「みえないものとの対話」展で向き合う日常の中の“みえないもの”
プログラミングやWebサービスを駆使し、日用品や身近なモチーフを用いて目にみえない現象を表現した「みえないものとの対話:Dialogue with Something Invisible」展が、福岡・天神のイムズ8Fにある三菱地所アルティアムにて開催されています。
4組のアーティストの共通点
本展に参加しているのは、サンプリングされた光と音、現象を用いて非日常の劇場的な空間をつくり上げる久門 剛史さん、ネット上で作品を販売・発表し、購入者は24時間好きなときに作品を鑑賞可能という、開かれたアートのあり方を追求するラファエル・ローゼンダールさん、iPhoneやiPadといった身近なモチーフを使用し、コンピューターによってつくられた虚構と現実からその関係性の違和感を浮き彫りにする谷口 暁彦さん、Webサービスや3Dプリンタを用いてコンセプチュアルな作品を生み出す渡邉 朋也さん。
4組のアーティストに共通するのは、全員が1980年代生まれの若手作家であり、プログラミングやWebサービスによる作品制作を行なっているということ。
それぞれに表現手法は異なりますが、水や風といった自然のものや日常の中のもの、記憶といった曖昧なものをとりいれ、観る人にとって想像と思考の余地がある作品に昇華させています。
Pick up
本展に展示されている作品を一部ご紹介します。
久門 剛史さんの作品、「after that.」は、目にみえない“時間”を題材に、空間全体に無数の時計が映し出される時の流れをあらわしたインスタレーション。
球体からは微かに時計の針の音が聞こえ、時を感じながらも時間が止まったような感覚におちいる不思議な作品です。
渡邉 朋也さんの作品は、アルティアムを飛び出し、イムズ内のさまざまな場所に設置されています。
荒んだ食卓の象徴であるかのような、カップラーメンと片方だけになってしまった割り箸に、なくなってしまったもう片方の割り箸を3Dプリンターで補填することによって、荒んだ食卓に一定の秩序を回復しようというもの。
「荒んだ食卓を極力なおそう」というタイトルそのままに、イムズ内のエスカレーター横や、入り口横の一角にひっそりと置かれた作品は、とてもシュールな空気を醸し出しています。
想像し考えるきっかけ
自然現象とリンクするつくられた現象の中で感じる違和感、音や景色により結びついた記憶を呼び覚まされる体験など、さまざまな角度から表現された作品たち。
作者はどんな意図でつくったのか、何を表現したかったのか、作品をみておのおのが何を感じ考えるか、そんなきっかけを与えてくれる展示となっています。
10月24日(土)、11月1日(日)、3日(火・祝)、7日(土)の各日16時から開催される本展ディレクターによる作品解説を聞くと、展示作品をより楽しめるかもしれません。
みえないものとの対話Dialogue with Something Invisible
天神イムズ8F 三菱地所アルティアム
2015.10.10(土)-11.8(日) 10:00-20:00
一般 400円、学生 300円、高校生以下無料 ※再入場可