日本人に親しまれてきた白銀比を活用しよう!実例とともにご紹介!

均整の取れた美しいデザインを生むのはむずかしいものですが、貴金属比という比を使うことで均整のとれた美観を生むことができるということは広く知られています。そうした比のなかには、古くから日本で好まれてきた白銀比というものがあります。ここでは白銀比の概念そのものから、その歴史上および現代における実例から活用まで解説します。

 

白銀比とは

貴金属比・白銀比は必ずしもなじみある言葉ではないかもしれません。そこでまず、貴金属比・白銀比について概念そのものとその実例を解説していきます。

貴金属比とは

優れた安定感・美観を生じさせる比率、貴金属比という概念があります。次のような公式であらわされる比率です。

1:(n+√(n^2+4))/2(n:自然数)

数式からわかるようにこの比率は整数比になりません。第n貴金属比という呼び方があり、nにあたる自然数を公式に代入すると比を導出することができ、第1から第3までには特別に名前がつけられています。なお、第2貴金属比の白銀比については次でくわしく解説します。

黄金比(第1貴金属比)
1:(1+√5)/2という比で、近似的に1:1.16とあらわせます。この黄金比にしたがった美しい形の実例は美術品から自然界までさまざまあります。
黄金比にしたがった螺旋の実例としてよくあがるのが、オウムガイの仲間の古生物アンモナイトの貝殻です。
また、西洋建築では古代ギリシャのパルテノン神殿、アントニオ・ガウディの聖家族教会もこの比にしたがっています。また日本の美術品のなかでも、葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」に描かれた大波の形は黄金螺旋であることが知られています。

青銅比(第3貴金属比)
1:(3+√13)/2という比で、近似的に1:3.30とあらわせ、黄金比と比べてみるとかなり横長の形です。著名な実例というのは乏しいのですが、Red Bull Content PoolGINZA SIXといったサイトのメインビジュアルの形に取りいれられています。
また、横長のデザインの窓や大きな画面を活用した広告などでも参考とされる比率です。

白金比
1:√3 という比で、近似値は1:1.732とあらわせます。単体で使われることはほとんどありませんが、美しい印象を与える比として親しまれています。ただ、著名とまでいえるような実例はありません。

第2黄金比
1:(3+√5)/2という比で、近似値は1:2.618となります。黄金比に比べると知名度は劣り、著名な実例もありません。また公式にも合致しませんが、白金比と同じく慣例として貴金属比に含められています。

これらの貴金属比の名称は元素の周期表上で金、銀、銅が縦並びになるため名づけられたといわれていますが、白金はこの縦並びには入っていません。また、元素や周期表の考え方よりも古いことからすると、貴金属といえば金銀銅からの連想とも考えられます。

貴金属比には含まれず特別な名称もないものの、広く使われている比率もあります。たとえば、黄金比と白銀比の中間にある1:1.5程度の比率は、官製はがきやトランプ、交通系ICカードなどに使われていることが知られています。

白銀比

これらに加えて、優れた安定感・美観を生じさせるものとして白銀比があり、そのなかにも2つの種類があります。

・1:1+√2の比(近似的に1:2.414)。第2貴金属比
・1:√2の比(近似的に1:1.414)。大和比

 

大和比の実例と特徴

白銀比のなかでも、大和比は古来より日本で好まれてきました。大和比で形作られたモノの実例は日本でひろく見ることができます。ここでは実例とその特徴についてくわしく解説します。

実例

日本において、大和比で形作られた造形の実例はおおくあります。現存する世界最古の木造建造物でもある法隆寺金堂や五重塔、銀閣寺観音堂、伊勢神宮の神社建築などの建築造形や、興福寺の阿修羅像のような仏像にも大和比を見てとることができます。絵画でも、鳥獣戯画の構図、菱川師宣「見返り美人図」の女性の姿にも大和比による比率を見つけることができます。

金堂 | 聖徳宗総本山 法隆寺


こうした建築や美術だけではなく、大がかりなものでは平安京の都市計画にも大和比が使われているといわれています。平安京の碁盤目状の街なみの最小単位「町」は正方形とされており、正方形のひとつの辺とその対角線の比は1:√2で、大和比に一致します。

特徴

大和比は寺社建築や仏像、絵画などの建築や美術だけではなく、工業上の国際標準であるISO 216に定められたA版・B版用紙にも使われています。A判はドイツの工業規格に由来するものですが、B判は江戸時代の公用紙の美濃判にルーツをもつもので、おたがい全くバラバラなルーツをもちながら、おなじような比にしたがっているのは興味深いことです。

また、大和比の長方形は長辺で2分の1に切ると、元の長方形と相同形が得られるという性質があります。たとえばA3判用紙の長辺を半分になるように折りたたんだものがA4判用紙になります。このようにすると、An判(n=0,1,2,3,…)を一つの等比数列と考えるのに都合がよくなります。つまり、A判のnが大きくなると用紙を半折りにし、逆にnがちいさくなると用紙を2枚つなげることで用紙の各サイズが得られるのです。

また、A判同士・B判同士は向きをそろえて角をかさねると、対角線が一直線につながります。A判・B判の用紙はこうした性質をもちいてサイズを決めているのです。

 

白銀比の活用

ここからは、第2貴金属比と大和比を分けずひとつの白銀比として、その活用例を見てみましょう。

現代に活きる白銀比

白銀比は寺社仏閣の建築や絵画、用紙のサイズのような現役のデザインのなかに活きているだけではありません。日本で愛されているキャラクターのなかにも、身長と横幅の比が大和比になっているものがあります。ドラえもん、アンパンマン、ハローキティ、となりのトトロなどがその例です。

また、海外発のキャラクターであるスヌーピーにも大和比にちかい身長と横幅の比率で描かれています。

日本人に親しまれてきた白銀比

日本人がどのような比率の四角形を好むかが調査されたことがあり、上位3位は、白銀比にちかい1:1.43、正方形の1:1、黄金比にちかい1:1.62という結果になりました。

このように現代においても、グラフィック、Web、建築などのデザインに活用できるものとして、有用な比率であることがわかります。

ここまで解説してきた定義から、なかには具体的な数値を求めるのがむずかしそうと思われる方もいるでしょう。しかし、現在では貴金属比を簡単に求められるツールがインターネットにあるため、初心者でも活用できる環境が整っています。デザインをする際は、積極的に白銀比を使ってみてはいかがでしょうか。

 

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まとめ

さまざまなデザインにもちいられ、均整美を感じさせる白銀比は日本人がとりわけ好んできた比率です。Webデザインやブランディングなどで軸となるレイアウトに、こうした貴金属比を活用することは、安定感のある均整のとれた印象を与えることができます。
弊社ではこのようにさまざまな要素を考慮しながらデザイン制作を行っております。ユーザーに刺さるデザイン制作をご検討の方はお気軽にご相談ください。