240年の歴史と現代にマッチしたデザインが面白い「津屋崎人形」230年の歴史と今風のデザインが面白い“津屋崎人形”
素朴な素焼きで作られる土人形「津屋崎人形」は、福岡県福津市津屋崎地区で製作されている福岡県特産民芸品です。江戸時代より続く伝統と、今風な人形が可愛らしい津屋崎人形の魅力をご紹介します。
フォルムの面白さ
良質な陶土が得られる地として、津屋崎町在自で発展を遂げてきた津屋崎人形。(陶土が採取されなくなった今では、福岡市城南区七隈より粘土の発注を行なっているそうです。)
始まりは江戸時代中期の安永年間(1772年-1781年)と言われています。郷土玩具としてご存知の方が多いと思いますが、元々は生活土器として誕生しました。
代表的なものに、先を見通す能力を持つ生き物“ふくろう(津屋崎ではモマ)”の姿をした土笛「モマ笛」があります。
笛=玩具のような印象がありますが、モマ笛は年配の方や小さな子供が食べもので喉を詰まらせないよう、食事の前に気道を広げるために使用されてきました。ふくろうのなんとも言えないコロコロした丸みと、あどけない表情がとても可愛らしいですね。
こちらは、赤ちゃんのおしゃぶり人形として明治時代に誕生した
「ごん太」。当初は全身白塗りで米粉をまとった人形でしたが、最近では洋服を着こなすごん太が愛らしく、ついつい見入ってしまうほど魅力があふれています。
色白なごん太ですが、グローバル化に合わせ色黒なごん太も展開されています。現実とは少しかけ離れた3頭身ほどのバランスと、微笑んでいそうで微笑んでいない絶妙な表情が見事に融合したとても気になる人形ですね。
アクセサリーとして縁起を身にまとう「津屋崎ピンズ」は、模様ごとに意味を持ち、気分に合わせファッションアイテムとして気軽に身につけ楽しむことができます。tokineriやD&DEPARTMENTなどの雑貨店で取り扱いがあるので、ぜひ一度手にとってみては。
手作業でコツコツと
津屋崎人形のカタチは、土または石膏でできた正面と背面の2枚型に、手押し製法で粘土を押し込み、組み合わせ作られます。(たい焼きや、人形カステラのようなイメージですね)
型から抜くと、とても繊細な技術で型の継ぎ目を自然に見えるよう整えていきます。人形の耳に継ぎ目がかかるものは、パーツを後付けし成形するのだそう。
明治時代から100年以上使われている“空吹き窯(そらふきがま)”の焼成部に人形を入れ、その下部の燃焼部で燃料を燃やし、800〜900℃の高温で7〜8時間素焼きをします。
焼きあがった人形の底を塞ぐ際に少しの傾斜がつくことで、人形に微妙な傾きが出るのもファンには面白く、興味深い部分。
雛形はありますが、継ぎ目取りや絵付けを1つ1つ手作業で行うため、人形の表情が違って見えるのも津屋崎人形ならでは。
お求めの際は、直接1体1体の表情を見てご購入いただき、「頬の赤みがこっちの人形の方が元気な感じ」「この人形はよく目があう」など、選び方は様々だそうです。
粘土の採取先が変わったように、塗料も部分によりアクリル絵の具を用いるなど、時代に合わせより良い素材を選ぶのも津屋崎人形のこだわりの1つです。新たなものを取り入れることで、歴史をつなぎながらもいつの時代も“今風”なのかもしれませんね。
発信を続けること
江戸時代から続く津屋崎人形を手がけるのは、筑前津屋崎人形巧房 原田家。現在は7代目 原田 誠さんと8代目 原田 翔平さんで、体験型ワークショップや、観光客に向けた工房見学を行うなど、今も伝統を発信し続けています。
人々の生活に近い場所に展示し、絵付け体験を行い実際に触れてもらうことで、津屋崎人形の特徴、魅力、意外な一面が見えてきます。今後のワークショップも楽しみですね。
地域を楽しむ
津屋崎では7月15日(日)より、地域全体で行う津屋崎祇園山笠が開催され、7月22日(7月19日に一番近い日曜日)にはクライマックス「追い山」を終えたばかりです。
山笠を終え人形師さんも心機一転、再び人形を作り始めます。
津屋崎を含む福津市には、ジャニーズの嵐が出演したCMで話題になった宮地嶽神社や、多くの海岸、津屋崎千軒などがあり、年に2回見ることができる貴重な“光の道”や圧巻の大きさを誇る大注連縄、花火や昔ながらの街並みを見ることができますよ。
ぜひ、自然と歴史あふれる津屋崎で地域巡りを楽しみながら、モマやごん太に会いに行ってみてはいかがでしょうか。
素朴な素焼きで作られる土人形「津屋崎人形」は、福岡県福津市津屋崎地区で製作されている福岡県特産民芸品です。江戸時代より続く伝統と、津屋崎人形の魅力をご紹介します。
カタチと使いかた
良質な陶土が得られる地として、津屋崎町在自で発展を遂げてきた津屋崎人形。(陶土が採取されなくなった今では、福岡市城南区七隈より粘土の発注を行なっているそうです。)
始まりは江戸時代中期の安永年間(1772年-1781年)と言われています。郷土玩具としてご存知の方が多いと思いますが、元々は生活土器として誕生しました。
代表的なカタチに、先を見通す能力を持つ生き物“ふくろう(津屋崎ではモマ)”の姿をした土笛「モマ笛」があります。
笛=玩具のような印象がありますが、モマ笛は年配の方や小さな子供が食べもので喉を詰まらせないよう、食事の前に気道を広げるために使用されてきました。
赤ちゃんのおしゃぶり人形として明治時代に誕生した「ごん太」。
アクセサリーとして縁起を身に纏う「津屋崎ピンズ」は、
博多人形の始祖“古博多人形”に影響を受けているのだそう。
手作業でコツコツと
津屋崎人形のカタチは、土もしくは、石膏でできた正面と背面の2枚型に、手押し製法で粘土を押し込み、組み合わせ作られます。(たい焼きや、人形カステラのようなイメージですね)
型から抜くと、とても繊細な技術で型の継ぎ目を自然に見えるよう整えていきます。人形の耳に継ぎ目がかかるものは、パーツを後付けし成形するのだそう。
明治時代から100年以上使われている“空吹き窯(からぶきがま)”の焼成部に人形を入れ、その下部の燃焼部で燃料を燃やし、800〜900℃の高温で7〜8時間素焼きをします。
焼きあがった人形の底を塞ぐ際に少しの傾斜がつくことで、人形に微妙な傾きが出るのもファンには面白く、興味深い部分だそうです。
雛形はありますが、継ぎ目取りや絵付けを1つ1つ手作業で行うため、人形の表情が違って見えるのも津屋崎人形ならでは。
お求めの際は、直接1体1体の表情を見てご購入いただき、「頬の赤みがこっちの人形の方が元気な感じ」「この人形はよく目があう」など、選び方は様々だそうです。
粘土の採取先が変わったように、塗料も部分によりアクリル絵の具を用いるなど、時代に合わせより良い素材をめぐるのも津屋崎人形のこだわりの1つです。
津屋崎祇園山笠
津屋崎祇園山笠のクライマックス「追い山」が、7月22日(7月19日に一番近い日曜日)に行われます。