の広さのようなものを感じました。
どの作品もそれぞれ購入時の思い出があり思い入れの深さは同じだそう。本展に出展している作品の中でしいて言えば、特に印象深い作品は、奈良 美智さんの「Cosmic」だそうです。
“人に見てもらうため”のコレクション
コレクション、というと自分の大好きなものを自分のために所有するというイメージがありますが、田口さんは「人に見てもらうため」に作品を集めています。
現代美術は見てもらうことにより価値が上がり、また多くの人に新しいものに興味を持って欲しいとの思いから、各地でコレクションの展示を開催されているそうです。
九州初展示となるタグチ・アートコレクション、この貴重な機会にぜひ足を運んでみてくださいね。
タグチ・アートコレクションしあわせの相関図
天神イムズ8F 三菱地所アルティアム
2016.4.23(土)-5.29(日) 10:00-20:00 ※5.17(火)休館
一般 400円、学生 300円、高校生以下無料、再入場可
ライアン・マッギンレー/ Ryan McGinley《Mustard Meadow》c-print 121.3×182.3 cm 2012
© Ryan McGinley Courtesy of Team Gallery, New York / Tomio Koyama Gallery, Tokyo