九州のディープな魅力を再確認する
「都築響一 僕的九州遺産」

写真家・編集者として幅広く活躍されている都築 響一さんによる異色の展覧会「都築響一 僕的九州遺産」が、10月1日(土)〜10月30日(日)の期間、福岡・天神イムズ内にある三菱地所アルティアムにて開催中です。

都築 響一さんとは

都築 響一さんは、雑誌『POPEYE』や『BRUTUS』の編集を経て、約30年に渡り現代美術、建築、写真、デザインなど幅広い分野で執筆・編集活動をされています。

東京の若者たちの多種多様で“リアル”な部屋を撮り下ろした「TOKYO STYLE」や、日本各地の観光名所や知られざるスポットをおさめ第23回木村伊兵衛写真賞を受賞した「ROADSIDE JAPAN 珍日本」など、「リアル」で「身近」で「アンダーグラウンド」な題材を扱った多くの著書があります。

九州のディープな魅力

「都築響一 僕的九州遺産」は、都築さんの独自の視点から編集された、九州のアンダーグラウンドな魅力を浮き彫りにする企画展。

これまで「珍日本紀行」で紹介されたものに加え、本展のために新たに追加された特異な人物や場所を「九州遺産」として取り上げています。

都築さんから見た九州の魅力とは何でしょうか。

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「九州は人口も観光客も多く、バブル期の遺産もたくさんあります。そして各県のキャラが濃く、アジアに開かれた場所ということで、独自の文化が実はたくさん存在している土地です。

しかし、地元の多くの人はその独自の文化の面白さに気がついていません。それ故にせっかく発展してきた土着の文化がどんどん消えてしまっていたり、地元のアーティストが埋もれてしまっているという現状があります。

今回の展示や本で紹介している観光名所やスポットは、実際に自分がその土地に行って見つけたものや人づてに教えてもらって出会ったものばかり。

趣味の延長で楽しんでやっているというよりは、“早く見ないとなくなってしまう”という、絶滅危惧種を追う旅のような、“他にやってくれる人がいないから、僕がやるしかない”という使命感にも似た気持ちで、焦りと危機感を持って回っています。」

普段は近すぎてわからない自分たちの土地の持つ独自の魅力を、九州の人たちにもっと知ってほしいという思いが込められた本展。

どんなものが“僕的九州遺産”として都築さんにより見出されているのでしょうか。

本展の見どころ

本展では、都築さんが30年近い旅の間に巡りあった九州各地の面白いスポット、アーティスト、独自の文化を、写真やテキスト、映像、実際に各地から集めた立体物などの展示を通して紹介しています。

志村 静峯さんによる絵看板

志村 静峯さんによる絵看板

例えば、かつて日本全国に存在した見世物小屋の絵看板を専門とし、全国各地からオーダーが集中していたカリスマ絵師 志村 静峯さんによる絵看板。入れ墨の彫師をしながらユニークなスケートボードを制作しているアーティスト、BABUさんによる作品。広大な土地にトピアリー(常緑樹や低木を刈り込んでつくられる造形物)を造り続ける焼きとうもろこし屋の店主…。

乗ったまま弾ける琴のスケートボード

乗ったまま弾ける琴のスケートボード

地元の知られざるユニークなアーティストの存在や、外からの視点で見ればこれも“文化”なのかと改めて気付かされ、身近な土地ながら実は知らないことだらけなのだ、という事実に驚かされる奇異な展示となっています。

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リアルを見つめ、受け入れる

都築さんはこうもおっしゃっていました。

「美しくない日本。品のない日本。居心地いい日本。目の前にある現実をもう少しポジティヴに受け入れることが出来たら、人生はずっと楽しくなるはず。なぜなら、つまらなく見える町を、なんとか面白がろうとする努力。つまらなく見える人生を、なんとか面白がろうとする努力。このふたつには、ほとんど違いはないのだから。」

鏝絵(こてえ)と呼ばれる、漆喰を用いてつくられる浮き彫りの造形物

鏝絵(こてえ)と呼ばれる、漆喰を用いてつくられる浮き彫りの造形物

日本の現状や、カッコいいとは言えない側面、俗悪とさえ言われてしまうような文化…そこから目をそらすことは簡単ですが、それも立派な日本の文化のひとつとして、受け止めることも大切なこと。

近すぎると色々なものが見えづらくなったり、その良さに気づきにくくなったりしてしまいがちですが、新たな角度で見つめ直すことで、“九州にしかない魅力”を改めて感じることができるのではないでしょうか。

九州の人のための、九州の魅力を再発見する、とてもディープでインパクトのあるこの展示。ぜひ期間中に一度足を運ばれてみて下さいね。