天神大名にオープンした無印良品で田中一光に思いを馳せる

20年位前、天神西通りに無印良品の店舗があったのを覚えていますか?僕は学生時代によく通っていました。場所こそ変わりますが同じ西通りに、3月5日に復活オープンしたと聞いて早速行ってきました。

飾らない美しさ

大学生だった自分を思い出しながら中に入ると、よく整理され、かつ遊び心もあり、買物をするのが楽しくなるような工夫が随所に見られます。以前の西通りにあった無印良品も入るとどことなく幸せになれるような店舗でしたが、そこにワクワク感と洗練された大人の雰囲気をプラスしてパワーアップし、さらにカフェも併設しているという、いわゆるライフスタイルショップそのものです。

無印良品 天神大名店 レジ周り

無印良品 天神大名店 レジ周り

各階それぞれ内装に特徴があり、足場板や古材などを使用したフロアー、小気味よい目地の入ったスチール壁のフロアー、杉板を組み合わせたフロアーと、無印らしい素材を生かした飾らない美しい内装で居心地の良い空間が形成されています。

無印良品 天神大名店 足場板で作られた壁

無印良品 天神大名店 足場板で作られた壁

田中一光氏が生み出した無印良品

無印良品は、僕が敬愛するグラフィックデザイナーの田中一光さんの手により(厳密に言うと発案者の1人らしいですが)、印が無く良い品を売る店舗として生まれました。ノンブランドで手頃な良い商品を売る店を目指したわけですね。

ブランドは元々、自分の牛などの家畜に焼印を施し、他者の家畜と区別するために出来たと言われています。今ではアイテムやサービスなど個別認識の為のあらゆる概念がブランドです。

例えば、この印(しるし)が付いているアイテムは高い、この印が付いている自動車は質が良い、この印が付いた洋服は好きだ、逆にこの印が付いているアイテムは質が悪い、嫌い、のような消費者が個別認識を元に判断をしやすくするのが、ブランドの本来の目的です。

田中一光展

2012年東京ミッドタウン内MUJI店舗内で開かれた「田中一光展」にて

田中一光さんは、ブランドが付いていれば悪い品も高く売れるというような、1980年頃のブランド至上主義な流れ(DCブランドブーム)、言わばブランドが乱用されていた社会に対するアンチテーゼとして、無印良品を作られました。

ところが、誕生から30年以上経ってみると、無印良品はすでに無印ではなく立派な有印(ブランド)になったことを、この無印良品 天神大名店を訪れて改めて感じました。(まぁ、元々無印良品という印を有していましたが)

自分の印を無印という印に入れ込む

ブランドとは、本物の良い品・良いサービスを売っていれば後から付いてくるものだと改めて感じることが出来ました。さらに、この無印良品 天神大名店では、刺繍サービスやスタンプサービスなどがあり、購入したアイテムに自分の印を付けることも出来ます。

無印良品 天神大名店

スタンプで自由に自分の印(しるし)を付けられる

消費者の印(ブランド)も包括して「無印良品」の品として売る構想が田中一光さんの中にあったのかは分かりませんが、印を付けたことでその品に対する愛着が湧き、より無印良品を愛することが出来ます。個人のブランドすら受け入れてしまう、正直ブランドネーミング的には破綻しているとも思える行為ですが、無印良品は寛容であり素敵なブランドだと思います。

商いを通して美を伝播することができないか

「美を鑑賞ではなく、モノで伝播してはいけないか、商いを通して美を伝播することができないかと思っていた。無印良品は商いを通すことで、人々が喜び、そして美を伝播することができる。」

田中一光展

2012年東京ミッドタウン内MUJI店舗内で開かれた「田中一光展」にて

田中一光さんがお亡くなりになられて10年以上になりますが、田中一光さんがおっしゃられていたことが分かったような気がします。

みなさんも、自分の印を付けに是非、無印良品に訪れてみてはいかがですか?

無印良品のノート

印を付けた無印良品のノート

僕も早速ノートを購入し、自分の印が付いた無印良品ノートを作ってきました。あまりに不出来で、天国の田中一光さんに懺悔しました。

では、また