スケートボードの板から作品を生み出すアーティストHaroshi
みなさん、こんにちは。デザイナーの阿部です。最近、お昼ではTシャツ1枚でも過ごせるようないい季節になりましたね。
この季節になると家にいるよりは、アウトドアやスポーツなど、外に出て体を動かしたくなる人もきっと多いかと思います。
僕もその一人で、週末には趣味であるスケートボードに乗りたいな~、などと思ったりしています。最近ではなかなか乗らなくなってしまいましたが、高校生の頃には友達とスケートボードに熱中してました。
当時は大会なども頻繁にあったりして、朝から夜遅くまで練習していました。大会の結果は散々でしたが、、、。
スケートボードとは
ご存知だとは思いますが、スケートボードは1枚のデッキ(板)に車輪が付いた仕組みの乗り物(運動用具)です。その仕組みで最も重要なパーツがデッキ(板)で、デッキの形状には人それぞれの好みがあり、乗り心地を大きく左右するものです。またデッキのグラフィックはスケーターのモチベーションを上げるので、たくさんの独創的なデザインが生産されています。
スケートボードは使っているとデッキが古くなり、破損することもあるので、その都度デッキを交換します。そのため、不要になったデッキは処分されたり、インテリアとして飾られたりしますが、ボロボロの状態だと見栄えがあまりよくありません。
古いデッキがアート作品に
この使われなくなったデッキを再利用してアート作品を手がけている日本人アーティストがいます。東京を拠点に海外でも活躍されているデッキ彫刻家のHaroshiさんです。Haroshiさんのアーティスト名は、奥様(Haru)とご自身(Hiroshi)の名前を組み合わせたもので、創作活動は奥様との協働で行っているとのことです。
「Web Designing」2015年5月号でも記事が掲載されていて、この号は彼の作品が表紙を飾っております。またアメリカを始め世界のスケートシーンで知られているようで、作品のコレクターには、NIKEのCEO マーク・パーカーやDC SHOESの創業者 ケン・ブロックなどがいます。
色とりどりのストライプが鮮やかで、なめらかなフォルムが美しいということが作品の大きな特徴です。僕がこの作品を初めて見た時に疑問に感じたことは材質についてでした。色とりどりの層になっているストライプは意図的に木材か何かを重ねて作った彫刻だと思いましたが、まさか使い古したスケートボードのデッキだとは思わずに、とても驚きました。
本来は捨てるはずだったモノが、素晴らしい作品として生まれ変わるなんて、モノを大切にしている日本人ならではの発想だと思いませんか?
デッキ彫刻家の誕生
以前はジュエリーデザイナーとして活動されていたHaroshiさん。彼の趣味は10代の頃から情熱を注いでいたスケートボードでした。仲間と一緒に毎日のように滑っているなかで、月に1枚のペースで使えなくなったスケートボードのデッキが部屋に溜まっていたそうです。
そのデッキで何か作ってみては?と現在の奥様からアドバイスがあり、それらを削ったり切ったりしてみると、完成度の高い合板のストライプが魅力的に感じ、スケートボードのデッキを素材にしたアクセサリー制作がスタートしました。だんだんとオブジェとしての注目を集めるようになり、現在のような夫婦協働での活動に繋がったそうです。
Haroshiさんの作品を通して、モノを大切に扱う気持ちと捨てるだけではなく違った形で再利用する日本人の「文化」や「心」を改めて感じます。
僕もスケートボードが好きな一人として、そしてモノ作りに携わる一人として、自分の個人的な趣味が高じて、世界的な人気を博すアート作品を手がけるようになったHaroshiさんに強く憧れています。
Haroshi
デッキ彫刻家・スケートボードアートの先駆者