“OPEN SOURCE FURNITURE”が可能にする、誰でも手軽につくれる機能的なオフィス
オープンソースとは、さまざまなモノ・コトのつくり方や設計図を、無料で誰にでも使えるように共有することを指します。
誰でもアクセス・ダウンロードが可能で、自由に改造・改変・再配布ができ、メーカーなどの制約に縛られず、高い協力度を得られる、というメリットがあります。
オープンソースのはじまり
オープンソースのはじまりは1970年代まで遡ります。
ソースコードをオープンにしたフリーソフトを、BBS(電子掲示板)などの通信を利用して配布したり、実験ネットワークとしてはじまったインターネット上で、大学や研究機関が成果であるソフトウェアのソースコードを公開していた流れからはじまりました。
実は、福岡で1番有名なオープンソースは明太子と言われています。
明太子で有名なふくやの店主が昔、味や製法を知りたがる人々に「皆で明太子を広め、盛り上げていきましょう」と快く教えたことがきっかけで、今日のように福岡に明太子が広がり、名物として定着したんだとか。
空間デザインもオープンソース化
そんなオープンソースの理念を、空間デザインという分野で応用した面白い試みがあります。
Mozilla Japanオフィス内にある、“オープン”を軸としたモノづくりを学び実践する場所「Mozilla Factory Space」は、オープンソースの理念に基づきデザインされています。
誰でもコストを抑えつつ機能的なオフィスを構築できるよう、ポリカーボネートパネルや物流パレットといった一般に流通している製品を用いて構成され、1枚の銅板からつくることができるコーナーモジュールを用いれば、机や棚、ランプシェードをつくることができます。
ディスプレイ上で見る文字のピクセルを再現したサインも含め、ここで用いられている空間構成のアイディアはすべて“OPEN SOURCE FURNITURE”として、すべての図面・制作手順が公開されています。
Webブラウザ“Firefox”を提供しているMozillaプロジェクトは、Netscapeをオープンソース化したことにより誕生したという背景もあり、オープンソース理念にこだわりがあるのかもしれません。
誰が見ても伝わるよう、視覚的に表現されたOPEN SOURCE FURNITUREの取扱説明書は、コチラからダウンロードができます。
“見えないものをデザインする人”
この空間デザインを行なったのは、社会や未来により良い変化をもたらすためのデザインを理念としたデザインファーム NOSIGNER 。
NOSIGNERという名前には、“見えないものをデザインする人”の意味が込められています。
デザイン領域にとらわれずグラフィック、空間、プロダクトなどさまざまなジャンルの総合的なデザインを行なっており、これまでも災害時に役立つデザイン、アイディアを共有するデータベース「OLIVE PROJECT」や、内容の充実さ、わかりやすく見やすいデザインが話題となった東京都発行の防災マニュアル「東京防災」も手掛けるなど、オープンソースの理念を積極的に用いた活動をされています。
皆で共有しつくり上げていく
オープンソースとは、一定の条件内において自由な利用を認めるもので、著作権を放棄するものでないため、著作権表示の保持や、無保証であるといった制約もあります。
しかしながら、オープンソースにして皆で共有することで、共有者が互いに刺激し合い、共有したものがより良く成長していき、全体のベースアップに繋がるという素晴らしいメリットがあります。
今後も様々な分野でオープンソース化が導入され、皆で何かをつくり上げるという動きが活性化していくと面白いかもしれませんね。
OPEN SOURCE FURNITURE
誰でも機能的なオフィスを構築できるよう、すべての図面・制作手順を公開した空間構成アイディア。