生物から学び技術に活かす「バイオミメティクス」

「バイオミメティクス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

バイオミメティクスとは、進化や環境への適応の過程の中で生物が身につけてきた機能や特徴から学び、技術に活かすことを指します。

そこには次世代テクノロジーのヒントが満載です。

身近なバイオミメティクス

バイオミメティクス、というと新しい考え方のように感じますが、実は古くから存在している考え方です。

引用元:Wikipedia

引用元:Wikipedia

例えばレオナルド・ダ・ヴィンチは、鳥を観察し、その原理を用いて航空機の設計をしました。

私たちの身近な生活の中にも活用例が多くあります。

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植物の種である“ひっつきむし(オナモミ)”が服にくっつく原理からヒントを得たマジックテープや、以前話題になったオリンピックの水泳競技でサメの肌に似た素材の水着を着たら記録が伸びた、というサメの肌の仕組みを用いた技術もバイオミメティクスです。

さまざまな分野での研究

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バイオミメティクスは、生物の優れた構造や機能からヒントを得るという考え方のため、幅広い分野への応用が可能。

さまざまな分野で進められている研究の一部をご紹介します。

かすかな風でも飛ぶことが可能なトンボのように、低速で羽ばたく柔らかい翼を使用すれば、静かで安全な飛行をする飛行ロボットが可能になります。

鮮やかなブルーが印象的なモルフォチョウの翅(はね)は実際はブルーではなく、鱗粉表面の構造が光を反射・屈折・干渉することによりキレイな色にみえています。その構造をまねれば、染料を使わずとも色鮮やかな服をつくることができます。

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常に群れをなしているイワシはそれぞれがぶつかることがなく、列をなして餌を運ぶアリは渋滞することがありません。そんな行動パターンを真似すれば、交通渋滞のない効率のよい未来が期待できるかもしれません。

改めて観察してみる

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大量生産・大量消費の時代を経て、いまやサスティナブルや自然・他の生物との共生を考えなくてはならない段階にきています。

自然とともに生き抜いてきた生き物や自然に学び、それを技術に活かすことは、考えてみればとても合理的。

ファッション、デザイン、医療、テクノロジーなど、分野を超えた新しい技術のヒントが隠れている身近な自然や生物を、改めて観察してみてはいかがでしょうか。

参考文献

下村 政嗣 編書/高分子学会 バイオミメティクス研究会 編 2016年 トコトンやさしいバイオミメティクスの本
B&Tブックス 日刊工業新聞社

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