「CONDE HOUSE Design Talk Event」
建築家 東利恵さんの、コンセプトを中心に据えた大胆なデザイン

以前こちらの記事でご紹介した「CONDE HOUSE Design Talk Event」が、9月16日(金)に福岡で行われました。

CONDE HOUSE Design Talk Eventとは

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CONDE HOUSE Design Talk Eventは、北海道の旭川に本社・工場を持ち、国内外で店舗を展開している家具メーカー「CONDE HOUSE」主催の元、毎年秋に開催されているイベントです。

今年は全国6ヶ所で開催。毎回旬なデザイナー、建築家、クリエイターなど様々な方をトークゲストに招いています。

ゲストによるトークだけでなく、“くらしとデザインの広場”を目指し年々盛り上がりを見せている「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」のレポートや、CONDE HOUSEの新作家具のお披露目も兼ねています。

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福岡会場のゲストは、東 環境・建築研究所 代表取締役であり建築家の東 利恵さん。

数々の賞を受賞した「星のや軽井沢」がどのように誕生したのかを皮切りに、お仕事の進め方、考え方など、たくさんの驚きが詰まったお話をしてくださいました。

東さんのトークの内容を、一部抜粋してレポートします。

次の100年に繋げる

星のや 軽井沢

星のや 軽井沢

「星のや軽井沢」は、その前身となる「星野温泉旅館」が創業100年を迎えるに当たり、ただ建て替えるのではなく「次の100年に繋げていく」ことを考えようとはじまりました。

通常のホテルや旅館の設計の場合、レストランがいくつ、客室数がいくつ、ロビーはこんな雰囲気…という先方の具体的なオーダーから始まることが多いそうなのですが、星のやの場合はまったく逆のアプローチ。

100室くらいの箱型なのか、コテージ風にしたらどうなるか、10室前後のものすごく豪華な部屋にしたらどうなるか…など、収支計算やデザインとのバランスなどを考えながら、どうすればこの場所がより魅力的になるのかというところから考えていったそうです。

コンセプトは“谷の集落”

「星のや」の名を冠した5つの旅館はすべて、デザインする側だけでなくクライアントも含めたひとつのチームで最初のコンセプトづくりから行う、というユニークな手法でつくられています。

チームのメンバーは建築・設計の東さんを筆頭に、星野リゾートの星野さん、ランドスケープはオンサイト計画設計事務所の長谷川さん、照明はICE都市環境照明研究所の武石さんという、各方面のプロフェッショナルたちで構成されています。

星のや軽井沢

星のや軽井沢

ただ綺麗な自然の風景があるだけでは人が来る理由にならない、自分たちが建てるもので風景をつくらないといけない――そこからつくられた星のや軽井沢のコンセプトは“谷の集落”。

建物と自然が一体となり風景をつくっていくように考えられました。

“音”をつくり“風景”をつくる

星のや軽井沢

星のや軽井沢

コンセプトを元に、建物の内部と外部の空間を繋げるという日本家屋の伝統手法を見習い、景色に向かって大きな開放部を設けた建物、そして四季折々の豊かな自然、建物と池を中心とする魅力的な風景が、軽井沢の地に誕生しました。

その他にも、そこここに様々な工夫がなされています。

星のや軽井沢

星のや軽井沢

星のや軽井沢の中央部にある大きな池を活かし、池に段差をつけることで、水音を立てるランドスケープのデザインになっています。

豊かな自然の中にあり日が沈むと真っ暗になるということを逆手に取り、ひとつひとつの部屋から溢れる光を足して明るさをとることで、「風景」をつくりました。明るさを最低限にすることで、綺麗な星を見ることができます。

星のや軽井沢

星のや軽井沢

日本人にとってのくつろぎ方とは何かを考え、色々な場所でくつろげるよう“床座”リビングをつくり、「眠る部屋」から「滞在する空間」へ、客室の新しい過ごし方を提案しました。

何十年もかかり形成されていく“集落”を表現するため、RC造の壁には少しずつ色味の違う3色の黄土色を使用し、奥行きや深み、味わいを出しています。

一緒にやっているからこその決断

リゾートはあくまでも“非日常”の場所。そのための演出を随所に散りばめることが大切ですが、効率性や合理性、デザインや設計による魅力づくりのバランスをどちらに傾けるかという決断は、最終的にクライアントのトップである星野さんに委ねられます。

そのバランスの加減は、星野さんもチームの一員としてコンセプトづくりから一緒にやっているからこそ決められるのではないか、と東さんはおっしゃっていました。

大切なコンセプト部分をしっかりと握り、クライアントとともにひとつひとつ納得を重ねながら進めていくからこそ、ホテルや旅館の常識にとらわれない大胆な設計・発想が実現し、「星のやブランド」の確立に繋がっているのだなぁと感じます。

東さんのこだわり

建築・インテリアだけでなく、家具デザイン、備品のコーディネートまで幅広く手掛けられている東さん。

星のや東京

星のや東京

星のや軽井沢以外にも、これまで東さんが手掛けられてきたさまざまな建築物のお話、今年開業したばかりの「星のや東京」の裏話、素材やオペレーションについてのお話もありました。

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「何かをやると次に繋がる。ひとつひとつの仕事を大事に一生懸命やる」というお言葉がとても印象的でした。

仕事に大きいも小さいもなく、いまのベストを尽くすことが大切。それは建築のお仕事にかかわらず、どんな業界においても大切なことですね。

東さんのお仕事に対する姿勢や、これまでの“常識”にとらわれない大胆な発想の数々に刺激を受けた、あっという間の90分でした。

学びの場、コミュニケーションの場

今年で開催3回目を迎えたCONDE HOUSE Design Talk Eventはどのようにスタートし、そこにはどんな思いがあるのでしょうか。

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「国内外の外部デザイナーと共に製品開発を行ない、CONDE HOUSEは自らの技術と感覚を磨き続けてきました。

そんなCONDE HOUSEの方向性を具現化した形で、コミュニケーションを提供する場、学びの場としてデザインにまつわるイベントを開催しています。

参加した方々には“刺激”に加えて楽しかった情景を持ち帰って頂く。そしてCONDE HOUSEのことも、より印象づける。そうした新たなコミュニケーションの手法に手応えを感じています。

以前ゲストにお招きしたインテリア・プロダクトデザイナーの高須 学さんのプロダクト、ダブルアームチェアを弊社で製作させて頂いたこともあるのですが、ゲストにお招きした方と後にお仕事でご一緒でき、イベントをきっかけとして新たなビジネスの広がりとなったことも、大変嬉しく思っています。」

そうお話してくださったのは、CONDE HOUSEマーケティング本部 本部長の染谷さん。

今後も毎年秋のCONDE HOUSE Design Talk Eventは続けていきたいとのこと。第一線で活躍されている方のお話にはいつも発見があります。貴重な学びの場を提供し続けてくれるCONDE HOUSEの懐の大きなお考えは、私たちにとってとてもありがたいですね。

来年はどんなゲストが登場するのでしょうか。今からとても楽しみです。

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