誰かと誰かの水曜日物語を交換する、赤崎水曜日郵便局

この九州で、ひっそりと水曜日のみ営業している郵便局の存在をご存知でしょうか。

その郵便局は「赤崎水曜日郵便局」。

Webサイトも水曜日以外は開いてないという徹底ぶりで、水曜日以外にサイトを訪れると画面の下部には「本日は定休日です。水曜日にお越し下さい。」というメッセージとともに「水曜日まであと◯日」というカウントダウンが表示されます。

赤崎水曜日郵便局とは

これは普通の郵便局ではなく、海の上に浮かぶ旧小学校を舞台とした、熊本県の津奈木(つなぎ)町にあるつなぎ美術館が主催している住民参加型アートプロジェクトです。

自分自身の水曜日にまつわる物語を手紙に書いて送ると、誰かの水曜日物語が送られて来るという不思議で素敵なプロジェクト。送られてきた手紙の中から住民が数通を選んで、毎週水曜日にラジオNIKKEIで全国に配信もされています。

このプロジェクトが生まれるまで

引用元:赤崎水曜日郵便局 公式サイト

引用元:赤崎水曜日郵便局 公式サイト

舞台となっている旧赤崎小学校は海の上に立っているため、廃校後、耐震性の問題から人が立ち入ることができなくなりました。しかし学校としての立地が珍しいだけでなく、地域の人々の大切な思い出の場所でもあるとのことで、つなぎ美術館はこの旧小学校の活用策を模索してきたそうです。

地域や校舎に物語性をもたせて活用が図れるのではないかという考えのもと、映画監督としても活躍する遠山昇司氏をディレクターに迎え、様々なアイデアの中で検討を重ねた結果、今回のアートプロジェクトがスタートしたそうです。

手紙のやり取りと言えば、いわゆる文通を連想しますが、インターネットが一般的に身近なものとなっている今、誰かに手紙を送るという機会がめっきり減ってしまい、手紙という形で見知らぬ誰かに向けて自分の物語を伝える行為自体、貴重で特別なことのように思えます。

自分の日常をデザインする

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私も実際にこのプロジェクトに参加してみました。

手元に届いた封筒を開けると、兵庫県の50代の方からの水曜日物語が綴られていて、読んでいてとてもあたたかい気持ちになりました。

自分の物語を書く際、水曜日に対して持っているイメージや、その曜日にどんなことが起こるかなど、普段は意識していないようなことを考えるととても新鮮な気持ちになります。

誰かに今日の自分を知らせる、と意識しただけで日常に特別感を帯びたように思います。同じことの繰り返しになりがちな毎日でも、“その日をデザインする”という視点に立ってみると何か特別な日になりそうですね。

今日は水曜日です。皆さんにとっての今日は、いったいどんな水曜日物語になるのでしょうか。

<2016.3.28追記>
開局からこれまで143回の水曜日を迎えてきた赤崎水曜日郵便局ですが、2016年3月30日(水)に閉局となるそうです。

日常を改めて振り返り、物語が生まれる素敵なこの取り組み。

またどこかで復活することを願っています。