“次” 世代の技術とデザインの化学反応により、日本の漆文化を “継” いでいく「TUGI TUGI」“次” 世代の技術とデザインの化学反応により、日本の漆文化を “継” いでいく「TUGI TUGI」
優れた技術を誇る日本の中小メーカーや、革新的なアイデアを持つデザイナーとコラボした商品開発事業を行う株式会社TRINUS。同社が運営する商品化を前提とした新しいモノづくりプラットフォーム「TRINUS」より、2017年2月、漆器ブランド「TUGI TUGI(ツギツギ)」が誕生しました。
次世代の漆素材「サスティーモ® 」
従来の漆器は、乾燥や熱に弱く、キズがつきやすいなどの理由で日常使いが難しいという問題がありました。 TUGI TUGI(ツギツギ)は、(地独)東京都立産業技術研究センターが開発した次世代の漆素材「サスティーモ®」を活用。漆ならではの奥ゆかしい佇まいや口に当たった時の独特の質感、手触りのよさはそのままに、湿気・乾燥・キズに強く、かぶれをおこさない「次世代の漆器」を実現しました。
「TRINUSでは、日本のメーカーの独自技術を特集し、その技術を活用した商品コンセプト・デザインを、4000名以降の登録クリエイターから公募し、ユーザーからの反応もふまえて商品化を行っています。TUGI TUGIも、『100%バイオマスの粉状成形材料サスティーモ®』を活用した新しい商品企画を募集し、140件近くの応募がありました。その中から、『漆のお猪口』が誕生しました。」とTRINUSの広報・金子優実さんはいいます。
優れた日本の技術×革新的なアイデアを持つデザイナー
デザインを担当したのは、華やかで心に残るような個性的なテキスタイルブランド「Sarahbel(サラベル)」。絵付けは、会津若松の伝統工芸士がひとつひとつ手で描いて完成させています。TUGI TUGIの漆器は、会津若松市技能功労者賞を受賞している腕利きの職人が仕上げることで、難しいとされている、内側に花を咲かせるデザインが実現したのだそう。
「TUGI TUGI jewel」が生まれるまで
そして2019年10月には、漆100%(漆樹液50%+漆木粉50%)のジュエリーコレクションが誕生しました。もちろんこちらも「サスティーモ®」が使われており、会津若松市の伝統工芸士や作家らによる繊細な手仕事により、漆ならではの光沢が美しい一品に仕上げられています。かぶれもおこさないので、素肌にも安心して使えるのがうれしいですね。
ジュエリーデザイナーの視点と伝統工芸の手仕事
今回デザインを担当したのは、デザイナー・中村 穣氏。 「お手本から少しずれた」をコンセプトに、ジュエリーに対する素材や技法への先入観に捉われないコレクションを国内外で展開しています。
金子さんに、TUGI TUGI jewelについてうかがいました。
―「TUGI TUGI jewel」のデザイナーとして、中村 穣氏を抜擢したのはどうしてでしょうか?
実は、中村さんは2016年に発売した“植物のためのジュエリー”、「PLANT’S JEWEL」でもデザイン面で協力をいただいたデザイナーです。過去のお取り組み実績はもちろんのこと、漆という素材・生産背景を大切にしながらも現代的な雰囲気を出せるジュエリーデザイナーであると思い、中村さんに依頼をいたしました。
―プロジェクトを進めるにあたり1番苦労したのはどんなことでしょうか?
中村さんが考える繊細なデザインを漆の加飾技法で表現する点です。伝統工芸士が、日ごろ扱っている商品の中でもかなりサイズが小さいので、その生産過程に難しさを感じました。
―実際に、TUGI TUGI jewelの仕上がりを見ていかがでしたか?
漆の素材とモダンなデザインのコントラストが印象的で、伝統的な素材を活かしながら、現代の女性にも受け入れられるデザインになっていると感じました。東京オリンピックを控えている今、made in Japan の技術とデザインを私たち日本人が身に着けることの魅力を発信していければと思っております。
新素材「サスティーモ®」、デザイナー、伝統工芸士、この3つの要素が“取り成す”ことによって、生まれた商品たち。実際に触れてみて、新時代の漆をぜひ体感してみてはいかがでしょう。そこには、思わずため息が漏れるほどの、緻密な手仕事が詰め込まれています。
TUGI TUGI
TUGI TUGI jewel